どたばた旅行記

8.疾走!アルプス街道

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ニュージーランド・南島の中央を貫く観光のメインルート、その名は「アルプス街道」。

クライストチャーチからサザンアルプスを経由して、ミルフォードサウンドへ。
トレッキングを楽しんだり、クルーズを楽しんだりしながら大自然を満喫する秋の3日間、
走行距離約1,200kmのドライブの始まりです。

とまあ簡単に言っても、いろいろ観光しながら毎日何百キロも移動するのは、結構過酷な訳でして・・・。

*****

【第一日】

AVISで一番安いレンタカーを借り、クライストチャーチの街を朝8時に出発。
一路、南を目指します。

・・・んが、お安い車ですので、当然のようにマニュアル(MT)車のカーナビ無し。
しかも地図は広域のモノしか持っていなかったので、
まず南へ向かう広い道路(国道1号/Main South Road)に出るまでに、30分ほど迷いました・・・(泣)

テカポ1   テカポ2   テカポ3

クライストチャーチを出てから約3時間(230km)のドライブでテカポへ到着。
あいにくの曇り空で美しいミルキーブルーのテカポ湖が見られなかったのは残念でしたが、
湖畔にある石造りの「善き羊飼いの教会」は、とっても可愛らしくて、
辺り全体が優しい雰囲気に包まれているような風景の場所でした。

小さな教会の祭壇(写真中央)の向こうには湖とサザンアルプスが広がっており、
ここで結婚式を挙げる日本人もいるというほどの、人気の教会なんだそうです。
そして、牧羊犬の像が湖を見つめます。

プカキ湖1   プカキ湖2

テカポを出発し、こちらも美しい青を湛(たた)えるプカキ湖を右手に見ながら、
その奥に堂々とそびえるニュージーランド最高峰、マウントクックを目指します。
天気が良くなるにつれ、プカキ湖も本来のブルーを次第に取り戻してきました。

マウントクック1   マウントクック2   マウントクック3

テカポから100km強の距離を1時間半ほどで走り、12:30過ぎにようやくアオラキ/マウントクックビレッジへ到着。
ビレッジ内をふらっとした後、車でタズマン氷河が見られる展望地へと向かいます。
砂利道をひた進み、車で行ける終点の駐車場まで辿り着くと、そこから軽いトレッキングがスタート。
山を登ること20分ほどで、展望地に到着しました。

展望地と言っても氷河は遥か先にあり(写真右)、近場にはモレーン(氷河が運んだ堆積物)しかないのですが、
それでも、美しい山々と氷河を見ながらのランチタイムは、とても気持ちがいいものでした。

思わずリラックスし過ぎて、予定より30分遅れの14:30にようやくマウントクックを出発。
ドライブはまだまだ続きます。

ワナカ1   ワナカ2

マウントクックから200kmほど南に走り、リゾート地のワナカへ到着しました。
ここはワナカ湖の湖畔に連なるポプラ並木の黄葉が有名なスポットなのですが、
すでに日も暮れかかっていて、キレイな色が見られず残念・・・。

それでも、静かな湖の雰囲気を楽しもうという人たちが犬と戯れていたりして、
ほんと、落ち着きのあるリゾートという印象を受けました。

アロータウン1   アロータウン2   アロータウン3

すっかり暗くなってしまった山道を1時間ほど走り、夜7時頃になって、
ようやく本日の宿泊地、アロータウンに到着しました。

宿泊するロッジに着くと、広間のテーブルに紙切れ一枚のパンフレットが置いてあり、
たまたまその日の夜、小さなコンサートが開催されるとのことでした。
「こういうのんこそ、旅の醍醐味やん?」と軽くテンションが上がってしまったので、
いきなりの飛び入りで、コンサートに参加してみることにしました。

パンフレットに書いてある場所に行ってみると、そこは小さなライブハウス(左の写真)。
ただ、中に入ってみると、ライブハウスと言うよりは体育館・・・。
そこに次々に集まって来る人たちは、かなり年配の方ばかりでした。
しかも、明らかに観光客丸出しの我々以外は、恐らくほとんどがこの町の住人。

