旅の写真
28.ヨルダン
国土のほとんどが砂漠という中東の国・ヨルダンへと到着したのは、2012年秋のこと。
シリアやイラク、イスラエルと言った、最近何かと耳にする国々に取り囲まれたこのヨルダン、
今となっては少し行きにくくなってしまった感がありますが、観光客も多くとても平和なお国でした。
 
 
ヨルダンの首都アンマンへのフライトは、初めての「エティハド(Etihad)航空」にて。
UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビを拠点とする裕福な航空会社だけあって、空港のラウンジもとても豪華。
フライトの数日前に「少しの追加料金でビジネスクラスに変更できます」というメールが来たので、
アブダビからアンマンまでの短い区間だけ、調子こいてアップグレード・・・えぇ、足を伸ばして寛ぐことができました 。
「めちゃありがたいシステムやん?」と思いながらも、誰一人としてアップグレードの誘惑に踊らされなかったのか、
当日、機内のビジネスクラス席はガラガラで、何となく「やられた感」を味わう羽目になるのでした。
アンマンに向かう機内から、砂漠にある無数の巨大な「円形」のモノが見えていました。
「なんやこれ、宇宙へのメッセージか!?」とちょっと本気で思ったのですが・・・あれ、石油関連の施設か何かですかね?
ホントに何モノなのか分からず、ず〜っと目を凝らしながら窓の外を眺め続けて、結構疲れました。
(なんのこっちゃ)
【1.マダバ/Madaba】
首都アンマンのクイーンアリア空港にてレンタカーを借り、ヨルダン縦断の旅がスタート。
空港から車で1時間弱、早速マダバという町へと到着します。
 
 
この辺りは「旧約聖書」とも関連が深い地域で、イエス、モーゼ、ヨハネといった人々の足跡が残っているそうです。
町のメインは、セント・ジョージ教会。
そのギリシャ正教の教会の内部は、とてもこじんまりとしていて、柔らかいブルーで彩られていました。
 
この教会の床には、1,500年も前の、美しいモザイク画の地図が残されています。
エルサレム(パレスチナ)、死海、エジプトのナイル川、
そしてその川に泳ぐ魚たちまでもが、少し微笑ましい姿ながらも、はっきりと描かれていました。
 
マダバから車で20分ほどのところに「ネボ山」という、西側に死海を見下ろす山があります。
世界史に疎いワタシにはそのすごさが全然分かっていないのですが(汗)、ここは、
「モーゼがエジプト王の迫害を逃れてエジプトを出、シナイ山で十戒を授かった後、終焉の地となった場所」なのだそうです。
広大な土の丘陵地帯に囲まれた山から、エルサレムを指して「あれが約束の地だ」との言葉を残したモーゼ。
その場所には、今は小さな教会が残されているだけでしたが、
宗教の中の世界と現実の世界とが織り交じり、とても神秘的な場所に感じられました。
【2.死海/Dead Sea】
ネボ山から死海へと向かう道は、ものすご〜い下り坂。
恐っそろしいほどグングンと下って行くその理由は、そう、死海が地球上で最も低い「海抜マイナス420m!」にあるためなんです。
(名前の響きとも相まって、運転しててもなんかちょっと怖いやん・・・?)
 
とは言え、死海沿いには巨大なプールを備えたリゾートホテルが建ち並びます。
すぐ横にある海は、生物が棲めないほど塩分濃度が高い「死の海」なので、人間たちは気持ちよく泳げないのですよね・・・。
(少しでも体に傷があると激痛が走り、目に入ると涙どころでは解決できない)
 
 
それでもみなさん死海に入ってらっしゃるので、当然ワタシも入ってみます。
(と言うか、これを楽しみにヨルダンに来たようなものなのでぇ〜)
水に入っていくと・・・うわっ、体、めっちゃ浮くやんっ!
ホント、本が読めるくらいに自然に体がぷかぷかと浮かんできます。
幸いにして、どこにも傷がなかったようで(心は除く)、気持ちよく死海の遊覧を楽しめました。
(海水がたまに口に入って、苦くて辛くて、ゴホゴホとむせてしまいますが・・・)
さらに、死海の泥はお肌がキレイになるとのことだったので(欧米の女優さんたちが取り寄せるらしい)、
とりあえずワタシも負けじと、全身に塗りたくってみました。
(オレ、何を目指してるんやろ・・・?)
 
