- ハリソンは、ミサイルを再装填するために敵味方の入り乱れるア・バオア・クー空域を必死の思いでEフィールドの大隊基地に戻ってきた。リッツェン少尉機とともに最後まで追随してきていた大隊の生き残りのガトルは、味方からと思える射撃を受けて基地に到達する寸前で四散した。
- しかし、今のハリソンにはそのことをどうこうしようという思いはなかった。みんな殺気立っているのだ。彼らは、運が悪かったのだ。結局、戻れたのはハリソン、リッツェン少尉とそのサブパイロットのリー曹長の3人だけだった。
- 出撃した場所に戻ってきたたった2機のガトルは、補給エリアへとマニュピレーターで運ばれ、固定される。固定されると同時に、整備班が、飛び付いて機体の各部をチェックしにかかる。推進剤補給のパイプが、引き伸ばされ右翼と左翼のそれぞれの補給口へとつながれていく。一見、喧騒に満ちているように見えるが少し視線を引くと、大隊規模のガトルを同時補給できる能力を持て余しているのは一目瞭然だった。
- 仮に補給と整備が完了してもハリソンの機体のほうは再出撃できるかどうかは疑わしい。副操縦席が完全に破壊されてしまっているし、各部の損傷もリッツェン機よりも明らかに激しいからだ。
- ミサイルの再装填と推進剤の補充、機体の整備には少なくとも30分はかかる。なにか口に入れるためにコクピットから出た3人のところに、ノーマルスーツの右肩に484大隊のマークを付けた士官が、飛んできた。
-
- 「484大隊は、これだけか?」
- 重々しい声だった。その声を聞いた瞬間、3人は、姿勢を正した。それは、紛れもなくレモー大佐の声だった。
- 「ハイ、大佐。残念ながら我隊は、壊滅しました」
- 敬礼をし、ハリソンは、何も隠さず、希望を持たせる言い方もしなかった。もちろん、部隊の誰かが奇跡的に生き残っている可能性はあったけれど、今は関係のないことだった。本来なら戦果報告もするべきなのだろうけれど、今はそんな気分にはなれなかったし、大佐も聞く気はないはずだと思えた。
- 「残念だ・・・」
- レモー大佐は、絞りだすような声で言った。バイザーの中は逆光になって見えなかったが、部下思いのレモー大佐は、おそらく苦渋に満ちた顔をしているに違いなかった。「再出撃、行ってくれるか?」
- その声は、さらに苦渋に満ちたものだった。
- たった2機と3人になってしまってもなお出撃を命じなければならない自分の立場を大佐は十分にわかってはいても、その命令のもつ意味を考えればそうならざるを得ない。
- 「もちろんです、大佐。我々はまだ戦う力を失ったわけではありません」
- ハリソンは、毅然とした態度でいった。そして、その言葉にはガトルパイロットの誇りがこもっていた。リッツェン少尉も、その後ろで背筋を伸ばし顔色一つ変えずにいる。リー曹長ですら、その顔には、恐怖の色は全く浮かんではいない。
- 「Eフィールドの26ブロックでガトル隊の生き残りの再編成が進められている。いまのところ君が先任だ。君らのガトルも内部通路を使って26ブロックに搬送されるだろう、頼んだぞ」
- もちろん、この再編成はレモー大佐にとっても本意ではない。たとえ数が揃ったとしても急遽混成された部隊が役に立つとは思えなかったからだ。
- 「了解です」
- そう答えたハリソンは、別な考えを持っている。少なくとももう一度、連邦軍にミサイルを叩き込むチャンスを与えられたのだ。今度こそは、無駄にはしまいと心に誓う。何もミサイルを発射することだけが、命中させる手段ではないと自分自身に言い聞かせる。多くの部下を失ってしまったハリソンにとって自分の命は、もはや守るべきものではなくなっていた。
- 「生きて帰ってこい」
