85〜94年ドラフト指名における一軍実働10年選手の発生比率
まずは数字を見て戴きましょう。
高卒・大卒・社会人出身に分けて各球団毎に獲得数と実働10年選手数を示しました。
ここでの実働とは一軍での成績有無を指します。
お試し昇格を含めても実働10年以上の実績があればどんな形であれ戦力として認めて良いでしょう。
大学中退や練習生など微妙な履歴の選手も居り詳細な数字の精度は完璧ではないことを先にお詫びしつつ御覧ください♪
85〜94年 |
阪神 |
読売 |
東京 |
中日 |
広島 |
横浜 |
西武 |
福岡 |
千葉 |
近鉄 |
神戸 |
札幌 |
12球団合計 |
1球団平均 |
高卒獲得数 |
36 |
30 |
28 |
28 |
45 |
33 |
33 |
24 |
30 |
33 |
26 |
29 |
375 |
31.3 |
実働10年高卒 |
6 |
10 |
7 |
8 |
7 |
12 |
9 |
8 |
6 |
4 |
5 |
8 |
90 |
7.5 |
大卒獲得数 |
7 |
14 |
15 |
10 |
6 |
12 |
10 |
14 |
11 |
9 |
11 |
14 |
133 |
11.1 |
実働10年大卒 |
4 |
5 |
4 |
5 |
4 |
5 |
6 |
4 |
4 |
5 |
3 |
5 |
54 |
4.5 |
社会人獲得数 |
18 |
13 |
17 |
23 |
11 |
18 |
18 |
20 |
23 |
17 |
15 |
16 |
209 |
17.4 |
実働10年社会人 |
9 |
4 |
7 |
6 |
4 |
4 |
4 |
8 |
8 |
8 |
8 |
4 |
74 |
6.2 |
総獲得数 |
61 |
57 |
60 |
61 |
62 |
63 |
61 |
58 |
64 |
59 |
52 |
59 |
717 |
59.8 |
発生総数 |
19 |
19 |
18 |
19 |
15 |
21 |
19 |
20 |
18 |
17 |
16 |
17 |
218 |
18.2 |
発生率 |
31.1% |
33.3% |
30.0% |
31.1% |
24.2% |
33.3% |
31.1% |
34.5% |
28.1% |
28.8% |
30.8% |
28.8% |
30.4% |
まず目に付くのが広島の発生率の低さです。
高卒獲得数45名に対する実働10年選手7名という少なさが支配的なのを如実に示しています。
育成上手と言われる広島は実は育成が下手なのか?
もしくは活躍しても故障等により短寿命なのか?
結論はもう少し後にしましょう( ̄ー ̄)b
逆に発生率の高い球団は読売・横浜・福岡です。
この3球団に共通して言えるのは高卒実働10年選手発生率が30%を超えている点です(平均24.0%)。
実際この時期に獲得した選手が主力として活躍していた90年代後半に以前は弱小だった横浜・福岡が優勝しています。
ドラフト戦略だけでなく育成も相俟って居ないと優勝は出来ません。
今回の調べで横浜に好印象を持ちました(^^)y
優勝という点で見ていくと90年代は阪神・千葉・近鉄・札幌の4チーム以外が優勝しています。
発生率を見ると阪神以外は平均を下回っており判り易いかと思います。
では何故、平均より上の阪神が低迷したのか?
その答えは高卒選手を育成出来なかったことが大きく関係してきます。
高卒選手での発生率が低いチームは阪神・広島・近鉄です。
91年に優勝した広島が低迷した原因は87年に6名、91、92年に5名ずつ獲得した選手が軒並み育ちませんでした。
阪神は92年に6名獲得していますが塩谷以外は育ちませんでした。
他球団で1度に6名以上獲得した例は00年の横浜以外ありません(5名までは読売・福岡以外の球団で例あり)
その横浜の現状を踏まえても高卒選手の大量獲得はその後の低迷と無関係ではないと言えるでしょう。
次は各球団毎の傾向を紹介してゆきましょう。
但し大卒選手については獲得数がどの球団も総獲得数の1/4以下なので評価はしない方がよいでしょう。
阪神はダントツで社会人選手が当たっています(50.0%)。
発生率のほぼ半数が社会人選手なのを阪神ファンはご存知でしたか?
逆に不得意なのは高卒選手で発生率ワースト3(16.7%)、獲得選手の半数以上が高卒選手なので低迷は当然と言えるでしょう。
読売は高卒選手の育成に実績があります(33.3%)。
社会人選手は獲得数が総獲得数の1/4以下なので評価しません。
東京は無難に育成している様です。
中日は社会人選手の発生率が低い様です(26.1%)。
しかし元々社会人選手自体の発生率が高い(35.4%)ので致命的な低さではありません。
広島は実は大卒選手の発生率がダントツで高いのですが獲得数自体が少ないので逆の意味で大勢に影響がありません(T△T)
前出の通り高卒選手の発生率は低くワースト2です(15.6%)
横浜は社会人選手の発生率が低い様です(22.2%)。
しかし高卒選手の育成に実績があり(36.4%)、そのアドバンテージが大きいので社会人選手の発生率の低さを補っている様です。
西武は横浜と同様、社会人選手の発生率が低い様です(22.2%)。
しかし大卒選手の発生率が高いので相殺されている様です。
福岡は高卒選手の育成に実績があり(33.3%)、尚且つ社会人選手の発生率も及第点で文句の付け様がありません!
千葉は無難に育成している様です。
近鉄は阪神と同様、社会人選手の発生率は高い(47.1%)のですが、高卒選手で発生率ワースト1(12.1%)であり尚且つ獲得選手の半数以上が高卒選手なので低迷は当然と言えるでしょう。
神戸は総獲得数が少ない割に社会人選手の発生率が高い(53.3%)のは特筆できるでしょう。
札幌は無難に育成している様です。
以上、実働10年選手を用いて12球団の育成得意分野を考えてみましたが、どうも決め手に欠けている印象があります。
大卒選手のサンプルが少ないことと現在のドラフト事情と80年代のドラフト事情が異なることによるギャップが感じられるからです。
具体的には91年以前は獲得枠が6名でドラフト外で獲得した選手を分析できていないこと、91年から10名に拡張されるのですが高卒・大卒・社会人の獲得比率がこれを期に激変していることが挙げられます。
なのでこの結果は一つの参考で確信には至っていません(^^ゞ
ということで次に紹介する91〜00年ドラフト指名における実働2年以下選手の発生比率を加味してから結論を出したいと思いますのでもう少しお付き合いください(^^)y