さて、死海をたっぷり楽しんだ後は、さらに南へと向かいます。
途中、マイレンタカー(左の写真の黒い車)にガソリンを入れていたのですが、
いかにもアラブ人のおじさんが運転している「TOVOTA」車も停まってました。
(完全に手書きやし、ちょっと間違えてるし・・・)
 
さらに、2012年にオープンしたてという、
「The Museum at the Lowest Place on Earth(地球上で最も低いところにある博物館)」にも訪れてみました。
博物館では、その土地の成り立ちや文化などが紹介されていました。
そこから丘を登ること数分のところに、「ロトズ・ケーブ」という洞窟もあります。
旧約聖書に登場する「ロト」という人物が住んでいたとされる場所なんだそうです。
(「ロトの洞窟」・・・なんかのゲームっぽいなぁ)
【3.ペトラ/Petra】
ヨルダンを南北に縦断する王の道、キングス・ハイウェイを南下し、
ヨルダン観光の目玉とも言える、ペトラへと到着します。
 
ヨルダンの食べ物は、その味付けがとても日本人の口に合います。
(カナダのトロントに住んでいた時も、よく近所のアラブ系のテイクアウトを食べてたなぁ)
「Red Cave」というレストランで食べた名前の分からない料理も、とても美味しい味でした。
(って、名前くらい確認しとけよ・・・)
 
 
さぁ、いよいよペトラ遺跡へと向かいます。
ここは映画「インディージョーンズ」の舞台となった場所で、
思いっ切りその名をパクった「インディージョーンズ・スナックショップ」が遺跡の入口にありました。
チケットを購入し、国籍不明の怪しいイデタチで、ペトラ遺跡へと入場します。
(オレ、テロリストにしか見えんな・・・)
 
 
入口から1.5kmほど歩くと、急に両側から岩が迫ってきます。
シークと呼ばれるこの細い道は、馬車がようやく1台通れるような狭さのところもあるのですが、
それが歩くと30分もかかるくらい、奥の方までどんどんと続いています。
紀元前から栄えていたというここペトラ。
この狭くて果てしなく続くシークのおかげで、長い間、外部からの侵入者に発見されることがなかったのだそうです。
そんな「秘密の通路」を抜けると、突然、左右の岩壁の隙間から、目を疑うような光景が見えてきます・・・。
(写真右)
 
どど〜んっ!!
突然周りが明るく開け、そこに岩をくり抜いて造った巨大な神殿が建てられていました。
その神殿の名は「エル・ハズネ」、アラビア語で宝物殿という意味なのだそうです。
自然の中に突然現れた圧巻の建造物・・・ここを発見した人の衝撃は、どんなだったのでしょうか?
 
 
さらにペトラの遺跡はずっと奥まで広がっており、
王家の墓(写真中央)や柱廊(写真右)など、この街の繁栄ぶりを想わせてくれる建造物が、続々と登場します。
 
 
遺跡の中で最も奥地にある「エド・ディル」まで歩くのはとても大変そうだったので(歩いて1時間)、
ついに文明の利器「ロバ」を利用することに。
(「利器」じゃなくて、「力(りき)」では?)
ロバは疲れを知らず、山をぐんぐん登っていきます。
道が細い上に、柵も何もない石の階段の、そのすぐ横は川・・・。
ちょいちょい足が「ズリっ」と滑るロバくんに連れ回され、なかなかスリリングな時間を楽しむことができます。
(特に帰りの下り道は、ロバが階段を何度も踏み外してくれて、おしっこちびりそうになった)
とは言え、ペトラ遺跡の一番奥にある「エド・ディル」の神殿も見ることができ、
ペトラ遺跡をたっぷり堪能することができたのでした。
【4.ワディ・ラム/Wadi Rum】
ペトラから南へ走ること約2時間、ワディ・ラムという自然保護区へと到着。
広大な砂漠の中に位置するここは「アラビアのロレンス」という映画の撮影が行われた場所なのだそうです。
 
ビジターセンターへと立ち寄り、4WD車を利用してのツアーの申し込みに。
相乗りでもよかったのですが、ちょうど観光客のピークが過ぎた時間だったのか、
ワタシ独りだけで参加することになりました。
ラクダに乗ってのツアーもあるようですが、時間も無かったので、またそれはいずれ・・・。
 
