- 「おお・・・」
- 期せずして、小さなどよめきが上がるのをゴトウ中佐は、小さないらだちとともに耳にした。敵艦隊との中央点よりもかなり敵側よりで始まったモビルスーツ戦闘(つまり、味方の方がザクより速度性能で勝っているということだ)で、いきなり味方側があげた得点に対して起こった歓喜のどよめきだったが、その戦果に自分が全く関与していないのが気に入らないのだ。
- あれほど激しい艦隊砲撃戦、艦隊司令の命令としては、モビルスーツ隊への支援砲撃だったが、ゴトウ中佐にとっては、間違いなく艦隊砲撃戦だった、で、なんの成果も挙げられなかった。なのに、モビルスーツ隊は、交戦を始めてどれほどもたたないうちに得点を上げたのだ。自分の艦が放ったメガ粒子砲の総エネルギー量を考えるなら面白いわけがなかった。
- 得点の1つとしてカウントされた敵から白濁した核爆発光が広がり、敵艦隊を僅かな間覆い隠す。艦隊にとって、たとえ1機でも脅威になるザクが、あっさりと撃墜された瞬間だった。
- 最大望遠でメインスクリーンに映し出されるモビルスーツ戦闘は、確かにこれまでのどんな戦いよりも複雑そうだった。最大望遠にしてさえ、時折反射する陽光がなければ、モビルスーツの動きを捉えることは難しい。それと、メインスラスターの噴射炎、それだけが、モビルスーツの動きを示してくれる。
- その動きは、ゴトウ中佐の知る艦載戦闘機の直線的なものに較べるとスピード感でこそ劣るもののその動きの複雑さは、何倍にもなっていた。
- つまり、空間に於いて本当の意味で立体的に戦っているのだ。
- その動きを見れば、空間戦闘機同士の交戦など、3次元戦闘と呼ぶのがはばかられるほどだ。
- 「凄いものです・・・」
- 副官が、2つ目の核爆発に目を細めながら言い寄った。
- 2つ目も連邦軍の得点だった。1つめと同じように、核爆発が広がっていく。その光景は、美しいと表現してよいものだった。無音の宇宙空間で繰り広げられる光のスペクタクル、ただ、その観戦料が、自分の命と引き換えになるかもしれないということだけが、割に合わなかったけれど。
- 1機目に続けて2機目のザクを撃墜したということは、確かに、凄いと言っていい。これまで、たった数機のザクでさえ、その阻止に成功した戦闘というものはほとんどないのだ。なのに、10機近いザクを足止めし、あまつさえ圧倒しているようにすら見える。いや、公平に見るならば、そうゴトウ中佐は紛れもない艦隊主義者だった、味方の識別信号が、1つも減じていない以上、連邦軍は、優勢なのだ。
- 「ふん、たかが数機のモビルスーツで完全に敵が抑えきれるとは思えん!総員、気を緩めるなと伝えろ!」
- 自分が関与せずに戦闘が終わってしまいそうな予感が、ゴトウ中佐の気分をさらに損ねさせた。自分の艦の乗組員を危険にさらさずに済むというのは、結構な話しであるにも関わらず、どうにもこの苛立たしさは収められそうもなかった。
- 「ハイ!艦長!」
- 怪訝そうな顔を向けて、それでもイエスマンらしく返事をすると副官は、その命令を下令するために背を向けた。
- ただし、このときは、後でゴトウ中佐の先見さに感心することになろうとは気が付いていなかった。それは、無理もない。当のゴトウ中佐ですら、そのことを予見していたわけではないからだ。
-
- 撃墜などではなかった。
- サクラ少尉は、目の前で起きたことを信じられない思いで茫然と見た。敵のモビルスーツは、上半身と下半身を切り離し、その中から現れた脱出ポッドで離脱したのだ。あまりの出来事に、サクラ少尉は、追撃することすら忘れた。赤黒い爆発は、敵が自らをボトルアウトさせるために起こした起爆だったのだ。
- (冗談ではないわっ!)