まぁそんなことは気にせず、まだかぃな〜と待っているうちに会場はほぼ満員になり、
しばらくすると、町の偉いさんらしき人から紹介された3人組の年配の方々が歌い始めました。
まぁ特に知っている曲もなく、何言うてるかはよう分かりませんでしたが、
楽しいコンサートで、この町の雰囲気の一端を垣間見ることができる時間でした。

そんなこんなで、クライストチャーチからアロータウンまで約620kmを走り抜けた一日目はこれでおしまい。
共同シャワーの安宿ロッジですが、とりあえず、明日の長旅に向けて疲れを取ることにしました。

では、お休みなさい・・・。

*****

【第二日】

翌日は、朝8時からアロータウンの町を歩いて散策。
ほんと、1時間もあれば歩いて全部見て回れるほどの小さい町なんです。

アロータウン4   アロータウン5

このびっくりするくらい小さな町を宿泊地に選んだのは、そこが黄葉で大変有名な場所だったから。
正直、わざわざ「秋」にニュージーランドを訪れた一番の理由は、このアロータウンの黄葉を見たかったからなんですが、
少しだけ時期が早かったのか、まだ黄葉が中途半端な状態で、めちゃ残念でした。

それでも早朝から、すぐそばを流れるアロー川沿いの木々の間を散策してみると、
山々の美しい色合いも間近に見られて、素敵な時間を過ごすことができました。

アロータウン6   アロータウン7

このアロータウンは、かつてのゴールドラッシュで沸いた町です。
メインのバッキンガムストリートはその頃と同じような古い石造りの建物が並んでおり、
当時の雰囲気を味わうことができます。

とりあえず、観光地にありがちな「WANTED」の看板に顔を入れて・・・。
(わしゃピンクレディーか)

*****

さて、散策を終えて二日目のドライブに出発する時間となりました。
朝10時にアロータウンを経ち、クイーンズタウン方面へ。

都会に近づいて来ると、「ラウンドアバウト」という交差点が増えてきます。
そこには信号機がなく、交差点が十字路ではなく円形の道になっているだけで、
すべての車は一旦その円形の道に時計回りで入り、ぐるっと回って自分の行きたい道に出て行くという仕組みです。
(文字で書くと伝えにくいなぁ)

信号機が無いので、車がたくさんその円形の道の中を走っているときには、
合流するタイミングを見つけるのがかなり難しいんですよね。
しかも自分の後ろに車が詰まり出したときには、ものすごいプレッシャーでして・・・。

そもそも車自体に慣れてないくせに、今回はマニュアル車を運転させられている訳なんです。
普通の信号のある交差点でも、スタートは結構必死なんです。
(じゃあマニュアル車を借りるなよ)

私は、右から円形の道を流れてくる車を見ながら、ラウンドアバウトに合流するタイミングを探していました。
車の流れが一瞬途切れたので、「今やっ!」と思い、
左足がつりそうなくらい半クラッチをキープしながら、右足でアクセルを踏んだのですが、何故か車は発進しない。
「パワー足らんのか?」とさらにアクセルを踏み込むと、車は「うぉん、うぉ〜ん」とウナリを上げ始めます。
しかし、どうしても車が動き出さないのですっ!
「なんでなんじゃ〜〜!!」

そうこうしているうちに、後ろの車にクラクションを「ビッビ〜ッ!」と鳴らされました。
「うお〜、めっちゃ焦るや〜〜ん!」と、やや涙ちょちょぎれそうになった頃、
ふと左手の手元に目をやると、なんとギアが4速に入ってまして・・・(あほ〜)

まぁそんなこんなで、クイーンズタウン近郊で泣きながらガソリンを入れ、
街を素通りして、さらに南のテ・アナウ方面を目指します。

ミルフォードへ1   ミルフォードへ2

ワカティプ湖を右に見ながらのドライブ。
ニュージーランド全土で羊の放牧が見られるのですが、
この地域は延々と羊地帯が続いていたような気がします。

ミラーレイク1   ミラーレイク2   ミラーレイク3

テ・アナウを過ぎていよいよフィヨルドランド国立公園へ突入。
途中、ミラーレイクというところへ立ち寄ります。

ただの小さな池のような湖なんですが、水面が鏡のようになっていて、とてもキレイ。
中央の写真にあるのですが、看板に「Mirror Lakes」という文字が上下逆さまに書いてあって、
湖面には正しい向きの文字が映って読める、という洒落た工夫がなされていました。

