アンドレイ・タルコフスキー

 

 「惑星ソラリス」冒頭で、水草が小川の中で妖しくゆれる映像が無類に美しい。

 タルコフスキーの映画に多く見られる印象的な映像にはどれも共通した特徴がある。

ひとつは水にまつわる映像が多いこと。

 特に印象に残っているのは、「惑星ソラリス」で描かれた、母親に陶器の水差しで腕の汚れを洗い流してもらうシーン。ベッドに敷かれたビニールの微かな音と水音の優しさ。

 もうひとつは、その映像が一枚の絵画のように完成されていて非の打ちどころがないことだ。

 1986年死去。生涯をとおして残した作品は8作品しかない。

 自分と共通のベースを持つ映画監督として「クロサワ、ミゾグチ…」を挙げている。

 この両監督が描いた日本はタルコフスキーにとって実に魅力的だったようだ。

 最後の作品である「サクリファイス」では尺八の音色がながれ、「惑星ソラリス」では赤坂見附に至る首都高速道路が未来都市の情景として描かれている。


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