Eric Clapton 1999
 


 
 
 
1999年

11月9日(火) 東京・日本武道館
11月11日(木) 名古屋・愛知県体育館
11月13日(土) 福岡マリンメッセ
11月15日(月) 大阪・大阪城ホール
11月16日(火) 大阪・大阪城ホール
11月17日(水) 大阪・大阪城ホール
11月19日(金) 東京・日本武道館
11月20日(土) 東京・日本武道館
11月22日(月) 東京・日本武道館
11月24日(水) 横浜・横浜アリーナ
11月26日(金) 東京・日本武道館
11月27日(土) 東京・日本武道館


  
   Guitar, Vocals Eric Clapton
Guitar, Vocals Andy Fairweather Low
Bass, Vocals Nathan East
Drums Steve Gadd
Keyboards David Delhomme
Backing Vocals Katie Kissoon
Backing Vocals Tessa Niles


 
1. My father's eyes
2. Hoochie coochie man
3. Reconsider baby
4. Going down slow
5. River of tears
6. Pilgrim
7. She's gone
8. Ramblin' on my mind (Acoustic, Dobro)
9. Bell bottom blues (Acoustic)
10. Tears in heaven (Acoustic)
11. Change the world (Acoustic)
12. Gin house (Andy Fairweather Low vocals)
13. Cocaine
14. Old love
15. Badge
16. Wonderful Night
17. Sunshine of your love

<Encore>
* Before you accuse me

 
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「海外からやって来たクラプトン・ファン大阪漫談」
 
海外からわざわざクラプトンを観にやって来た2人のファン、オランダからやって来たAが泊まっている大阪のホテルには、なんと天皇がご滞在中だったとか。

一方、アメリカから大阪にやって来たBが泊まっているホテルにはなんとクラプトンがご滞在中だったのだそうです。
 
そんな二人の会話
 
A:「私が泊まっているホテルにはエンペラーが滞在しているのよ!!」
B:「なに言ってんのよ、私んとこなんてゴッドが滞在してんのよ!!」
 
この場合、どっちが勝ちなのだろうか・・・
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今日はジャパン・ツアーの最終日・・・

この日の九段下の武道館へ続く道はいつもより短く感じる。この道を上り切ってたまねぎ頭の会場が見えたら「今日でおしまい」が始まる。昨日までは次を楽しみにしていればよかったのですが、今日はそれがない。11月9日から始まった日本公演。あんなに濃密だった日々がこれでとりあえずおしまいになってしまうのがなんだかとっても不思議で、そんなことをとりとめもなく考えていたらあっと言う間に武道館に着いてしまった。席についてステージのセッティング風景を見ているとまだ始まって欲しくないような気持ちになってしまいました。なんだか変な感じ・・・。しかし、そんな私のオセンチな気持ちは誰も知るよしもなく、心の準備が出来ない内に会場が暗転してしまいました。「こんなこと考えている場合じゃない。しっかりとこの目に焼きつけて帰らないと!!」そう気を取り直して暗くなったステージを見つめていました。