- そういうと、レモー大佐は右手を力強く差し出し1人1人と堅い握手をした。その言葉は、まるでハリソンの決意を見透かしているようだった。大佐が、そのことに気が付いているのかどうか?また、気付いていてそれをやめさせるためにいったのか?それはハリソンにはわからなかった。仮にそうであっても、ハリソンの決意は変わらなかったに違いなかった。
- 大佐自身は、身を翻し司令部の方へ続く通路へと身体を泳がせた。心なしか、堂々としているはずの大佐の背中が小さく見え、それがハリソンの決意をさらに堅いものにしたのは皮肉なことだったかもしれない。
- 大佐自身も、この戦いが終わったときに生きてはいないだろう。そのことはハリソンにも容易に想像がついた。大佐は、子供のような部下を多く失ったことに誰よりも心を痛めているのだ。
-
- 「ブレア少尉、中尉達を26ブロックに案内しろ」
- 中隊指揮官のスコット少佐に呼ばれてそういわれたのは、2機のガトルが相前後して帰還してきて、その整備、補給に取り掛かろうとした瞬間だった。そういわれてリンダは訝った。確かに、たった2機しか帰還しなかったガトルを整備するには2個整備小隊の人数は多い。けれど、リンダは、B小隊の指揮官なのだ。
- それに26ブロックへは、誰だっていける。
- 「すぐに陸戦が始まる」スコット少佐は、そういった後にヘルメットバイザーを触れさせ、隊内無線を切っていった。もちろん、戦闘中に隊内無線を切ることは軍紀違反である。くぐもった声が、ヘルメットを振動させて伝わってくる。「ジオンは、負ける。ハリソン中尉との時間を大事にしろ。ガトルの発進準備はおそらく間に合うまい」
- それだけいうとスコット少佐は、リンダから離れた。
- 確かに、ア・バオア・クー全体は、時折不気味な震動に襲われている。誘爆を起こしているのだろう。初めは、驚いてあたりを見回していた兵士達も、今はそんなことを一々していられないくらい頻繁になってきている。それでも、兵士達の動きを止めてしまうほどの震動が時折襲う。よほど、大きな爆発が起こったのか、そうでなければ至近でなにかが爆発しているせいだ。
- 「行け」
- スコット少佐は、最後に強い口調で言い放った。
- 「スコット少佐・・・」
- しかし、もうスコット少佐は、リンダのいうことを聞こえないふりをした。
- 「A小隊は、ハリソン中尉の機体を、B小隊は、わたしとリッツェン少尉の機体を。急げ、連邦は、待ってはくれんぞっ!!」
-
- 「ハリソン中尉、26ブロックへ御案内します」
- 「?」
- ハリソンは、一瞬なにかの間違いかと思った。もちろん、兵士が士官を水先案内するのは普通のことだ。しかし、補給隊の士官が、その役目を果たすのは普通ではない。それが、リンダであればなおさらだ。
- 「少尉には、仕事があるはずだが?」
- ハリソンは、思わずいってしまった。
- 「スコット少佐から命令されました」
- リンダ自身も戸惑いを隠せない口調で言う。
- 「余計だ、26ブロックへは、我々だけでいける。少尉は・・・」
- 「中尉、野暮なことはいいっこなしですよ。ブレア少尉、案内してくれ」
- リッツェン少尉が、割り込んだ。声が、心なしか笑っている。「気を利かしてくれてるんですよ。あの堅物の少佐が・・・、中尉もそんなに肩ひじ張らなくってもいいじゃあないですか。どうせ少尉も、ガトルに乗ってけるわけじゃあないんだし」
- 「自分も、そう思います」
- リー曹長もそれに同調した。
- 「貴様ら・・・」
- 「言い争ってる時間は、なさそうですよ」
- リッツェン少尉は、そういうと力いっぱい無理矢理ハリソンとリンダを通路の方へ押し出した。リー曹長が慌ててその後に続く。
