ぶつくさと〜く

【Vol.25】 トレイントレイン (2004.2)

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いや〜ほんと、電車に乗っているといろんな事が起こりますよね。
(と、いきなり本題に入ってしまうパターンは、最近の未熟な若手芸人のコントにありがちですな。
最初からもっと余裕を持って・・・って俺は上方お笑い大賞審査員の藤本義一か)

さ、さて、私が毎日通勤に使っているのは東急田園都市線という電車なんですけど、
この線では飛行機の離陸直後の機内アナウンスよろしく、
「担当乗務員は〜、運転手は石田〜、車掌は川中です」みたいな感じで、
乗務員の名前をアナウンスすることがよくあります。
この前も会社帰りの電車でそのアナウンスがあり、何げな〜く聞いていたのですが、
その内容に思わず半ニヤケになってしまいました。

「担当乗務員は〜、運転手は小林〜、車掌も小林です」

いやぃゃいやぃゃ、車掌「も」て。それはおかしいがな。
それならちゃんと下の名前まで言うたったらよろしいやんっ!
同じ苗字であることで、明らかにちょっとおもろい感じを引き出そうとしてるやんっ!!
ちくしょ〜〜〜!!!(小林車掌に、1じぇらしぃ)

まあそんなお茶目(?)な田園都市線ですが、東急さんには申し訳ないんですけど、
はっきり言って電車がかんなりぼろっちいんですよね〜。
電車の天井を見上げると、なんとこのご時世に首振りの扇風機て。うそ〜ん。
岡田真澄邸にだってこんなにいっぱいファンは付いてないですよ、きっと。
ほんま東急さん、日本中あちこちに東急インを作ってるわりには、
本業の電車の方は残念ながらアウトですよね。(うわっ、さむっ)

で、この前も乗降ドアの上に貼ってあるでっかい紙の広告が完全に取れかかっていて、
あ〜やばい、落ちそうやな〜と思って見てたんですけど、
電車が次の駅に止まった瞬間、やっぱり彼は万有引力に負けて落ちてしまいました。
が、そのすぐ下にはなんと、ややハゲをお召しになられたおじさんがっ!
(尊敬語の使い方間違うとるけど)

うおっ、これはっ!と私の目がきらりと輝いた瞬間、はらりと舞い降りた広告は、
そのおじさんの頭をええ感じでスライドし、つるんと勢いよく横へ飛び出したのでした。
あぁ、えらいもん見てしまいました。お許し下さい、神様〜〜!!(なんのこっちゃ)

その後、私の頭の中ではもちろん、「紙」vs「髪」のガチンコ摩擦対決で、
頭皮付近で火花が散っている映像がスローモーションで何度も上映され・・・。
またもや半ニヤケで家路に着くはめになるのでした。

恐るべし、田園都市線・・・。

まあでも、こんな笑えることばっかりじゃないんですけどね。

前にも書きましたが、以前通勤に使っていた朝のJR埼京線は、
もう小指の先まで固定されてしまうくらい動く余地なくコミコミになるのでした。
(会社に着くと腕が内出血してることがしばしばあった)

そんな毎日満員御礼の状態なんで、チカンがほんまに多い。
ある朝その満員電車に乗っていると、近くにいた女性がいきなり叫びました。

「お前、何するんじゃ〜!」

そう、チカンをされていたらしき女性がたまたま気が強い(というか強すぎる)人で、
朝からいきなりトップギアに入り、ブチ切れモードに変身したのです。

チカンのおっさん(と言っても若い兄ちゃんやったけど)はあまりに面食らったのか、
何も言えずに突っ立っているだけ。
次に着いた駅で「おい、お前、降りろよ」と女性に言われても動かないその兄ちゃんに、
見ていた私までだんだんムカついてきて、
その兄ちゃんの首根っこを掴んでホームにつまみ出して、駅員に渡したりました。
まあきっと誰もやらなくても、その女性なら一人でつまみ出してたんでしょうけど。

