ぶつくさと〜く

【Vol.129】 ひょこひょこ (2012.10)

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みなさま、お元気でしょうか?
段々と冷え込んできて、冬服の準備を始めておられる、そんな頃でしょうか?

こちらデリーでも、朝晩の気温はすでに15度前後まで下がり、ヒンヤリとしてきました。

冬の風物詩(?)である真っ白な「濃い霧」もすでに出ていて、今年は冬が少し早く訪れそうな気配です。
夏が記録的な暑さだった分、その反動で冬も記録的な寒さだったりするんでしょうかね・・・。
インドでは、寒さで人が亡くなるニュースをしばしば耳にするので、少し心配です。

10月から5月にかけては乾季のシーズン。

雨季には見られなかった家の中の白いホコリ達が、ついに見られ始めるようになりました。
つまり簡単に言うと・・・家の窓を全〜部ぴっちりと閉め切っていたとしても、
わずか3日でリビングのテーブルや床が、指で線が引けるくらいホコリで白くなってしまう、
そんな悲しい季節の始まりです・・・。
(あ〜、この空気の悪さだけはホンマに嫌や〜)

汚い話で恐縮ですが、やっぱり鼻毛の伸びるスピードが、デリーにいると圧倒的に早いです。
なので、もし私の鼻から、可愛らしい何かがひょっこりと顔を出してたとしても、
「うわっ、汚っ!」とヒクのではなく、「まぁ可哀想に」と憐(あわ)れんでやって下さい。
(みすぼらしい姿を、ではなくて、過酷な生活環境を、ですよ?)

さて、日本には出張やプライベートでたまに帰るのですが、
やっぱり日本て、平和な国ですよねぇ・・・ということをしばしば実感します。

電車に乗っていても、特に女性のかばんから財布が剥き出しの状態で一番上に見えていたりして、
あれってインド(だけじゃないけど)で考えたら、
「どうぞご自由にお持ち下さい」とでも言ってるようなもんで、
当然のようにあっさりと持ち去られてしまうんじゃないでしょうかねぇ。

でも不思議なことに、日本では誰も持って行かない。
(まぁ、我々にとってはそれが当たり前なんやけど)

そして、インドでもちょくちょく発生する、デモやストライキ。
デモのために会社や商店が臨時休業になったり、ストライキが多発して会社が倒産状態になったり、
そういうことがごくごく普通に起こっています。

でも日本では、ほとんどと言っていいほど発生しませんし、
もし発生したとしても、わりとすんなり決着して、すぐに沈静化していたりします。
(やはり平均的な生活水準が比較的高いと、人々の不満も少ないということなのでしょうか・・・?)

あと、これはちょっと違う意味の平和かもしれませんが、こんなこともありました。

ある日、私は成田空港からの京成線で、東京方面に向かっていました。
私の座っている前の座席に、本を読んでいる、あまり身なりの清潔な感じでないおじさんが座っていました。
おじさんは、きっと目的の駅に着いたのでしょう、
別のページに挟んでいたしおりを今読んでいたページに挟んでから、本を閉じました。

よく見ると、その使っているしおりが、なんと競馬の「馬券」・・・。

いやまぁ、ごくごく普通のことなのかもしれませんが、それを見て、
何か妙に「あぁ、この国って平和やなぁ・・・」と感じてしまったのでした。
(まぁそのおじさんにとっては、競馬場は「戦場」なのかもしらんけど)

9月の終わりにも一度、出張で少しだけ日本に帰りました。

横浜の自宅にも、週末のわずかな時間だけでしたが戻ることができ、
ヨメと、7ヶ月の息子と、久しぶりに三人で一緒に過ごす時間を持つことができました。

昼間、私が自宅のリビングのふかふかじゅうたんの上でごろんと寝転んでいたところ、
すぐそばで遊んでいた息子が、正座しながら私の身体をグィとつかんできました。
そして、正座の状態からお尻を何度も上げては戻し、上げては戻しを繰り返し、
何かよく分からないひょこひょことした謎の動きを見せていました。

まだその一週間前にハイハイを始めた程度だと聞いていたので、
「今度は何か新しい遊びでも覚えたのかな?」と思っていました。

そうこうしているうちに、あっと言う間に短い週末はおしまい、家族ともまたお別れです。

翌日の月曜日、会社でお仕事をしていると、珍しく少し興奮気味のメールがヨメから届きました。
そこにはこんな文章が:

 「なんと今、一人でつかまり立ちをした!」

そう、気が付くと、リビングの棚か何かを利用して、
おじぃのようにフラフラしながらも、自分独りで立ち上がっていたとのことでした。

 「あぁ、そうか・・・あいつはオヤジの身体を利用して、立ち上がる練習をしていたのか・・・」

あの時私につかまって、正座しながらひょこひょこお尻を上げていたのは、
まさにそのためだったと分かったのでした。

ほんの小さなことですが、子供の成長を少しだけ間近で垣間見られたような気がして、
そして少しだけ子供の成長の手助けができたような気がして、嬉しかった一瞬でした。

※う〜ん、これと言ったオチも無しでごめ〜んねっ!

(Vol.129 おしまい)


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