ぶつくさと~く

【Vol.61】 得体 (2007.2)

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もう去年の夏のことになるのですが、
初めて横浜市旭区にある動物園「ズーラシア」へ行きました。
そこは、オカピやインドライオン、キンシコウといった、
希少動物に出会えるのが売りの1つ、という動物園です。

入口から入ってしばらく見て行くと、「ドゥクラングール」という、
インドシナ半島に棲息する、これまた希少なサルのオリが近付いてきました。
そのオリの前には親子10人くらいが集まっていて、
オリの奥の方で丸太の上に座ってじっとしているサルを見ていました。

天気も快晴で、なんだかとても平和な風景がそこには広がっていました。

わたしはす~っと、隣のオリの方から近づいてきて、
その平和なワンシーンの片隅に仲間入りさせてもらおうと、
何気な~くオリの一番前に立って、オリの中をのぞき込みました。

そして、その大人しいサルがどんな顔してるんかな~と、
優しい気持ちいっぱいで、サルの方へ視線を移しました。
サルの方も私の存在に気付いたらしく、ちらっとこちらを見ました。

まさに青天の霹靂・・・事件は突然起こりました。

私の顔を見たとたん、そのサルの表情が豹変したのです!
そう、思いっきり「ハグキにょ~ん!」と怒り剥き出しの状態になったのです!

おぃおぃ、なんでやね~~ん!
わし、何もしてへんやんけ~っ!

かつてそこに存在した平和な空気は、あっと言う間に吹き飛んでしまいました。

サルはさらに「グスィ~~~!」と、文字で書くのも難しい声で威嚇しながら私を睨み、
大物俳優のように丸太をのしのしと歩いて、真っすぐに私に近付いてきました。
そして最後には、お腹丸見えでオリにピタッと手足を延ばして張り付き、
もう一度「フシィ~~!」とこちらに怖い顔をしてきました。

う~ん、わざわざ俺だけにセクシーカットをどうも・・・って、なんでやねんっ!
お前、さっきのさっきまで平和な顔しとったやないかっ!

そうこうするうちに、サルはオリに張り付いたまま大の字になって、
完全にお股おっぴろげ状態になりました。
そして彼のおちん○んは完全に私の方に向けられ、
精度不明のテポドンが今にも発射されそうな様相を呈していました。

それを察したまわりの親子連れは、若干後ずさり気味・・・。
そして、さっきまで笑顔だった子供たちは、もぅすでに泣きそうになっていました。

私もパンフレット一枚を急いで広げて、万が一の「有事」に備えました。
そして、一触即発のまま睨み合うこと数十秒・・・。
結局ミサイルのボタンは押されず、緊迫の時は終わりを迎えるのでした。
(まるでキューバ危機ね・・・て、分かりにくい?)

そのサルは、私の後からやってきた男の人にも軽く「シィ~!」ってやってました。
その男性と私の共通点は、「あごひげ」・・・。

そう、あごひげが特徴的なそのサルは、自分と同じような奴が来たので、
同類だと思ってものすごく攻撃的になったんやと思います。

しかし、あないに思いっきり動物に喧嘩を売られるとは・・・。
いやほんと、とっても貴重な体験をしました。
(サルよりもこっちがおしっこちびりそうになったわぃ)

さて、私には以前から結構困っていることがありました。

冬場なんか特に、セーターの下に着ているTシャツをジーンズの中に入れたりするのですが、
何故か、すぐにTシャツの下腹部の辺りが赤くなるんです。
ほんと、黒の(自称)そこそこイケてらっしゃるTシャツのおヘソの下が、
中学生の初恋のようにすぐに赤らんでしまうんです。
(なんのこっちゃ)

みなさん、そんな経験ありませんでしょうか?
(と言うか、みんなそうなってるもんやと思ってた・・・)

恐らく大学生の頃からだと思うのですが、
ほんと、ず~っとそれに悩まされ続けていたんです。
そしていつも、「きっと犯人は『ジーンズのボタンの裏側の金具』なんやろな~、
こいつが古くなってて、Tシャツと擦れたら赤くなってまうんやろな~」と、
勝手に犯人像を描いていたのでした。

なので、最近はその金具の上に「あて布」をしてもらってたんですが、
何故かそれでも赤くなるんですよね。

う~ん、どうも違うぞ・・・?
あて布をしてても赤くなるし、なんなら新品のズボンでも赤くなるやん・・・?
何や、わしのおヘソから、得体の知れん赤いエキスが漏れとるってことか~!?
うお~~~~~~っ!!

