Caravan '04
 


 
 
 
2004年
10月9日(土) 大阪・Club Quattro
10月10日(日) 東京・Club Quattro

  
   Vocals、Guitar Pye Hasting
Drums Richard Coughlan
Guitar Douglas Boyle
Keyboard Jan Schelhaas
Bass James Leverton
Viola、Flute、Percussion Geoffrey Richardson



 

(カッコ内は収録アルバム名)
 
1. Memory Lain、 hugh
2. Headloss
3. The dog the dog he's at it again
4. And I wish I were stoned
5. Golf girl
6. Nine feet underground
7. Head above the clouds
8. Revenge
9. Nightmare
10. Smoking gun
11. The unauthorised breakfast item
12. Backwards (A hunting we shall go)
13. For Richard

<Encore>
1. It's not real
2. If I could do it all over agin, I'd do it all over you


 
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【カンタベリー好きのみなさまとPOSEIDONさんへ】 すみません。筆者が十分に下調べをしておりませんでした。今回のCaravan、Grey & Pinkの公演はCanterbury FestivalとしてプロモータのPOSEIDONさんが企画してくださったものです。事情も知らずに、「どうしてこの2つのバンドが同じ渋谷でやるんだよ!」とかくだらないこと書いてすみません。ライブの実現に至るまでは、ひとかたならぬ苦労があったとのこと。この場を借りてこのイベントを実現してくださったことを感謝いたします。ひとえにこのバンドへの愛情からくるものだとご理解いただき、お許しいただければ幸いです。

20年越しのファンである筆者は、90年代アタマにCaravanが再結成ライブを英国で行ったことを知り、色めきたちました。そして西新宿のブート屋さんで映像を入手して狂喜乱舞。これまで写真と音でしか知らなかったバンドの全貌が明らかになったのです。そして来日が実現することをひたすら待ちました。待って、待って、待ちくたびれた2002年に最初のライブが実現。しかしチケットが半年前に発売されていたことを知り、そのときは涙を飲みました。そして2003年にカンドーの初ライブ!そして今回のCanterbury Fesなのです。しかし1990年の再結成ライブ後に始まった確執によって2組が相容れることなく別々に同じ曲をやったことはやはり残念でなりません。このことについては同意してくださる人は多いと思うのですが。

以下より本編です。

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さて、昨年のライブではオープニングが“All the way ”とやけにたそがれていたので心配になっていたのだが、今年は“Memory Lain, Hugh”〜“Headloss”のお約束なナンバー。リードギターにせっかく(比較的)若手のDouglas Boyleを入れているんだから、元気よくやってもらいたいものだ。ニューアルバム“The Unauthorized Breakfast”からの新曲もなかなか良い曲が多く、前方で立って観ていたお客さんもトシを忘れてノリノリ。Boyleのギターはかなりノイジーかつワイルドで、“Nine Feet Underground”のクライマックスで聴かせたソロは圧巻であった。

「人間、声だけは年を取らないんだよ」と年上の友人に教えてもらい、「へー」と思ったことがあったが、齢58になるPye Hastingsの声も変わらない。あの鼻にかかったような甘い甘いハイトーンボイスは健在だ。男性客が9割がたを占めるバンドなのだが、Pyeの声でイチコロになった女性ファンは筆者以外にも結構いるはずだと思う。決して上手い人ではないのだが、艶というものを感じるのだ。彼の書く憂いを帯びた曲はやはり彼が歌ってこそ生きるもので、このバンドの1大チャームポイントだと筆者は思っている。1週間後にRichardが“The Dabsong Conshirtoe”のさわりを披露したのだけど、アレはやっぱりPyeでないとなぁ。反対に“Golf Girl”(*1)のように牧歌的でやさしい味わいの曲はRichardの声の方が映えるのである。2人が同じステージに立たなかったことは残念でならない。

*1:この曲は10/10にPyeバージョン、10/15に本家Ricardバージョンの両方を聴くことができた

さて、どちらかといえば職人気質的で不器用そうなPyeを尻目にショーマンシップを発揮しているのは、バンド中一番華がありダンディなGeoffrey Richardsonだ。昨年から筆者はすっかりこのオジさんのファンになってしまった。愛嬌がありMCもうまいのだが、なんといっても一人で3種類の楽器を操り器用なのである。ヴィオラを指ではじいて弾いてみせたり、軽快なパーカッションを披露したりと、変幻自在なパフォーマンスで客席を大いに沸かせるのである。後期からの参入なのでPyeに気を遣っているのかもしれないが、この人がバンマスでもいいんじゃないかなぁと思うのであった。ライブのエンディングまで、この人はバンドのムードメイカーとして大活躍であった。

多分このバンドは長いツアーに出ることもなく、自分たちの体力と相談しながらマイペースかつ地道に活動を続けていくのだろう。80年代のプログレ不遇の時代には会社勤めも余儀なくされていた(*2)ようだが、90年代に入って旧譜の再発ブームがあってからはすっかり盛り返して現在に至っている。事務所を設け、自らの公式サイトでファンとのコミュニケーションも図っている。現在では世界各地で引き合いがあるようで、ヨーロッパだけでなく北米、南米でもコンサートのスケジュールが入っているのだ。大人になってからこのバンドのファンがこんなに多かったのかとびっくりした筆者であったが、これは世界的な現象だったのだ!本物は絶対残る。現在はバンドができるだけ長く活動を続けられることを祈るばかりだ。

*なんと、Pye Hastingsは地下工事の現場でリーダーシップを発揮したそうだ

(10/10 渋谷Club Quattro、Issei)
 

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