- ようやく失点を1つ取り返したと思ったら、敵のパイロットはまんまと脱出して離脱したのだ。敵を1機撃破したことには間違いがなかったが、パイロットを生かしたまま逃がしたのでは意味がない。モビルスーツは、早い話戦力ではない、それを操縦するパイロットが戦力なのだ。その戦力を味方は2人失い、敵は、まだ1人も失ってはいない。
- 強固な装甲を持つうえにパイロットを安全に脱出させる装備まで整えたモビルスーツ、それが量産されることの意味は計り知れない。
- 遠ざかるポッドは、ポッドと呼ぶにはあまりにも機敏な動作で戦場を離脱していく。いや、姿形から言うなら小型戦闘機とも呼ぶべき機体だった。実際、限定的な戦闘力もあるのかもしれない、そんなことを思わせるポッドだった。
- その光景は、連邦軍が、いかにパイロットを大切にしているかを象徴したものにサクラ少尉には、思えた。
- それに較べて、ザクのなんと脆弱なこと・・・。
- この戦争が、始まる以前からザクに登場してきたサクラ少尉にとって、ザクは、頼もしいものであると同時に、脆弱なものだった。その脆弱さを知っているからこそ、機動に磨きをかけてきたのだ。
- 確かに、熟練したパイロットの操るザクは、これまでに実用化されたどんな空間戦闘兵器よりも強大な戦力として君臨することが出来た。その装甲は、これまでに実用化されたどんな空間戦闘兵器よりも厚く、携行できる投射弾量も比類すべきものがない。けれど、その装甲は、ザクが発する威圧感に見合うほどは厚くなかった。
- その結果、確かにザクの何たるかを認識せずに迎撃を掛けてくるセイバー・フィッシュ相手や単なる極地戦闘機の域をでないトリアエーズと交戦しているうちは、圧倒的な強さを見せることが出来た。
- しかし、その時期でさえ、ザクは、完全な無敵ではなかった。
- 加えて、セイバー・フィッシュが、対装甲兵器用の装備で出撃してくるようになってからは、甘い機動は、死を意味するようになった。
- その結果が、ルウム戦役でのザクの大量喪失だったのだ。
- 確かに、連邦軍は、総大将のレビル将軍を捕虜とされる失態を犯し、後退を余儀なくされた。しかし、もう1時間戦闘が長引いていれば・・・、あるいは、総司令官がドズル中将でなければ、後退せざるをえなかったのは、間違いなくジオン軍だった。
- 圧倒的な物量の前に、ジオン軍は予想外の出血を強要され、ルウム戦役のジオン軍は、押しつぶされる寸前だったのだ。事実、ドズル中将を取り巻く参謀達は、何度も戦略的後退を進言した。
- 結果は、それを退け続けたドズル中将にかろうじて勝利の女神が微笑んだ。
- 旗艦を失った連邦軍が、ジオン軍より先に総崩れになったのだ。
- かろうじて勝利、そう呼べるかどうかは非常に疑わしかったが、を得たジオン軍だったが、出撃させたザクの未帰還機は、3割を超え、その殆ど全数のパイロットが戦死した。サクラ少尉の戦友も多くが、この戦いで命を落とした。
- 地上への侵攻作戦とも相まって宇宙空間でいかなる作戦行動も行えなくなった主因である。特に、ベテランパイロットの大量喪失は、深刻な問題となった。ジオンには、短期間でその穴を埋めるだけの技量を持った予備パイロットは、どこにもいなかった。失われたベテランパイロットの代わりに戦場に送り込まれてきつつあるのは、技量十分ではない学徒を中心としたパイロットでしかなかった。
- 連邦のモビルスーツが、装備するようなポッド、あれほど洗練されていなくとも、少しで良いからザクにパイロットが脱出するのを手助けするような装備があれば・・・。ルウムまでの一連の戦闘で、あれほど多くのベテランパイロットを失わずにすんだかもしれなかった。
- そうすれば、ジオンは、ルナ2を攻略できていたのかもしれなかった。
- そんなサクラ少尉の思いを断ちきるように連邦のモビルスーツの射撃は、サクラ少尉をからめ捕ろうとし続けた。
- ザクのマシンガンでは容易に墜ちず、パイロットを脱出させる装備を持った連邦のモビルスーツに対する策があるのか?サクラ少尉は、回避し続けながら自問した。連邦軍のモビルスーツとの戦闘は、サクラ少尉のようなベテランであっても全く容易ではなかった。
-
- 敵は、あっさりとゴドノフの射撃を躱して見せた。その機動の終末地点を見切ってゴドノフは、最後の射撃を行った。
- ガンガンッ!
