九州編  西郷隆盛も愛した名湯ここにあり


日当山温泉 鹿児島県姶良郡隼人町 炭酸水素塩泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)

鹿児島の奥座敷、それが日当山(ひなたやま)温泉。天降川沿いにあり、神世の昔に起源をもつという、鹿児島県でもっとも古い歴史をもつ。また、西郷隆盛が、天下の名泉とよび愛したという。今回、こちらの温泉にひとりで泊まってきた。

日当山温泉は、住宅地の中に温泉旅館などが点在しているというかわったところである。それも函館の湯の川温泉のように大規模ホテルがある、というわけではないので、看板を見て旅館だね、とわかるような感じである。○○温泉と名乗った看板があちらこちらに点在している。よって、夜に立派だけどいい加減なカーナビに従ってくると、ちょっと不安になる。
今日は、霧島あたりで宿を用意しようと思っていたのだが、ひとりで泊まれるところというのがなく、こちらまでおりてくることとなった。

学校か病院かといった雰囲気の古い建物に不釣り合いなポップな看板と名前。
なかにはいっても、ホテルというより古い病院のようである。そこになんかしっくりこない玄関ロビー。でも、見かけでだまされてはいけない。フロントの応対がよいのである。別のかたがエアコンが入っているか?なんていう確認もしているのがきこえてくる。
チェックインをすませると、3階の種子島という部屋に案内される。もう島に渡っている(このあと渡れなくなるというのに)。エレベーターはない。しかし、ネットで予約した際に折り返し電話があり、3階建てでエレベーターがないがよいか?という主旨の確認をうけていたので、まったく問題がない。
部屋にはいると、これまた広い。部屋の中のろうかがまず広い。部屋は10畳。ひとりでは広すぎる。そこに大きめなテレビ。重みでテレビ台がかしいで見えるが、ご愛敬。さらに、角部屋でもないのに壁に障子がある。がらがらあけてみたら、壁だった。つまり、壁に囲まれて圧迫感を感じさせないようにという心遣いなのだろう。さらに、泉尚志さんというかたがかいたという素敵な絵画が壁に飾られている。これに縁側がついており、縁側は一面のガラス窓にさらに高めの天井というつくりになっている。ここからは、天降川をみることができる(住宅街の中なのでひとの家も見える)。そこにひとり暮らしには大きすぎる冷蔵庫が鎮座しており、至れり尽くせりである。

さて、肝心のおふろはどうか。これがとてもよいのである。
廊下をでて別館のほうを降りていくのだが、あう従業員さんみなこちらが恐縮するくらい素敵に挨拶をしてくれる。お風呂にはいると、豪快な入り方をしているかたがひとり。そう、このかた、夜の警備員さんなのでした。良い仕事してますなぁ・・・。しかも、片付け、掃除をかねて自分も入浴、ということらしい。
お風呂は、ぬるめとあつめの二つの浴槽にわかれた内湯と露天風呂がある。ぬるめのほうは、たしかにぬるいきもするんだけれど、基本的にあつめのほうからお湯が流れてきて、水道の蛇口がぬるめのほうにあるので必要ならひねってね、という仕組みなので、じつはあんまり温度はかわらない。しかも、この水道の蛇口が、露出しているのではなく、お湯の出口のように木の板で囲んでつくってあるあたりがにくらしい。
で、無色透明においのないお湯がじゃんじゃんながれているわけ。これが実にきもちいい〜。さすが美人の湯といわれているだけのことはある、なんていうもんじゃない。とにかくすべすべになるのだ。なんでも、一晩であせもくらいならなおるらしい。ちょうどよい湯加減といい、これは、気持ちよい。
露天風呂もいいよ、と警備員さんにすすめられたので、暖まったところで露天へ(雨降りだったので)。
露天といっても基本的には立派な屋根がついている。HPの写真よりも狭い感じがするのだが、たぶん、HPの写真はヨコに少し引き伸ばされているんだろうなぁ。打たせ湯と思われる設備もあるが、今は使われていない。これはあとでわかったのだが、どうも鹿児島県の条例で禁止されているらしい。そんなに大きな露天風呂ではないのだが、庭園をながめつつ外の雨風を感じつつ入る露天もよい。
となりのちょっとあがったところが道路で、その横くらいに川があるようなのだが、残念ながら川の景色を楽しみながら入る、ということはできないのだが、先ほども書いたとおり、そういうことをすると民家からも丸見えになってしまいかねないから、仕方ないか。なによりお湯がいいのだ。そして、感じがよい。
また、このホテルには、家族湯という個室貸切風呂が何室かある。どうも鹿児島あたりでは、家族湯という文化が主流として根付いているらしい。日帰りで家族揃って温泉にはいるなんて、うらやましい。うらやましすぎる。噴火と台風さえなければいいところなのに、鹿児島。

はっきりいって、教えたくない宿である。そして、リベンジ鹿児島のさいは、必ず拠点にしたいと思う。


日当山温泉 スパホテルYOU湯
http://www.spa.yad.jp/

Posted: 日 - 9月 4, 2005 at 11:59 午後          


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