津守時生


review

カラワンギ・サーガラ完全版 (1)密林の戦士 (2)犠牲の神 (3)神と人の物語

カラワンギ・サーガラ 完全版〈1〉密林の戦士(ラグ・カオヤイ)   カラワンギ・サーガラ完全版〈2〉犠牲の神   カラワンギ・サーガラ 完全版〈3〉神と人の物語


密林、という守備範囲外の舞台設定にためらわずに、もっと早く読めばよかった。
そうすれば、「三千世界の鴉を殺し」ももっと面白く読めたのに。
作者は折に触れ、このカラワンギ・サーガラを商業的失敗として、作者としてのあり方を反省?なさっているようですが、これはね〜、スニーカー文庫だからいけないんだよ。
ハヤカワ文庫辺りなら"感動のスペース・オペラ"とでも銘打たれて、それなりに売れたんじゃないかな?
出た当初は、ヤングアダルトという枠組みの中で浮いていたこの本を手にとろうともしなかった私も、今では逆にヤングアダルトの青臭さが気恥ずかしくなってしまったお年頃。
大変楽しく読むことが出来ました。
特に、後半はかなり三千世界の話とリンクしていて、「成る程ね〜」の連続。
ニコルとO2の馴れ初めも笑わせていただきました。(2004.10.21)

三千世界の鴉を殺し (9) (10)

  


イラスト、また変わりましたね。
違和感あります....。
表紙はそうでもないんだけど、本文イラストがね。
イラストレーター変更には諸事情があるのかもしれませんが、やっぱり最初が肝心。
ひよこの刷り込み。ぴよ。
決して嫌いなわけじゃないんだけどね、なるべくイラストを見ないようにして、脳内変換してました。
イラスト無くても充分面白いお話なんだけど、出版社的にそういうわけにもいかんだろうし。
お話の方は、相変わらず楽しませてくれました。
どんどん不幸になっていくワルターがたまりません。
頑張れ、雑草!
凹む雑草をよそに、美しく咲き誇る花たち...と思いきや、思考回路が特殊すぎる主人公に振り回されて、ややしおれ気味。
元気なのは、強いお姉さま方だけだったりして。
(2004.11.11)

揺らぐ世界の調律師(1)



1 世界観は好き。
もう少し音楽的な記述があるといいのだけれど、「歌で世界を調律する」、という設定がまず素敵。

2 美形万歳。
香縁も蘭導も、“お約束”をしっかりとクリアしたバランスの良さ。

3 エピソードがいい。
不覚にも泣きました。
こういう“家族の絆”的なものにますます涙腺が弱くなるのは、歳とった証拠かも…。
荒風に散らぬ薔薇。
お話は全然違いますが、子供の頃読んだバジョーフの「石の花」を思い出しました。

なんだ、いいことづくめじゃん、と思いたいところだけど。
一つだけ、どうしても我慢できない点が。
あの主人公の話し方、何とかなりませんか(泣)!
ああいう、幼児語っぽいの、昔からダメなんですよ。
…おひげがぞりぞりするよぉ…
調律している時と対比させる為だとはわかっていても、読んでるこっちは苛々するんだよぉ。
これさえなければ100点満点つけたいシリーズなのに。
(2005.11.12)