- 途端に残弾なしの警告音がヘッドセットからうるさく流れ出す。
- マシンガンの砲口から迸りでる発射炎が、敵のモビルスーツにもはっきり捉えられたことだろう。捉えられるからこそ、敵は、ゴドノフを意識し続けなければならない。何故なら、回避こそされていたが、確実にゴドノフの射撃は、敵にプレッシャーを与える射撃だからだ。
- 次の瞬間、横殴りのシャワーが、その敵モビルスーツに襲いかかった。迂回起動したガルベスの射撃だった。
- ガルベスも、もはや敵の強固さを十分なほど理解していたから、その射撃には、全く遠慮というものがなかった。殆どの兵器がそうであるように強固な装甲を持つ敵のモビルスーツも側面の装甲は、正面ほど強固ではなかった。次々に襲い掛かる直撃弾に敵の動きが、まるで生身の兵士の断末魔のような動きを見せる。
- 「残弾、ゼロ!!」
- ガルベスが、怒ったような報告を寄越したその瞬間、敵は、ザクとなにも代わらない最後をゴドノフに見せて果てた。
- ようやくリッチェンスの敵が討てたというわけだったが、全然喜んでなどいられなかった。戦闘訓練なら、5、6機の撃墜を記録したであろう射撃を浴びせてようやく得たスコアなのだ。
- 同時に、ゴドノフは、後退信号を見た。
- 残った敵は、核爆発を恐れて、遠ざかる機動をとっていた。確かに、今なら後退機動に入り戦闘空域を離脱するのは容易いだろう。だが、ゴドノフは、後退などしたくなかった。
- しかし、アキュア中尉が、打ち上げた後退信号に対して、どんなに従いたくなくとも従うほかはなかった。
- リッチェンスのザクを失ったうえに、ゴドノフ自身も、そして、ガルベスもマシンガンの砲弾を撃ち尽くしてしまっていたからだ。白兵戦闘という選択肢は、残されてはいたが、未知数の敵モビルスーツに対して白兵戦を臨むなど、よほどの自信家か、バカのすることでしかなかった。
- それが分かっていてもゴドノフの怒りは収まらなかった。
- 荒っぽくフットバーを踏み込み、ザクを後退機動に乗せたゴドノフにできるのは、やりようのない怒りを大声にして叫ぶことぐらいだった。
-
- 「残弾なし!」
- リックマンとオルトマンから相次いで入った報告と、アキュア中尉の後退信号は、殆ど同時だった。サクラ少尉にしても残弾は、僅かに39発でしかなかった。2人の部下が、新兵のように無駄弾をばらまいたのではないことを十分に承知していても、残弾なしとの報告、それに後退しろという命令に唇をきつく噛まずにはいられなかった。
- そう、敵は、絶えず圧迫せねばならないほど手強かったのだ。
- 小手先の機動では、強力なビーム兵器の糸にからめとられてしまうのは、間違いなかった。少しでも無駄な直線機動や牽制なしの接敵は、即、死を意味していた。そして、敵に正確な狙撃をさせないためには、こちらが命中を期待出来ないにしろプレッシャーを与え続けねばならなかったのだ。
- そうするためには、ザクの携行してきたマシンガンの砲弾数は、あまりにも少なかった。
- サクラ少尉でさえ、残弾は、この上なく心もとなくなったほどの戦闘で、しかも、サクラ少尉を支援し続けたリックマンとオルトマンの残弾がゼロになるのは致し方がなかった。
- そして、得たものは、敵1機を撃破、パイロットを生還させてしまっての撃破でしかなかった。
- 「後退しろ!牽制する!!」
- 怒気を含ませた声でサクラ少尉は、激しく命令した。
- 2人に躊躇させないためだ。
- 「了解!」