 
さぁ、4WD車での4時間のツアーに出発!
大自然の砂漠の中を走り回り、「小さな石の橋」や「ナバタイ人の壁画」などの観光ポイントを巡ります。
生き物たちもあちらこちらで顔を出し、ワタシの訪問を歓迎してくれているかのようです。
(ほんまかい)
 
 
と、調子よく走っていると、突然のエンジントラブル・・・。
「ちょっと持ってて」と、車のボンネットを持たされて、ドライバーさんは一生懸命修理。
(う〜ん、サバイバルなツアーね)
まぁ、車の運転席を見ると、ハンドルの下にいっぱいケーブル見えてるし、
その辺から拾ってきた車じゃないか?と思うくらい、メーターが壊れてるしで、
・・・結局、エンジントラブルで止まったのは計3回、ある意味砂漠らしい体験を楽しめました。
 
 
ここ「ワディ・ラム」ツアーのハイライトの一つが「ウンム・フルース橋」、高さにして20mほどでしょうか?
石がかろうじて橋の形になって挟まっており、いつ下に落っこちてもおかしくないようなつなぎ目となっております。
まぁ、もちろん記念なので橋の上に立ち、かなりビビりながら写真を撮ってました・・・。
【5.アカバ/Aqaba】
ワディ・ラムを去り、紅海に面したアカバの街へ。
イスラエル、エジプト、サウジアラビアとの国境がすぐ近くに迫るここアカバですが、とても平和なリゾート地とのことでした。
 
 
アカバへと到着したのは夕方近く、しかもかなりの曇り空だったのですが、
ガイドブックに、紅海は「珊瑚礁が美しい」「シュノーケルでもかなり楽しめる」と書いてあったので、
それを信じて、どこでできるのか分からないまま、海パン一丁で海へと向かってみました。
怪しいおじさんに声を掛けて(掛けたんかい)、シュノーケリングをやりたい旨を伝えると、
「じゃあ付いてこい」と、案内されます(写真中央)。
「どこに連れてかれるんやろ?裸にされへんやろか?」と、若干不安になりながらも、
おじさんは道具一式を貸してくれ、シュノーケリングポイントへと泳いで連れて行ってくれました。
残念ながら写真には収められませんでしたが、美しい珊瑚礁と、赤や青といった色とりどりの魚たちが、わんさかと泳いでおり、
水の中で「お〜、すごいや〜〜んっ!」と独りで叫んでしまうくらいに、紅海の美しさを堪能することができました。
で、終わって車で街へ戻ろうとしていると、「ちょっと友達乗せてったって〜」。
そして笑顔で乗り込んできたその「友達」とやら・・・(苦笑)
う〜ん、世界のあちこちでこの怪しい送迎パターンに遭遇するよなぁ・・・。
(もちろん優しく乗せて行ってあげたんやけど)
 
 
アカバの夜が、美しくライトアップされます。
街のあちこちに、ピーナッツなどのナッツ類を量り売りするお店があり、ワタシもごっそりとお土産に買って帰りました。
【6.マーン/Ma'an】
ヨルダンの砂漠地帯を一直線に北へと駆け抜ける「デザート・ハイウェイ」。
その高速道路を利用して、南端のアカバから、北の首都・アンマンへと戻ります。
途中、厳格なイスラム教徒が多く住むという、マーンという小さな町へ。
これまたガイドブックに「肉屋の前にラクダの首がかかっている」と書いてあったので、
「それは見ておかなあかんやろ〜」と、それ見たさのためだけに立ち寄ってみたのでした・・・。
 
 
 
こじんまりとした町をうろうろすること10分ほど・・・、あ、ありました、ラクダの首・・・。
「今日お店に新鮮なラクダのお肉が手に入りましたよ〜」という合図なのだそうです。
ドカベン岩鬼の何倍もの葉っぱを口にくわえている、その意味はよく分かりませんが、
その葉っぱの下には、あるはずのボディが無く・・・とてもリアルな映像でございました・・・。
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死海、紅海、砂漠、そして古代遺跡と、様々な表情を見せて楽しませてくれた中東の国、ヨルダン。
ホントに、とっても貴重な体験をすることができました〜。
(おしまい)