- 視界の隅に、連邦軍のモビルスーツが、入ってきた。人型のものが1機と、出来損ないの球形のやつが2機。ガトルの発進口から、侵入してきた連邦軍は、484大隊のガトル発着場をパニックに陥れようとしていた。
- 「迎撃しろっ!!」
- 「退避しろっ」
- 施設防衛隊の指揮官が迎撃を命令し、スコット少佐が武器を持たない補給隊の隊員に叫ぶのが、隊内無線を通じて聞こえる。
- 「戦わなければ・・・」
- ハリソンは、リッツェン少尉に抵抗をしようとする。しかし、身体が宙に浮いている今は、リッツェン少尉が押し出した通路の方へ流れていくしかない。パーソナルジェットでも背負っていれば、話は別なのだが、補給のために機体から降りただけのハリソン達はそんなものを背負っていない。リー曹長もリッツェン少尉の動きに加わっていては、ハリソンにはどうしようもなかった。踏ん張りが利かないうえに、2人の男に押されては無重力の中ではどうしようもなかった。
- 「冗談はやめてください?コイツでですか?」
- そういうとリッツェン少尉は、体を泳がしながら腰のホルスターから拳銃を抜いてハリソンの目の前に突き出した。「無駄死にですよ。指揮官には、部下の命を守る仕事もあったはずですがね、違いますか?」
- 通路の奥に飛ばされたハリソンの視界からはじきに連邦軍のモビルスーツは消えたが、オープンになった隊内無線から聞こえる怒号や悲鳴は、発着場で起こっている悲劇を十分すぎるほど伝えてくる。
- 「だが・・・」
- ハリソンにも、拳銃だけではなにもできないことは十分すぎるくらいに分かっていたが、自分だけが逃げ出していくような罪悪感を拭いきれなかったのだ。
- 「どのみち、もう戻れませんよ」
- リッツェン少尉の言葉が終わらないうちに、爆発の被害を限局するための防火扉が自動で閉まっていく。そうなった以上、もう戻ることはかなわない。
- 「ブレア少尉、先導してくれ」
- それでも抵抗しようとするハリソンを押さえ付けながらリッツェン少尉は、リンダにいった。
- 「はい」
- リンダは、腰の拳銃を確認すると26ブロックへと続く通路へ体を泳がせた。
- 前に向けたリンダの顔には、安堵の表情が浮かんでいた。
- 少なくとも中尉が、再びガトルで宇宙に出ることはなくなったからだ。ガトルで再出撃することを思えばよほどア・バオア・クーの中は安全なように思えたからだ。
- しかし、そのリンダの考えは、それほど的を得たものではなかった。
-
- 「どこへ行くのか?」
- 26ブロックまで後少しというところに来たとき、5人の兵士が銃口を注意深く向けつつ訊いてきた。5人の中の先任なのだろう、軍曹が、他の4人をまとめているようだった。
- 一瞬通常のノーマルスーツと異なっていたので連邦軍の兵士かと思え、どきりとしたが、そのノーマルスーツは、ギレン直属の親衛隊のものだった。
- 「26ブロックの発着場だ、軍曹」
- ハリソンが、銃口を下げるように身振りで制しつつ、答えた。
- 「中尉殿でありましたか?失礼しました」
- 慌てて銃口を下げた軍曹は、ハリソンの階級章に目をやって丁寧な口調で無礼を詫びた。親衛隊らしからぬ態度は、きっと入隊して日が浅いせいなのだろう。「ですが、26ブロック方面は閉鎖されました」
- 「閉鎖されただと?」
- もしかすると、と考えないこともなかったが、実際に聞かされると落胆は大きい。
- 「ハイ、今しがた閉鎖されました。」
- よく見るとこの軍曹は、本当に若い。若いからこのような任務を押し付けられたのだろう。
- 「迂回できるのか?」
- 「それも・・・」軍曹は言いにくそうにいった。「26ブロックの発着場は敵のモビルスーツによって制圧されたようですので・・・。それに、敵の陸戦隊も上陸したようですから」