- 2人の部下の声が、重なるように届き、2機の部下のザクが後退機動に入ったのを確かめてから機体の正面を敵に向けたままサクラ少尉も後退機動に入る。
- ちらっと見た時計は、戦闘の開始からたった20分ほどしか過ぎていないことを知らせる。なのに、身体は何時間も戦ったように疲れ切っていた。いや、身体というよりもその大半は、精神的なものからくる疲労感に違いなかった。
- それだけに徒労感も大きい。
- しかし、気を抜くわけにはいかなかった。
- 後退機動に気付いた連邦軍が、なお一層の射撃を送って寄越し始めたからだ。1機が追撃のために飛び出す。
- 「舐めるなっ!」
- サクラ少尉は、その敵のあまりにも直線的な動きに思わず大声を放った。もちろん、聞こえるはずなどない。同時に、発射ボタンを押し込む。砲口を円を描き込むように動かし40発弱の砲弾を発射し尽くすのに10秒とかからなかった。
- 撃墜するのに必要な打撃を与えることこそ出来ないが、どんな回避をしても少なくとも1発は直撃弾が出る面を制圧する射撃だった。
- 案の定、敵の機体、シールド上ではなく、に爆炎がぴかっと光った。
- 「きゃぁ〜〜〜っ!」
- その爆炎を認め、急速離脱に入ったサクラ少尉に聞こえてきたのは、女性の悲鳴だった。再び、敵の周波数帯が、サクラ少尉のザクに近くなったのだろう。多少、鮮明さを欠いてはいたが、若い女性の声であることだけは判別できた。敵も女のパイロットを投入してきている。それは、別な意味で驚きだった。
- 「アレクシア少尉!!アレクシア少尉!!・・・」
- 被弾したパイロットの指揮官なのだろう、男の声がそれに被った。アレクシア・・・それが、その女性パイロットの名前なのだろう。
- (ファーストネームなのかそうでないのか判然としない名前だわ・・・)
- 思わず頭の中で思う。被弾した敵モビルスーツが、明後日の方向へ機動していくのを守ろうと敵が無茶苦茶な砲撃を寄越してきたが、もはやそれが撃墜を目的としていない以上、脅威は殆ど感じなかった。
- その射撃が、不意に止まった。
- 何故なのかを考えるよりも先にサクラ少尉は、機体を定位させると母艦へ向けてのレーザー通信回線を開いた。
- 味方は、2機のザクと貴重なパイロットを2名失った。しかし、敵も2機を撃破されたことは間違いないのだ。敵が、どのように考えているかは分からなかったが、サクラ少尉にとっては、まだゴングが1回鳴ったに過ぎなかった。
-
- 「サクラ少尉から入電、レーザー通信回路です」
- 通信士が、驚いた顔でスミス中佐を振り返った。
- 戦場でのレーザー発信は、すなわち自分の居所を大手を振って知らせているようなものだ。また、レーザー発信の性質上、機位を固定せねばならない。戦場では、断固として慎まねばならない行為の1つである。それを知らないサクラ少尉ではない。であれば、尚更サクラ少尉の行動は、急を迫られているに違いなかった。
- 「回しなさい!」
- 「艦長・・・第2種装備での再出撃を具申します!第2次攻撃の要を認めます!」
- 通信回線が回されると同時にサクラ少尉のやや乱れた声が飛び込んできた。時間は、少しも無駄にできない、そんな感情が溢れ出している。
- 「状況を知らせなさい!」
- それに答えるようにスミスも、短く知りたいことだけを質問した。
- 「リッチェンス機を含む2機を失いました」
- 「よろしい、準備します。帰還せよ!」
- それだけを聞くとサクラ少尉は、自ら無線回線を閉じた。
- 通常の無線手順を考えるならば、上官より先に無線を、断りもなく切るのは軍紀違反だったが、戦場での善し悪しを考えるならばサクラ少尉の行動は十分に容認されるべきものだった。