・・・と、かれこれ10年以上苦しんでいたのですが、
その原因が最近になってようやく分かったのです。
どうやら犯人は、ジーンズ側ではなくて、その上にしているベルトのようなんです。
(まぁ状況証拠しかないんですが)

大学時代に購入して、いまだに連日私に纏(まと)わり付いているお気に入りのベルトが、
いつの間にやら錆びついていることは知っていたのですが、
そのベルトのわりと大きな留め具(ベルトを通す輪っか)がジーンズから上にはみ出して、
Tシャツに当たっていたようなのです。

そして私が、若いエネルギーがはじけんばかりにアクティブに活動しているために、
・・・いや、本当はちょっぴりお腹が出てきてしまったために(泣)、
ベルトのその錆びた留め具が、さらにTシャツに擦れるようになっていたのでした。

しかし、その事実を発見するまでに丸10年ほどもかかってしまってまして・・・、
これまでに赤らめてしまったTシャツさんたちは数え切れないほど。
ほんと、情けないと言いますか、アホ丸だしと言いますか・・・。

とにかく、10年間容疑者扱いされていたジーンズの(中田)ボタンさん、
冤罪も甚だしいことこの上なくて、ほんと失礼しました。

まぁそんなこんなで、長い間悩まされていた問題に、
ようやく終止符を打つこととなったのでした。
(現在は、ベルトの錆びた部分がTシャツに当たらないようにと、
ベルトを左右逆から通して凌(しの)いどります・・・て、貧乏くさっ!)

ジーパンの話で思い出したのですが、男性の方々は子供の頃、
特に小学生の頃ってどんな格好をしてました?
やっぱり、冬でも半袖・半ズボン(←短パンのことね)でしたか?
(そして、今の子供たちもそうなんでしょうか・・・?)

私は子供の頃から軟弱者だったので、
夏こそは流石に半ズボン(しかもちょっとブリーフがはみ出るくらいの短いやつ)でしたが、
冬場はあっさりと長ズボン履いてましたね。

長ズボンと言ってもジーンズではなくて、なんでしょうあれ、
チノパンのようなスラックスのような、綿素材の長ズボンをよく履いていました。
しかも、茶色とか紺色という、円熟味を帯びた色合い・・・。
(う~ん、渋すぎるやおまへんか)

まあそれはいいとして、昼休みとか放課後とか、
当然のように運動場で暴れまくっとるわけでして、
すぐに長ズボンの膝(ひざ)のところが破れてしまうんです。

残念ながら我が家は、次から次へとズボンを購入できるようなリッチな家庭ではなく、
どちらかと言うとアッチの家庭だったので(なんのこっちゃ)、
膝のところをその辺にあった布と糸とで縫ってもらい、
明らかに不自然な色合いのツギハギとともに、社会に復帰してしまうのでした。
(う~ん、昭和やのぅ)

・・・なんですが、さらに日が経つと、そのツギハギごと破けてしまうんですよね。
そうなるともう、ツギハギでは対処できない状態になってまして、
結局は、膝から下をばっさりと切り取られ、
裾のところをそれっぽい仕上げで縫い上げられてしまうのです。

ちょうど膝までの丈の、そう、今で言うキュロットパンツのような、
・・・と言っても太さ的には若干違和感があるんですけど、
まぁそんな感じの中途半端なズボンが完成するのでした。
(ある意味、流行の最先端やな・・・)

そして翌日には、あたかも「元々そこまでの丈でしたけど?」という顔で、
なんなら、「これ新品ですよ?」みたいな顔をして、
その「富田家流半ズポン」を堂々と履いて、学校へ行くのでした。

別にそれでからかわれたこととかないですけれど(気付かんかっただけか?)、
当然みんなからすると「なんじゃ、そのズボン?」となる訳ですよ。
なんせその当時としては、得体の知れないものを履いてる奴なんですから。
(いまだに小学校のときの私を知るメンバーと同窓会とかすると、
その「半ズボンネタ」を出されるくらい、印象に残っているみたいです・・・)

そして、太もも丸出しの半ズボンの奴らにそれを指摘されたときにはいつも、
こう答えていたのを覚えています。
「ズボンを丁度半分に切ったんやから、これがほんまの半ズボンなんじゃい!」

しかしそんなズボンも、ドッジボール(懐かしいなぁ)をしていて、
低いボールを勢いよくしゃがみこむようにしてキャッチすると、
「バリッ」という大きな音とともに、お尻が真っ二つに割れてしまったりしまして・・・。

様々な形にトランスフォームさせられた揚げ句、十分に使い回された彼は、
ついにはただの布キレとして捨てられることになるのでした。
(チーン)

しかし、ベルトだけでなく、シャツもセーターもコートも、
10年以上使ってるものが我が家にはまだたくさんありまして・・・。

まぁ人によっては「せこい」「貧乏ったらしい」と思うかもしれないですが、
使えるのに何でもかんでもすぐに捨ててしまわないというその教えを、
「ズボン」によって、幼い私の心にしっかりと刻んでくれた母に、
今更ながら、ちょっとだけ感謝したいと思います。

みなさんにもそんな、小さい頃によく着ていた服、
想い出に残っている服、ありませんでしょうか?

さて、もう卒業や転職・退社といった「旅立ち」のシーズンになりますね。
この新しい変化のとき、落ち着いて、回りを見て、
そして自分自身が次のステップへと進めるよう、勇気を持って新しい一歩を踏み出しましょうね!

(Vol.61 おしまい)


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