竹という植物は、一説によると六十年に一度開花するといわれているが、

実際には百二十年前後に一度、花を咲かせる。

開花後、その竹林は枯死してしまい、再生するには多くの年月を必要とする。

一本一本の竹の寿命は十年前後でありながら、集団で竹林としても生きる、

木とは違う不思議な植物が竹である。

竹の花が咲くと世の中に異変が起きるといわれている。

藤原新也は、竹の花を例に挙げ、

人間という種の寿命にも、滅びの前兆が訪れているのかもしれないと語った。

彼は、そう語った約一ヶ月後、房総の山中で竹の花に遭遇した。