会場の一部から歓声が上がる。ほどなくしてステージ脇でギター・テクニシャンのリー・ディクソンからギターを受け取ったクラプトンが姿を現した。ステージ中央に来るなりステージの足下を見てなにやら笑っている。ステージになにか置いてあるようだ。それを見て笑いながらギターをジャラジャラ弾き始めたクラプトンは最終公演の第一曲目のMY FATHER'S EYES を始めました。今日が最終公演と言うこともあり、観客の反応もいつになく始めから盛り上っていたように思います。この曲が終わった後、クラプトンは自分を呼んでくれたウドー音楽事務所の面々へのお礼などを述べ、クラプトン自身も今日が最後と言うことを十分意識していたようでした。今日の演奏も非常に素晴らしく、内容の濃い演奏を始めから演ってくれました。PILGRIM、RIVER OF TEARS、GOING DOWN SLOW 、SHE'S GONE と続くピルグリム・ナンバーもいつ通り素晴らしい出来でした。コンテンポラリーでドラマティックでメロウで激しくてボーカルもギターも文字どおり歌っている。ここで改めて言うまでもないかも知れませんが、CDに収録されているバージョンとは全然印象の違うこれらの曲は、昨年のツアー開始当初から比較してサイド・ギターであるアラン・ダービー、大規模なオーケストラが抜けてもいまだ進化を続け、ここに来てライブ・バージョンの完成を見た気持ちになりました。海外でピルグリム・ツアーをご覧にならなかった方々、ご安心下さい。日本公演はこれまでのどの海外公演と比較してもそれらに勝るとも劣らないコンサートでしたよ。ましてやこのピルグリム・セットに続くアコースティック・セットに至っては海外のクラプトン・ファンはさぞや地団駄踏んで悔しがったことでしょう。こんな素晴らしいプレゼントが他にあったでしょうか。

プリミティブなドブロ・ギターとロバート・ジョンソンばりのファルセット・ボイスで魅了してくれた RAMBLIN' ON MY MIND、最近のファンには特に欠かすことの出来ない重要な曲、TEARS IN HEAVEN、これまたアコースティッック・セットではズッポシとハマッた BEFORE YOU ACCUSE ME、オールド・ファンを号泣させたBELL BOTTOMBLUES、今なおアレンジ面で進化を続ける CHANGE THE WORLD。どれも素晴らしい!!エレクトリック・セットに戻って最初にプレイされた GIN HOUSE もこれまたおそらく一般のツアーでは世界初登場、この日もクラプトンの爆裂ギターが会場を震わせました。COCAINE ではいつもより多くの観客が席を立ち、私が座っていた一階席から見る限り、アリーナの7割近くが席を立って声援を送っていました。面白いことにアリーナ席は両端から席を立っていく人が増えていくんですね。センターのあたりは後ろの人にやはり遠慮があるのでしょうか、曲の途中からパラパラと立ち上がっていました。今回の公演では COCAINE のギターも非常に冴えを見せ、大きな見どころとなっていました。この日も例外ではありませんでした。これに続く WONDERFUL TONIGHT も、ともするともうイイよ、なんて思う位何度も聴いた曲ですが、こと最終公演となるとやっぱりじっくりと聴いてしまいます。これら SLOWHAND に収録された曲は今やクラプトンの代表曲となっており、全く古さを感じさせませんが、クリームやDOMINOS 時代の曲はともかくこれら SLOWHAND の曲でさえ、もう20年以上前の曲なんですね。それに気が付いた時改めてクラプトンの偉大さを感じました。続く BADGE でも非常に印象的なプレイを聴かせてくれました。曲中に入るブレイクあとのアルペジオは何度聴いてもゾクゾクしますね。クラプトンのツイードのアンプの横に鎮座している木製の大きな箱、レズリー・スピーカーが威力を発揮する瞬間です。レズリー・スピーカーの中で回っているファンがくるくる回っているのが一階席からでも確認出来ました。二回目のブレイクでは思い切りひずませた音をいつまでも鳴らし続け、次にやってくるクライマックスをさらに期待させる演出もしてくれました。すごい迫力のあるブレイク音だったなぁ。