- 「陸戦隊?」
- ハリソンは、聞き返した。モビルスーツに続いて敵の上陸隊の侵入まで許したとなると、ア・バオア・クーが、ジオンのものであり続ける時間は、そうは長くないはずだった。
- リッツェン少尉とリー曹長は、思わず顔を見合わせ、リンダは、ハリソンの腕に回した手に思わず力を込める。
- 「はい、SフィールドとNフィールドで確認されたそうです」
- 「中尉、どうします?」
- リッツェン少尉が、肩を竦めながら訊いてきた。ハリソン達のガトルは、もはや破壊されてしまってはいたが、26ブロックまで行けば何とかなるんじゃないかと思ってここまでやって来たのだ。けれど、その希望ももはや完全に絶たれてしまった。
- 「モビルスーツのパイロットならば、Wフィールドへの集結が命じられていますが、ガトルのパイロットについては特に何も・・・」
- それはそうだろう。もはやガトルが有効であるときは、とっくに過ぎてしまったのだ。いくら数が残っていようと、それはもはや無用の長物ということだ。もっとも、いくらもガトルが残っているとも思えなかったけれど。
- 自分のせいではないのに軍曹は、いかにも申し訳なさそうにいう。軍曹達にしても、上官の命令を受けてここに配置されただけに過ぎないのは、ハリソンにも十分すぎるくらいにわかっていた。
- 「他には何か指示を受けていないのか?」
- もともとが、ア・バオア・クー所属でないハリソンには、どうしたらいいかよくわからなかった。
- 「なにも・・・、すみません」
- 困った素振りを見せて軍曹は、うつむいた。少しして顔を上げる。「Wフィールドの艦艇用のドックに行かれてはどうですか?」
- 「なぜ?」
- そこへいけば、新たなガトルを受領できるのかと一瞬思うが、軍曹の表情を見ればそうではないことがすぐにわかった。
- 「きいたはなしですが・・・」
- 軍曹はちょっと声を潜めた。ややかすれた声が余計に聞こえにくくなるが、なんとか聞き取れる程度ではある。「上級将校は、すでに脱出の準備を進めているとか・・・。中尉には申し訳ないですが、中尉達にはもうやるべきことがないと思います」
- 軍曹の言わんとしていることはわかった。そこへ行けば、もしかすると脱出できる可能性があると言っているのだ。
- 「案外、いい考えかもしれませんよ、中尉」
- リッツェンは、もう割り切っているのだろう。軍曹の案を受け入れることを提案してきた。リー曹長も、何も言わないけれどその案に反対ではないようだった。
- リンダは、ただハリソンを見つめている。
- 確かに、拳銃しか持たないガトルのパイロットと女性の補給士官では、何もできないことは明らかだった。それでもなお、自分たちだけが楽になるのではないかと思うと、決断がつかなかった。陸戦が始まっている以上、Wフィールドへ行くことが楽であるというのは間違いだったけれど、ハリソンには、そうは思えなかったのだ。
- 「中尉・・・」
- リー曹長が何と言っていいかわからずにつぶやくようにいう。
- 「とにかく、ここにおられても仕方ないと思います、中尉。とりあえず、Wフィールドの方へ向かわれてはどうですか?」
- 親衛隊の軍曹は、ここにいても仕方ないことを強調し、Wフィールドへ行くことを勧めた。
- うつむいて決断をつけかねるハリソンに最終的に決断させたのは、ハリソンは否定するかもしれないけれど、リンダだった。リンダが、つないだ手をぎゅっと握り締めてきたとき、確かにハリソンは、温かさを感じていた。
- 「オーケイ、Wフィールドへ行こう。軍曹、先導してくれんか?」
- そうすれば、この軍曹達も助かる可能性が増えるかもしれないとハリソンは、考えたのだ。
