ぶつくさと〜く
【Vol.47】 緊迫の時間 (2005.12)
うちの家の前にある銀杏(いちょう)並木は、12月頭になってようやく黄色く染まり、
手袋をした登校前の子供たちが、黄色いじゅうたんの切れ端を両手ですくい上げて、
嬉しそうに笑っている姿が印象的でした。
11月の末に、横浜市青葉区にある「こどもの国」へバイクでふらっと行ってみました。
そこは広大な自然の中にあるちょっとしたミニ遊園地で、ぶらぶら散策するには持ってこい。
たっぷりの紅葉を見られるぞ!と楽しみにして行ったのですが、
残念ながら今回は、しっかりと紅葉しきっている木はちらほらしか見られず、
紅葉半ばですでに枯れ始めているものすらありました。
あるTVで言ってたんですが、秋になってもなかなか気温が下がらない場合には、
木々たちは色が変わるまで待ちきれずに、力尽きて枯れてしまうことがあるそうです。
このまま温暖化が進めば、だんだんとその傾向が強くなって行くのかもしれません。
毎年「秋」がどんどん短くなって行くなぁとは感じていたのですが、
日本の色鮮やかな美しい季節の一つが、
本当に消えて無くなってしまうのではないかと心配になってしまいます。
頑張れ、秋!負けるな、秋!
アキ〜〜〜!(by 世界の中心で・・・て、もぅ古いか?)
さて先日、会社でのこと。
北海道のお土産にと職場に買ってきたキャラメルが2粒だけ残っていたので、
さっさと食べきってしまおうと思い、1粒つかんで口に入れました。
(どうでもええけど、いい大人が土産にキャラメルて・・・安っ!)
しっかりしたミルク味でなかなか美味しく、
「こら、キャラメル界のIT革命や〜!」と彦麻呂ばりに叫びそうになりながらも(?)、
あっと言う間に完食してしまいました。
続いて最後の1粒を、何の気無しに、ぽいっと口の中へ投げ込みました。
その2粒目のキャラメルを噛んだ瞬間、「事件」は発生したのです。
・・・口の中で、なんかとてつもなく変な味がしました。
「うわ!何じゃこれ?」と思って、とりあえず口の中からそのキャラメルを取り出しました。
すると、キャラメルの中に色の違う何かが混ざっているではないですか!
うお〜!な、なんじゃこらっ!
こ、これは、平成のグリコ森永事件とちゃうんか〜〜〜っ!!
(関係者の方、ごめんなさい)
落ち着いて見てみると、ごつごつした銀色の何かが見えていました。
恐る恐る触ってみると、その銀色はとても固い・・・。
いや、でもそんな固いものを噛んだ感触はまったく無かったぞ?
一体全体、どないなっとんじゃ〜ぃ!!
私は銀色の物体をキャラメルの中から取り出してみました。
す、すると、それはなんと私の奥歯・・・(泣)
数年前に歯医者で詰めてもらった銀色の歯が、ごろ〜んと取れてしまってるではないですか!
うお〜〜〜〜〜〜〜っ!(吉田栄作で)
たかがキャラメルごときに、こんなにもあっさりと歯を奪い取られてしまうなんて、
俺の歯、弱っ!弱っ!弱っ!
もぅワシ、じじい決定や〜〜〜ん!!(号泣)
・・・あまりの悲しい出来事に、ポカンと開いた口が塞がらなかったのでした。
(アーメン)
話は変わらず(なんじゃそら)、奥歯が無くなってしまった私は、
次の日、早速歯医者に行くことにしました。
以前から使っているその歯医者は、オフィスがぎっしり入った高層ビルの3Fにあり、
結構近代的な機器が揃っているところでした。
足元まである大きな窓にかかった生成(きな)り色のブラインドは、半分くらいのところまで下げられており、
窓の下半分からは、都会には珍しく、生い茂った緑の木々たちが見えていました。
私は、背もたれがかなり後ろまでリクライニングしたような診察用の椅子(診察台)に、
足を窓に向けるように伸ばして横たわり、口を大きく開けて歯を診てもらっていました。
しばらくすると、別の作業をするためか、医者が診察の途中で少しだけ私のそばから離れました。
私は何の気無しに、自分の足のつま先の向こう側に見えている外の景色を見ながら、
横になって医者が戻るのを待っていました。
そう、ポカンと開いた口を塞ぐことができないまま・・・。(2日連続やな)
すると突然、窓の外で何かが動くのが見えました。
何やろ?と思って見ていると、紐のようなものがす〜っと上から垂れて来るではないですか。
「ん、なんじゃこれはっ?」と思いながらも、気分は少々、芥川龍之介。(分かりにくっ)
紐に続いて、大きなカゴのようなものがだんだんと降りてきました。
そう、それは高層ビルの窓の外側を拭くために屋上からぶら下げて使用する、窓拭きカゴだったのです。
私は「はっ!」と気付きました。
窓拭きカゴということは、人が乗ってるなぁ・・・てことは、このままカゴが降りてくると、
窓の方を向いて口を開けて待ってる俺は、窓拭きの人と「ご対面〜」となってしまうのでは?
いかん、それはかなり気まずいやないかっ!!
何とかしないと・・・でも、口を開けたまま待たされてるし、このまま動かれへんやないか〜〜っ!
うぉ〜、助けてくれ〜〜。神様〜〜!仏様〜〜!ヨン様〜〜!(関係ないか)
私の焦りも虚しく、カゴはどんどんと降りてきました。
あぁ〜、窓拭きの兄ちゃんの上半身が見えてきたっ!
あ〜、肩が見えて・・あ、あごも・・・あ〜〜、もう万事休すじゃ〜〜〜!!
「チーン」
恐れていた通り、我々は、ちょうど同じくらいの高さのところでばっちり目が合ってしまったのでした。
窓を拭く手が一瞬止まったように見え、気まずい時間がほんのわずか流れました。
あちゃ〜と心の中で思いながらも、とりあえず初対面の人なので、
口を開けっ放しのまま、「ど、どうも」とちょっと会釈しそうになってしまいました。
(なんで全然関係ない人にご挨拶せなあかんのじゃぃ)
そしてそのまま何事も無かったかのように、窓拭きの兄ちゃんは仕事を続けながら下へと進んで行き、
緊迫の時間は過ぎ去ったのでした・・・。
いや〜、あれはかなり辛い経験をしたものです。
みなさんも、同じような経験ありませんでしょうか?
(まぁ目を閉じたらよかったんやけども・・・なんかそれってちょっと悔しいやん?)
さて、こんな悲しい年の瀬だったとは言え、今年一年を振り返ると、私にとってはとてもハッピーな年でした。
みなさんにとってのこの一年は、如何でしたか?
来年は、冬季オリンピックやサッカーワールドカップなど、たくさんのスポーツイベントがある一年。
みなさんも体をたっぷり動かして、健康で元気な一年を過ごしましょうね〜〜!
それではみなさま、良いお年をっ!
(Vol.47 おしまい)