あさの あつこ


review

バッテリー



面白かった!
児童文学とは思えないほどの主人公のひねくれっぷりが素敵。
作者が絶対狙ってるとしか思えない、それはそれは熱〜い友情?の絆を堪能させていただきました。
でも、兄弟の絆の方は、ダメだったなぁ。
弟の青波くん、苦手です。
汚れた大人には眩し過ぎて(^_^;)
あと、野球の説明になると脳が受け付けてくれない。
右から左へスルー。
でも美しい友情さえあれば、ノープロブレム!
まだ、はじまりの物語。
夏には文庫第二弾が出るようで楽しみ♪

バッテリー2



一巻よりも面白かったのは、青波くんの出番が少なかったというだけではないだろう。
ある意味お約束の先輩のイジメやクラスメートの冷やかしも、巧の生意気フェロモンの前には歯が立たず。
豪が可愛そうになってくるほど無意識に撒き散らされるソレは、本当にタチが悪い。
そんな罪な天才は確かに魅力的なんだけど、東谷や沢田が出てくるとホッとする。
普通の中学生ってこんな感じだよなぁって。
三巻の文庫化は冬かな?
今から楽しみ。

バッテリー3



巧が相変わらず生意気で、豪でなくともクラクラします。
お馴染みの一年生に混じって、爽やかなキャプテン、侮れない野々村など、野球部員が皆いい感じなのに対し、その周囲がイヤ!
教師として問題ありまくりな小町、そして、どうしてこいつが愛されるのかわからない青波。
今回青波視点の書き下ろし短編が収録されていますが、いりません。
キッパリ!
人徳とは無縁の身に、こういう人徳の塊みたいな子は天敵なのです。


バッテリー4



お話に大きな進展はないものの、巧の心には大きな変化が。
クールな天才の初めての動揺…。
嗚呼、これだけでご飯が三杯は美味しくいただけるわ。
吉貞君、いいなぁ。
こういう、場の空気を読める?子好きです。
沢口君も東谷君も。
巧は周りの人間に恵まれていると思う。
それとも、巧が引き寄せているのか。
瑞垣さんに苛められて悶々と悩む豪が不憫ですが、次巻で少し脱却できそう。
書き下ろしは、3巻に引き続きやっぱりいらない。
あの、「実は過去にも二人は出会っていたんだよ。本人達は覚えてないだろうけど。」というネタ、あまり好きじゃないんです。
本編の出会いの強烈さに水を差すようで。
本人達が覚えてないようなことだったら、どうでもいいじゃね〜か!
と、物忘れの激しい私はつい思ってしまうのです。

バッテリー5



巧が着実に変わっていく。
人ってのはこうやって成長していくんだろうけど、周囲を拒絶していた初期の頃の巧が好きなんだな、私は。
わがままな人とか孤高の人とか、気になって仕方が無い時がある。
そういう自分はわがままだし協調性もないけど、社会生活を送ろうと思ったら、どうしてもそれが中途半端になる。
だから徹底している人が、憎たらしいし羨ましい。
この文庫が出る少し前、甲子園を沸かせたスターの中学時代のチームメイトがTVでコメントしていて。
爽やかな笑顔で祝福していましたが、この本を読んでいてそれを思い出し、他人事ながら色々と複雑な心境になりました…。(2006/09/24)

バッテリー6



ずっと積んであったけど、挙動不振なピッチャーと亭主関白なキャッチャーの愛の物語な漫画を読んでいて、「そういえば、暗いバッテリーの話はどうなったけ?」と手に取りました。
どのキャラもそれぞれ成長したな、と感慨深いものが。
ラストは、「え、ここで終わり?」と思いましたが、エピローグとか書き下ろし短編とか無いほうが、より印象的に作者の書きたかったことが伝わってくるような気も。
全六巻。
長すぎず短すぎず、読後もそれなりにスッキリでき、良いシリーズでした。(2007/07/25)