ホーマートンネル

ホーマートンネルを抜けると、もう残り30分ほどで目的地のミルフォードサウンドに到着です。

しかしこのトンネル、1,219mもあるんですが、かなり狭いので一方通行なんですよね。
(常にそうなんかは知りませんが)
信号が青になるまではトンネルの入口で待たないといけないのですが、
運が悪いと「これ、日が暮れてまうんとちゃうか?」と思うくらい長時間待たされます。

しかし、この山を越えると壮大な景色が待っているんだと思うと、
待たされている間にもどんどんテンションが上がってきます。

そして・・・

ミルフォード1

アロータウンを出発してから5時間半(約300km)ほどのドライブで、
この旅一番のメインスポット、ミルフォードサウンドについに到着!

1万5千年前の氷河によって削られた山々が、海面から垂直に突き出しているこの風景は、
私たちに大自然の荒々しさと雄大さとを見せつけ、まさに「息を呑む」という表現がふさわしいような絶景でした。

ガイドブックには「快晴の天候に出会うことは稀」と書いてあったので、
快晴のマイターピーク(写真正面の山)を見られるなんて信じられず、ほんと、最高の気分でした。

クルーズ1   クルーズ2   クルーズ3

とりあえず、15:45発のRed Boat社のネイチャークルーズというクルーズ船に乗ることにしました。
フィヨルドの山々と突然現れる滝の数々に、感動しっぱなしです。

クルーズ4   クルーズ5   クルーズ6

ネイチャークルーズは、小回りのきく少し小型の船に乗って、生き物たちのそばまで行けるクルーズです。
フィヨルド内に棲むイルカやオットセイといった動物たちが、すぐ近くに顔を出します。

ミルフォード2   ミルフォード3

夕暮れのミルフォード。
美しいシルエットだけを残して、ミルフォードサウンドは闇に包まれていきます。

ロッジ1   ロッジ2

一般的な観光ツアーの場合は、クイーンズタウンから日帰りでクルーズ船に乗って帰るだけなのですが、
個人旅行なので、せっかくのミルフォードをもう少し満喫したいと、ロッジを予約していました。

個人旅行者向けには唯一の宿泊施設となるミルフォードサウンドロッジは、とても清潔感あふれていました。
ただし電力セーブのため、ほとんどの電気は早々に消えてしまい、
あとは最低限の照明と、外の月明かりだけで過ごすことになります。

夕食は、ちょっと車で移動したところの桟橋近くにあるバーのようなところで取りました。
(食事付きのパックで予約していたところ、そこに行けと言われたので〜)

そんなこんなで、長かった二日目もようやく終わりを迎えます。

*****

【第三日】

ニュージーランドは南半球にあるので、当然南へ行けば行くほど気温は下がります。
ミルフォードサウンドの朝は、秋とは言えなかなかの冷え込み具合でしたが、
そんなことは関係なく、また今日も桟橋へと向かうのでした。

クルーズ7   クルーズ8   クルーズ9

ミルフォードサウンドに来て、わざわざ2時間ほどのクルーズに2回も乗るおばかさんはまぁ少ないと思うのですが、
本当に満喫するためには、やはりいろいろな時間帯のクルーズに乗らないと・・・。
ということで、今度はReal Journeys社の朝9時のシーニッククルーズに乗ることにしました。
(ちなみに朝一なので料金が安い上に、なんと軽い朝食まで付いているというお得な便でした)

この日もまた天気はよく、夕暮れ時とは違う角度から陽が差し込むミルフォードの風景を、
今度はのんびりと、目に焼き付けるように眺めていました。
いや〜ほんと、何度乗っても飽きない景色です。

そして別れの時。11:00過ぎに、快晴のミルフォードサウンドを後にしました。
途中、テ・アナウのワイルドライフセンターで飛べない鳥「タカヘ」と遊び、
来た時と同じルートで、約280kmを5時間ほどかけて、ドライブの終点となるクイーンズタウンへと到着。

こうして、アルプス街道を駆け抜ける1,200kmのドライブは終わりを迎えるのでした。

*****

美しい山と出逢い、美しい海と出逢う。
そんな3日間でしたが・・・いゃほんま、あ〜しんどかった〜。

(おしまい)


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