91~00年ドラフト指名における実働2年以下選手の発生比率
まずは数字を見て戴きましょう。
高卒・大卒・社会人出身に分けて各球団毎に獲得数と早期解雇選手数を示しました。
ここでの早期とは一軍実働2年以下での解雇およびプロ在籍4年以下での解雇を指します。
どのチームも入団4年目が一つの区切りと考えていることと石の上にも三年ということで実働2年以下での解雇は獲得自体が間違いだったと言っても過言ではないかと思われます。
大学中退や練習生など微妙な履歴の選手も居り詳細な数字の精度は完璧ではないことを先にお詫びしつつ御覧ください♪
91~00年 |
阪神 |
読売 |
東京 |
中日 |
広島 |
横浜 |
西武 |
福岡 |
千葉 |
近鉄 |
神戸 |
札幌 |
12球団合計 |
1球団平均 |
高卒獲得数 |
29 |
27 |
29 |
24 |
45 |
37 |
22 |
18 |
21 |
33 |
23 |
25 |
333 |
27.8 |
高卒早期解雇数 |
16 |
13 |
12 |
9 |
19 |
13 |
8 |
4 |
7 |
12 |
8 |
8 |
129 |
10.8 |
大卒獲得数 |
11 |
21 |
16 |
23 |
14 |
12 |
14 |
22 |
11 |
18 |
13 |
15 |
190 |
15.8 |
大卒早期解雇数 |
4 |
7 |
2 |
8 |
1 |
1 |
5 |
4 |
4 |
4 |
1 |
5 |
46 |
3.8 |
社会人獲得数 |
21 |
16 |
12 |
19 |
11 |
16 |
30 |
19 |
31 |
14 |
18 |
24 |
231 |
19.3 |
社会人早期解雇数 |
5 |
5 |
5 |
4 |
4 |
6 |
8 |
3 |
8 |
1 |
8 |
2 |
59 |
4.9 |
総獲得数 |
61 |
64 |
57 |
66 |
70 |
65 |
66 |
59 |
63 |
65 |
54 |
64 |
754 |
62.8 |
総解雇数 |
25 |
25 |
19 |
21 |
24 |
20 |
21 |
11 |
19 |
17 |
17 |
15 |
234 |
19.5 |
早期解雇率 |
41.0% |
39.1% |
33.3% |
31.8% |
34.3% |
30.8% |
31.8% |
18.6% |
30.2% |
26.2% |
31.5% |
23.4% |
31.0% |
まず目に付くのが阪神と読売の解雇率の高さです。
阪神の高卒解雇率ワースト1(55.2%)はもう罪としか言いようがありません(^^;)
最悪なのが92年の5名、次に91年と99年の3名です。
ドラフト獲得枠が6⇒10名に改正された91年から2年連続で補強に失敗すればその後の低迷は理解できるかと思います。
読売の高卒解雇率ワースト2(48.1%)は91年の4名と00年の3名が支配的なのですが、大卒解雇数でも91年は4名と多く他球団の大卒解雇数は例年2名以下なので読売の91年ドラフトは大失敗と言えるでしょう。
阪神と同様に読売も大失敗しているのに低迷しなかったのは偏にFA補強の賜物と言えます。
そのFAの功罪として得意分野の筈だった高卒育成が頭打ち状態で伸び悩んだことを無視してはいけません。
目先の補強が後の低迷を生み出す諸悪の根源となることを他球団は肝に銘じて置かなければなりません!!
