ジムの武装


 人型、手を模したマニュピレーターの採用でモビルスーツは、その運用開始時に想定した以上に多種多様な火器を運用することが可能となった。ジムも、その例外ではなく連邦軍の主力モビルスーツに恥じることなく多種多様な火器の運用が可能であった。ここでは、1年戦争または、それ以降に使用された火器を紹介する。


60ミリ多重砲身砲
固定

 RX−77で試験的に装備された頭部固定の2門の多重砲身砲は、連邦軍のトレードマークである。その実効性は、それほど高いわけではないが、接近戦時に戦闘制御コンピューター連動で発射される60ミリ多重砲身砲に命を救われた連邦軍パイロットも多い。携行弾数そのものは少なく、連続発射した場合3秒で撃ち尽くしてしまう。集弾性能や、携行弾数を考慮するならば近接時の非常手段の域は出ない。

 本火器は、銃身長1.12m、3銃身であり、152ミリの弾体長をもつ砲弾を高性能液体炸薬によって初速740メートルで発射が可能であり、100メートルで72ミリの鉄板を貫徹出来た。砲弾と液体装薬は、別部分に装備された。もちろん、宇宙空間では発射速度が減殺される事は無く、命中しさえすれば有効な火器であった。

ビームサーベル
固定

 RX−78の開発時に実用化ができたビーム兵器である。メガ粒子をミノフスキー物理学を応用しプラズマ状に放出し10メートル近い『刃』を形成する。画面で見られるようなビームサーベルやヒートホークをビームサーベルで受け止めることは不可能である。大量にエネルギーを消費するこの兵器の連続使用時間は、10分と短かいが、その威力は、絶大である。

ビームスプレーガン
手持ち

 ビームライフル(携行型メガ粒子砲)の実用化に成功した連邦軍だったが、問題がないわけではなかった。威力の点ではなんの問題もなかったが、主に発射速度と発射回数がネックとなっていた。有視界でしか戦闘できないことやメガ粒子砲の威力を考えればビームライフルは、明らかなオーバースペックであった。その点を考慮してメガ粒子の収束度を低減し、連射性と発射回数を増したのが、ジムの標準装備となったビームスプレーガンである。発射速度は2倍、発射回数も2倍以上の60回になり、十分に実用的な火器となった。

 戦後のゲーム中では、バランスを取る為に低威力で表現される事の多いビーム火器の中にあってもっとも低く評価される本火器だが、実戦ではいかなるジオン軍兵器をも一撃で破壊可能だったことを忘れてはならない。ましてや、モビルスーツに限るならば命中は、即撃破を意味している。戦時中にジムと交戦して生き残ったパイロットは、ジムからの直撃を受けなかったと言う事にほかならない。また、短射程と表記される事も多いが、それはあくまでビームライフルと比較してであり、ジオン軍が正式化したあらゆる実体弾火器のいずれと比較しても少なくとも10倍近い有効射程を誇る。

ビームライフル
手持ち

 モビルスーツにメガ粒子砲を装備できないか?これは、連邦軍が、モビルスーツを開発し始めた当初からの課題だった。しかし大エネルギーを必要とするメガ粒子砲は、最低でも巡洋艦クラスでなければ搭載不可能と言われていた。しかし、それを解決するエネルギーAPCの技術開発に成功し、夢物語は、現実となった。この結果、1機のモビルスーツは、まさに戦艦並の攻撃力を持つに至った。しかし、余りに莫大なエネルギーを消費するこの火器は、発射速度と発射回数(20〜24)を、ネックとした。しかし、優秀なパイロットとビームライフルの組み合わさった場合、その戦闘力は絶大であり、一撃でジオン軍のどんな標的も撃破が可能であった。

ハイパーバズーカー砲
手持ち

 口径880ミリ、弾体長4m20にも及ぶロケット弾を射出する実体弾の火器。バズーカー砲と呼称されているが、その実体は無誘導の中型ミサイルと呼んだほうがふさわしい。その威力は、船体に直撃してさえ1発でムサイ級巡洋艦を半壊させてしまうほどであり対艦兵装としてまさにふさわしい。成型炸薬を主体とした弾体は、最適角度で直撃した場合、グワジン級における船体の35%の居住区画に致死的な破壊力を持った噴流を送り込める。

SG−7
手持ち

 ビームライフルの実用化を進めていた連邦軍だったが、万が一開発が間に合わずに開戦してしまった場合を考慮し、実体弾火器であるSG−7の開発も平行させていた。ケースレスカートを採用したこの口径100ミリの火器は、モビルスーツよりも先に実用化が可能となり、各種試験を経て77年には採用された。当初生産の歩留まりが悪かったビーム兵器は、宇宙の実戦部隊中心に配備されたため地上部隊には、SG−7が多く支給された。

 地上戦闘専用に設計された本火器は、初速1050mにおよび、射入角90度の場合、180mmの鋼板を貫徹出来た。

MK−22
オプション

 シールドの裏側に5発装備することができる。モビルスーツが、使用するために手榴弾のように見えるがテルミットを300キログラム詰めた込んだその威力はもはや手榴弾でイメージできるようなものではない。宇宙用のものには単方向推進ロケットが取り付けられており、多少の自行能力が付与されている。

 本兵器は、対モビルスーツ戦用火器ではなく、宇宙戦闘における拠点への投擲破壊兵器である。もちろん、破壊力の上からは、直撃、ないしは至近で炸裂した場合、どんな種類のモビルスーツも大破させることが可能である。ソロモン戦やア・バオア・クー戦で多用され、効果的に拠点を破壊する事に成功した本兵器ではあるが、戦後はそのような戦闘自体が生起せず、また、ミノフスキー粒子下でもある程度誘導が可能な通常弾頭弾が登場してきた事も相まって次第に正式装備から外れていく事になった。

MSM−117
オプション

 6発の戦域制圧ミサイルをコンテナ状に詰め込んだ火器。最大射程は20キロあり、6発全部の一斉発射では1×2キロ四方を制圧できる。通常は、対人用と対装甲車用のミサイルを使い分ける。対モビルスーツ戦用の火器ではなく、モビルスーツが、地上部隊を支援する為の火器である。

MG−42ビームマシンガン
オプション

 戦後、モビルスーツの高機動化に伴って従来のビーム火器では、その発射速度が問題とされるようになった。また、実体弾火器ではやはり発射速度の限界及び火力不足が問題視されていた。そういった事態に解答を示すべく開発されたのが、このMG−42ビームマシンガンだった。その発射速度は、ビーム火器としては驚異的な毎分180発を達成し、連続発射能力も実に120発に達した。しかし、高性能故、その製造コストは非常にかさみ、1機のモビルスーツに匹敵するまでになった。このため、非常に優秀な火器であったにも関わらず、本火器は、1部のエースパイロットに試験的に配備されるに留まった。


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