でも、そうやってちゃんと声を出す女性って、やっぱり少ないですよね。

確かに、一人で電車に乗っているときにそうやって声を出すのはとても勇気がいることかもしれないですが、
泣き寝入りして悔しい思いをしないためにも、勇気を出して声に出してもらいたいと思います。
力になってくれる人間は、まわりに必ず一人はいますから。
(ほんま、チカン前科者の顔写真とか、全部の駅に貼ったったらええのにね)

そう言えば、その埼京線で忘れられない出来事がありました。

あれは関東に来てまだ2、3年の頃でした。
いつものように朝の満員の通勤電車に乗っていた私は、
人を2人ほど挟んだ斜め横に若い女性が立っていることに気づきました。
何気なくそちらを見ると、その女性の後ろにぴったりとくっついている若い男性が。
ん?と思って見ていると、どうもその男の動きはおかしく、女性の後ろでごそごそしているのです。
どう考えてもまわりにいる人間はそれに気付いてるやろ、って思うくらいおかしな動きなんです。

女性は何も言えないのか、俯(うつむ)いたままじっとしていました。
その男は一向にごそごそを止める気配もなく・・・。
私はあまりにまわりが何も言わないことにムカっと来てしまいました。
こいつら、絶対気付いてるくせに知らんフリかい。おぃおぃ、それはあかんやろ。

確かに今の世の中、理不尽なことで簡単に人が殺されてしまったりして、
まわりにあまり関わらないように生きる人が増えてしまうのは仕方ないことなのかもしれません。
でも、目の前の困っている人の気持ちを考えれば、
何らかの形で助けることは出来るかも、って普通思いません?

別に正義の味方ぶるつもりは全くないですけど、その時はその状況にあまりにイラっときて、
俺が何かせんと、と思ってしまいました。(誰やねん、わし)
とりあえず、その女性から多少離れていて、実際に何をされてるのかわからなかったので、
その女性に直接声をかけることにしました。

私は、人を掻き分けるようにしてその女性にぐっと手を伸ばし、肩を掴みました。
そして、静まり返った車内に広がる声で一言、「大丈夫?」と聞きました。
すると、その女性は突然のことで驚いたのか、不意に私の手を掴んでちょっとの間私の顔を見ていたのですが、
その後にこんな答えが返ってきました。

「ええ」

え? あららっ!? ま、まじっすか。だ、だ、大丈夫なん?
うっそ〜ん、明らかになんかされてたのに、大丈夫とちゃうやろ〜〜!!
あまりに意外なその返事に、私はしばらく言葉を失い、その女性の肩を掴んだまま、
そしてその女性も私の手をにぎったまま、沈黙の時間が流れました。

どう見てもそれは、朝っぱらから女性の肩に手を置いて声をかけ、
それを女性が止めて下さいと振り払ってるみたいな光景になっていて、
逆に俺が変態ナンパ兄ちゃんみたいになってるや〜ん。
みゃ〜〜! ミイラ取りがミイラになってもた〜!!

結局その女性の言葉の真意(本当に大丈夫だったのか)はわからなかったのですが、
まあその後、その女性の後ろにぴったりとくっついてた兄ちゃんは、
いつの間にか女性から少し離れていたので、
結果的にはよかったのかもしれません。(と自分を慰める)

まあ、何も考えずにとりあえず声をかけてしまって、
きっと私も多少緊張してたんでしょうね。(苦笑)
しかしあの時の気まずさ、後味の悪さは説明出来ないくらいのものでして・・・。(号泣)
ほんま、朝からイヤ〜な汗をかいてしまいました。あっはっは〜ぁ。

まあそんなこんなありながらも、きっとまたそんな場面に出くわしたら、
同じような行動をしてしまってるんじゃないかと思いますけどね。
(でも、今度はもうちょっと考えてから行動しよ〜っと)

ちゅうことで、今回はこの辺でおしまい。
ではみなさん、サヨナラ(by GAO)。

(Vol.25 おしまい)


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