逆に解雇率の低い球団は福岡・近鉄・札幌です。
福岡は実働10年選手発生率でもトップ、解雇率もトップの低さで文句の言い様がありません(^^)y
近鉄と札幌は実働10年選手発生率は平均以下で解雇率は低い、ここに何か落とし穴がある様に思えます。
解雇率の低さは裏返せば見切りの遅さに繋がります。
厳しい様ですが主力になれない選手が一軍や二軍を行ったり来たりしていると他選手のチャンスを奪ってしまったり二軍の帝王になって若手の出場機会を奪ったりします。
阪神が立て直せた要因の一つに見切りの速さが挙げられます。
無論その裏にはドラフト指名の失敗がありますが、素早く失敗を改め入替えを頻繁に行ない選手層を厚くしていくことに成功しました。
近鉄は既にありませんが札幌には思い入れがあるので編成には頑張って貰わねば\(^^)/
次は各球団毎の傾向を紹介してゆきましょう。
阪神は先に述べた様に高卒解雇率ワースト1(55.2%)です。
実働10年選手発生率でもワースト3なので阪神ファンは高卒を獲って大きく育てようなどという夢は見ない方がよいでしょう。。。
育成できる余力があっても計画的に獲得すべきです。
また見切りの速さも編成の特色として挙げて置きたいと思います。
読売は高卒解雇率ワースト2(48.1%)に加え大卒解雇率もワースト2(33.3%)という不名誉な結果となりました。
但し高卒育成率の高さ、大卒解雇率を上げた年が91年のみという点からドラフト下手というよりも91年のみ大失敗という見方をした方が適切かと思われます。
ここのスカウト数は他球団より充実しており元々実績もあり、編成の見切りも速いので侮れません!
東京は意外かもしれませんが高卒解雇率ワースト4(41.4%)です。
これは名物スカウトが編成入りしてスカウト部に居なかった時期の失敗とリンクしている様です。
大卒解雇率の低さは獲得に成功していると見て良いかと思います。
中日は大卒解雇率ワースト1(34.8%)という不名誉な結果となりました。
失敗が目立った年が無い点を踏まえると不得意と捉えてよいでしょう。
広島は高卒解雇率ワースト3(42.2%)が支配的で、高卒の獲り過ぎは二軍全体のレベルを下げる要因にもなっていると思われます。
高いレベルで競ってこそ成長も期待できるというモノ、この点を編成は考えないといけません。
『安物買いの銭失い』は今の広島の実情を表している言葉かと思います。
横浜は無難に推移している様ですが一点気懸りがあります。
高卒を99年に5名、00年に6名獲得しており2年連続して大量指名するとその後の低迷の原因になる確率が高く、高卒の育成に実績のある横浜でも現状を踏まえると墓穴を掘った感が否めません。
今季も結果が伴わなければ定説として挙げてよいと思われます。
西武は無難に推移している様です。
91年に高卒を4名早期解雇していますが大きなダメージにはならなかった様です。
その意味では見切りが速い編成であろう思います。
福岡は文句の付け様がありません!
決め手と思われるのは高卒獲得数の少なさでしょうか。
獲得比率もバランスが取れており計画的に獲得して育成していることを数字が証明している印象があります♪
千葉は無難に育成している様です。
近鉄は先にも述べた様に解雇率の低さから一見良さそうに見えますが見切りの遅さは低迷脱却の足枷になることを肝に銘じておかなければならないでしょう。
神戸は総獲得数が少ない割に社会人選手の早期解雇率がワースト1(44.4%)で実働10年選手発生率トップだったのが信じられない結果となりました。
その原因は97年と00年に3名づつ早期解雇したことにあります。
社会人で年間3名解雇したのは神戸だけであり即戦力として獲得している筈の社会人で失敗したことが現在の低迷の引き金になったと思われます。
札幌は近鉄と同様に解雇率の低さから一見良さそうに見えますが見切りの遅さは低迷脱却の足枷になることを肝に銘じておかなければならないでしょう。
以上、獲得枠が拡張された91年から00年までの10年間で早期解雇された選手数を分析することで、実働10年選手発生率の分析とはまた違ったモノが見えてきました。
測定時期の違いにより高卒・大卒・社会人の獲得比率が異なる為、今一つ現在の12球団戦力分析と繋がってこない面もあるかと思いますが、最初の主旨であるドラフトの常識という点では興味深い発見があると思います。
ということで2つの分析結果から次に紹介する『まとめ』の項をお楽しみください(^^)y
付録も用意しております♪