The Artist Formerly Known As PRINCE


1984年は、まさにプリンスの年だった。「紫の雨に包まれた年」というのは、大袈裟かもしれないが、何かにつけ、プリンスの歌を聞いていたような気がする。「Let's Go Crazy」「Purple Rain」といった彼のヒット曲だけでなく、シーラ・Eの「グラマラス ライフ」や、チャカ・カーンの「I Feel For You」まで、僕は1年間を通して、プリンスの歌を聞き続けていたような気がする。

当時は、アメリカンポップが日本でも大流行で、マイケル・ジャクソン、デュラン・デュラン、ワム、デビッド・ボウイ、マドンナ、スティング、カルチャークラブらのミュージック・ビデオを、小林克也のベストヒットUSAなどを通して、毎週かかさず見た。

その中でも、挑発的なセクシーポーズ、濃い胸毛、ゲイとも見間違うそのファッション、幻想的な映像のなかのプリンスの印象は別格だったような気がする。

その後、何年間かは、たまにアルバムを買って聞く程度だったが、アルバム『The Gold Experience』を聞いてから、また自分のなかにプリンス熱がよみがえったようだ。

彼の音楽は、常にありきたりのものを嫌い、新しいものをめざす。10年前の曲を聴いても新しい。そして彼の音楽への情熱は、アルバムの多作からも、同じ傾向のものを決して作らないことからも伺い知れる。シングルのB-SIDEでさえ、「Another Lonely Christmas」のような名曲が隠れているのがうれしい。

数ある名曲の中から1曲を選ぶとすれば、アルバム『The Gold Experience』に収録されている「Gold」を選ぶ。
「all that qitters ain't gold」(キラキラ光るものすべてが黄金てわけじゃないんだ)って、良い言葉だと思いませんか?

戻る