ITPとは?
正式名称特発性血小板減少性紫斑病 (Idiopathic Thrombocytopenic Pupura:略ITP) |
血小板
数値 | 血液1立方mmの中に10〜30万個 |
大きさ | 2〜4μ(ミクロン) |
厚さ | 1μ(ミクロン) |
容積 | 10立方μ(ミクロン)以下 |
寿命 | 8〜11日 |
特発性とは?
特別な原因も見当たらないのに起こる病気という意味 つまり特別な原因が見当たらないのに血小板が減少する病気という意味 |
2つのITP
急性特発性血小板減少性紫斑病 | 何のきっかけもなく起こることもあるが、麻疹(はしか)などのウイルス感染の病気に引き続いて起こることもある 子供に多く、男女差はない |
慢性特発性血小板減少性紫斑病 | 徐々に発病するため発病時期がはっきりせず、数値が自然に正常になることは少ない 思春期以降の女性に多い |
原因
急性特発性血小板減少性紫斑病 | 抗原抗体反応の結果生じた免疫複合体という物質が血小板と結合するため |
慢性特発性血小板減少性紫斑病 | 血小板に対応する抗体がつくられこれが血小板と結合するため |
それぞれ脾臓や肝臓で血小板の破壊が進行して減少する
症状
急性・慢性、ともに全身の紫斑、鼻出血、歯ぐきの出血が起こる 2万個以下という高度に減少した人では、血尿、下血、吐血、喀血などが起こる まれに、頭蓋内出血を起こすこともある 成人女性では生理が長く続き出血過多になる |
人それぞれ個人差がある
※鼻出血は回数よりも出血時間が重要※
診断基準
紫斑(点状出血・溢血斑)・歯肉出血・鼻出血・下血・血尿・月経過多など
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1.血小板数10万/μl以下 2・赤血球、白血球の数、形態は正常 3・骨髄の巨核球数は正常ないし増加し、血小板付着像を欠くものが多い 4・血小板結合免疫グロブリン(PAlgG)増加 |
血小板減少を来し得る各種疾患を否定
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
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特定発病または診断から6ヶ月以内に治癒
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↓
↓
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← |
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推定発病または診断から6ヶ月以上遷延
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慢性型ITP
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治療
急性ITP | ほとんど自然治癒してしまうので、ビタミンC、アドレノクロム剤のような血管強化剤のみを投与して経過を観察
軽症 γ(ガンマ)グロブリン大量療法が副作用の少ないことから適応 重症 ・ ステロイド薬(1〜2mg/kg/日、最高量60mg/日を2〜3週間投与 副作用の問題があるので出血症状が軽減すれば早期に治療中止 ・パルス療法30mg/kg/日×3日間連日静注(1クール) 1〜3クール施行 |
慢性ITP | 血小板数が3〜4万個以上で出血傾向が軽症 治療の対象とはならない 血小板減少が高度で出血傾向が強い症状 ステロイド薬の投与・γグロブリン大量療法・脾摘(脾臓摘出) 出血症状が改善されればステロイド薬を減量または中止 出血症状が増悪するときはステロイド薬5〜10mg/日の維持療法 |
脾臓摘出
Q
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A
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脾臓とは | 左上腹部の第9〜11肋骨にかくれた部位にある臓器 重量約100g |
血管経路 | ・動脈→細動脈→脾洞→細静脈→静脈 |
手術は | 開腹手術(手術による死亡事故はない) |
方法 | ・血小板が5万個以上に増加した時に血小板輸血をしながら行う ・γグロブリンなどの大量投与後、血小板の増加後に行う ・大量の血小板輸血をしながら行う |
時期 | 5歳以上(脾臓を除去しても健康状態に支障をきたすことはない) |
なぜ | ・ステロイド薬の長期投与または10mg/日以下に減量できない場合副作用のリスクが大きい ・女性の場合、これから妊娠するという時期にステロイド薬の大量投与は胎児への影響(催奇性)がまったくないとは否定できない ・脾臓で血小板を破壊、阻止している |
日常生活
・ステロイド薬を大量に投与しているときは感染症の恐れがあるので人ごみは避け、マスクなどを着用する ・血小板数が少ないときは、ぶつかったり転んだりするような激しい運動は避ける ・安定している時は一般の生活と同じように過ごしてよい ・ストレスを抱え込まない ・定期的な通院を怠らず、血小板数値を調べる ・ITPを自覚し、家族や周りの配慮も大切である |