- (むしろ、好ましい・・・)
- スミス中佐は、軽く笑みを心の中だけでこぼしながら思う。表情にまで出さないのは、自分の艦の搭載機を1機失ったからだ。リッチェンス曹長は、ルウム以降に配属されてきたパイロットではあったけれど、失ってよい部下ではなかった。曹長は、貴重なベテランパイロットだった。
- (さて、問題は・・・)
- そういって、スミスは、艦長席から、ウンディーネのやや前方を良く言えば先頭を切っている、悪く言えば先に後退しつつあるアクメルを見やった。
- 地球の公転が逆になろうとトーグル中佐は、第2次攻撃を認めはしないだろう。中佐は、既に2機のザクを失ったことによって戦意を失ってしまっている。それは、現在の艦隊進路を見れば明らかだった。
- 艦隊は、結果を解析するまでもなく敗走をしつつあるのだ。
- 敵の艦隊は、分離行動を行いながら分離した一方に牽制を行わせている。そう、敵は、この1戦を、喪失したモビルスーツ数の多寡にかかわらず勝利したと喧伝するだろう。実際に、戦場を先に離脱しつつあるのは、自分たちなのだ。そうされることの意味合いは極めて大きい。モビルスーツを主体として勝利を重ねてきた軍隊が、得意とするはずのモビルスーツを伴う艦隊戦闘で敗北を喫しようとしているのだ。そうさせないためには、敵をこのまま返してはいけない。
- 「ミノフスキー最大濃度で散布!軌道変更140!速力プラス3!」
- スミスは、厳しい声で命じた。
- 「ミノフスキー粒子、最大濃度で散布!了解!」
- 「軌道変更140、アイ!速力プラス3に増速します!」
- それぞれの持ち場からただちに小気味の良い返事が返る。
- たった今、スミス中佐が下した命令が、艦隊指揮官の命じたものと全く異なる意味の命令であるにもかかわらずだ。つまり、ウンディーネは、スミスの指揮下のもと、絶対の信頼感で運用されていることの証左だった。
- (感謝するわ・・・)
- 「旗艦へ発信!我、損傷モビルスーツ収容のため、変針す!」
- 「アイ!艦長。発信、ウンディーネより・・・」
- 通信士が、旗艦に通信を送る間にもウンディーネは、回頭を継続していく。通信そのものもウンディーネ自身が振りまくミノフスキー粒子によってドンドン聞き取りにくくなっているに違いない。
- そして、回頭を終了して、増速するころには旗艦からの返信は、殆ど聞き取れないレベルにまでに悪化していることだろう。
- 回頭を終了したウンディーネが、心地よい加速感を感じさせるころ、トーグル中佐は、悪態をついていることだろう。
- 「モビルスーツデッキ、推進剤の再充填用意!ザクを収容後ただちに第2種装備を施す、戦闘は、継続中である!」
- スミス中佐は、艦橋から得られる視界から外れた僚艦ではなく、遠くに展開するであろう連邦軍艦隊だけに意識を集中させた。
- 敵は、モビルスーツの収容にどれだけ時間をかけるだろう?収容したモビルスーツの再出撃に要する時間は、どれほどなのだろう?予備部隊は?未知数の敵と戦うことは、恐怖以外の何ものでもない。トーグル中佐のように逃げ出せてしまえばどんなにか楽だろう。
- しかし、この戦闘は、単なる小部隊同士の戦闘ではない、このことだけは、誰が何と言おうと間違いがない。スミスは、自信をもって断言できた。
- 独断であると批難されようが、やらねばならない独断だった。
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