- 「いえ、自分たちは、ここに残ります。中尉達のような方の水先案内をせねばなりませんので」
- それは、気持ちのいいくらいはっきりとしたしゃべり方だった。彼らには、彼らの受けた命令がある、それがよくわかった。
- 「どう行けばいい?」
- 「あちらです」
- 親衛隊の軍曹は、元気いっぱいにWフィールドへと続く通路を指さした。「ただ、あちこちが分断されていますので、簡単にはいきませんよ、中尉。お気を付けて」
- 「軍曹達もな」
- 軍曹達の敬礼に見送られてハリソン達は、その場を後にした。
-
- 「こ、これは・・・」
- Wフィールドへ向かう途中に抜けようとしたモビルスーツの発進エリアを見て、思わずリッツェン少尉が絶句する。
- 中隊規模のモビルスーツを支援できる規模を持っていたであろうそこは、半ば以上廃虚と化していた。何機分かのザクのスクラップが、あたりを所構わず浮遊している。ざっと見渡しただけでも数えきれないほどのノーマルスーツが、同じようにあたりを漂っている。
- ザクを破壊したのは、連邦軍のモビルスーツに違いなかっただろう。ノーマルスーツのジオン兵も、何人かはその時戦死したに違いない。しかし、戦死者のほとんどは別の何かによって作り出されたのはモビルスーツという兵器が対人兵器でないことを考えれば明らかだ。
- では、何に殺られたのか?その答えは、漂うノーマルスーツの中にあった。漂うノーマルスーツのほとんどはジオン軍のものだったけれど、いくつかは連邦軍のものだった。しかも、そのノーマルスーツは、上陸部隊が着込む戦闘用のものだった。背中には、バーニアが取り付けられ一定の時間であれば自在に無重力空間を行動できる。陸戦のプロだ。
- 陸戦のプロに襲われては、施設隊や補給部隊の兵士ではひとたまりもなかったのは、想像に難くない。モビルスーツによって蹂躙された後ではなおさらだったろう。
- 恐らくノーマルスーツの戦死者のほとんどは、その連邦軍の陸戦隊によって生み出されたに違いなかった。
- 「上陸してるって言うのはほんとですね」
- 「そのようだ」
- ハリソンは、あたりを注意深く伺った。何か動くものはないかと伺うが、少なくとも命のあるものはこの空間にはいないようだった。
- 「一応は、安全なようですが」
- 同じようにあたりを伺っていたリッツェン少尉が、いう。視線の方向に拳銃の銃口を向けることは忘れてはいない。「大きな通路を進むのは避けたほうが懸命ですね」
- どんなルートをとるにせよこのエリアを横切らねばならない。
- 「そうしよう」
- ハリソンは、リッツェン少尉の提案を受け入れた。「すまんが、リー曹長と一緒に先行してくれるか?」
- 「少尉を斥候させるわけにはいきませんもんね」
- リー曹長がはにかんだような笑顔でいって軽く引き受けた。もちろん、リッツェン少尉にも異論はない。「行くぞ」と、曹長に言って、床を蹴って体を発進エリアの中に流した。リー曹長も、その後を追うように床を蹴った。
ハリソンは、左右に注意を払いながら進む2人の後ろ姿を見つめ、何事もないことを祈った。リンダが、きつくハリソンにしがみつき、同じように心配しているのだろう、小声で祈っているのがハリソンにも聞こえてきた。
- 2人が進んでいくスピードはじれったいほどに遅い。
- (頼む・・・)
- ハリソンとリンダの祈りが通じたのか、2人は無事に向こう側にたどり着くことができた。
- さらにあたりを伺って安全を確認したところでリッツェン少尉が、大きく両手を振ってハリソンとリンダを呼んだ。
- 「行くぞ」
- 「ハイ、中尉」
- 2人は、同時に床を蹴った。
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