さて、前日はバンド・メンバーにさえ知らせることなく突然歌い出した STORMY MONDAY、この日も演ってくれました。前日のセット・リストを聞いて悔しがった人達でしょうか、歌い出しがHAVE YOU EVER LOVED A WOMAN でないことを確認した瞬間の歓声のすごかったことすごかったこと(笑)。私も思わずその人達に向かって心の中で「よかったね」とつぶやいてしまいました。これまた連日 TAHT'S ERIC CLAPTON !! なプレイを聴かせてくれるこのコーナー、この日もはじけていました。私にとってこの日のベスト・テイクはこの STORMY MONDAY で決まりです。とってもエモーショナルなブルース・ナンバーが終わった時点でふと時計に目をやると、もう9時を過ぎている。いつもなら LAYLA も終わっている時間だ。MCが途中で入ったとは言えそれだけ演奏にも熱が入っていたと言うことでしょう。そしてとうとう今回の日本公演で聴く最後の LAYLA。この時点で私もほとんど涙目。始まりを予感させるクラプトンのギター・ソロの冒頭で何か大きな雑音が入り、ベースのネーザンが少し慌てていたように見えた。それでもおかまいなしに不穏な旋律を奏で続けるクラプトン。なんだかこんなアクシデントさえも最終日だったから起こったのではと、その必然性さえ探してしまう私でした。そしてあの切なくも激しいリフレインが始まった瞬間アリーナはもちろん総立ちです。みんなスゴイ勢いで声援を送っている。みんなも感動的な最後を一緒に迎えたかったのでしょうね。そんな気持ちがひしひしと伝わって来る観客のレスポンスでした。激しい前半部がクラプトンの激しいギターで幕を閉じ、ピアノ・パートではまたクラプトンのギターが今度はやさしくこちらに語りかけてくる。このギターを聴いて「あぁ本当に終わりだ」と思い、胸が締め付けられるような気持ちになりました。演奏がとうとう終わり、クラプトンがゆっくりと会場を見渡しながら手を大きく振ってステージ脇の暗闇に消えて行きました。

ほどなくしてバンド・メンバーが大歓声に包まれて再び登場。ここでクラプトンが「今日は最後だからいつもはやってないけどメンバー紹介をします。でも誰が誰だか分かるよね。」と言ってメンバーを紹介し始めました。そしてアンコールのSUNSHINE OF YOUR LOVE が爆音のようなリフとともに始まりました。会場はもう最高潮と言った感じ。手拍子が四方八方から激しく聞こえてくる。バンド・メンバーもこれがホントに本当の最後だと言う感じで、「もう出来なんか気にしちゃいられない、悪いけどはじけさせてもらうよ。」と言わんばかりにノリまくっていました。圧巻は最後のワン・コード進行のフィナーレ。間違いなく今までで一番長く激しかったでしょう。ここでクラプトンが合図をメンバーに送るとその夜は終わりを告げる。この晩はいつになくバンド・メンバーみんながクラプトンに注目している。その顔は間違いなく「オッサン、まだ終わるんじゃねぇぞ」と言っている(笑)。クラプトンもそんなバンド・メンバー、そして私達観客の気持ちを察しているようで、なかなか止めようとしない。しかしいつまでも続けるわけにはいかず、とうとうクラプトンがドラムスのスティーブ・ガッドに合図を送った、それをきっかけに今世紀最後のクラプトンのジャパン・ツアーは幕を閉じたのでした。

演奏が終わりメンバーがクラプトンに呼ばれ、横一列に並ぶ。いつにもましてニコヤカな面々が観客席に向かって丁寧に何度もおじぎをする。おじぎが終わってもなおみんなステージを立ち去り難い様子だった。ゆっくりとステージを去り、最後にネーザンが観客席に向かって「ミナサン、オツカレサマデシタ!!」本当に夢のような、そして熱にうかされたような三週間が終わってしまいました。荷物をまとめ家路につく他の観客を見つめながら、さっそく撤収作業に入ったステージを見つめていると、またオセンチな気分になりそうだったので、私も席を立ち会場をあとにしました。思い返すと多少の出来不出来はあったかもしれませんが、終始非常に高いレベルでプレイし続けてくれたクラプトンには「どうも有難う」としか言いようがありません。50半ばにさしかかり、二時間まるまる出ずっぱりが三週間あったんですよ!!これって冷静に考えるととても人間業とは思えないことだと思いませんか?これからもずっとずっと現役で私達を魅了し続けて欲しいと願うばかりです。


(11/30、日本武道館、Domino)
 
 
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