旅の写真
20.ペルー(前編)
ニューヨークを経由し、LAN航空でペルーの首都リマへ到着したのは、
ちょうど南半球が秋の時期でした。
飛行機がリマ空港の滑走路に無事着陸した瞬間、機内のあちらこちらで、
何故か自然と「ぱちぱちぱち」と拍手が沸き起こりました。
「えっ?こ、この国では飛行機がちゃんと着陸できる確率、結構低いのん・・・?
この先、何度か国内線の小型機乗り継ぐんやけど・・・(泣)」
何とも言いようのない不安に怯えながら、ペルーの旅は始まりを迎えることになるのでした。
*****
余談ですがこのLAN航空(南米の航空会社)、ホームページからオンラインで航空券を購入したんですが、
クレジットカード番号を入力して決済が完了するという最後の最後で、
何故か画面に「電話してね」と表示されました。
で、仕方ないので、LAN航空のアメリカの支店に電話したら「じゃあ発券します」と言われて1分でおしまい。
が、後日請求書を見ると一人25USドルほど余分に請求されていました。
何でやねん!と思って電話で問い合わせると、「電話での発券には手数料が掛かる」とのこと。
「いやいやいや、お前のところのシステムがしょぼいからやんけ!」とクレームを付けたのですが、
規則だからとあっさりと突っぱねられるし、
さらに文章(メール)で問い合わせても返信は全く無いしで、なかなかのひどい対応でした。
(二度と使うか、あほんだら〜っ!)
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さて、気を取り直しまして・・・。
早朝6:30頃、リマ空港に到着するや否や、LAN航空のカウンターに行って、
予約していたAM9:30発リマ→クスコの飛行機を、2時間ほど早い便に変更してもらいました。
出発時刻が迫っていたので、空港をうろうろする暇も無く、ちっちゃい飛行機に乗り込みます。
【1.クスコ/Cuzco】
AM8:50、ようやく最初の目的地、クスコに到着しました。
有視界飛行なので、空が明るい時間帯にしか飛行機は着陸できないのだそうです。
さて、空港からクスコの街までの交通手段はタクシーか路線バス。
タクシーだと4〜5ソル(120〜150円)、バスだと0.6ソル(20円)とのことでした。
タクシーを使っても全然高くはないのですが、
「郷に入れば」の言葉通り、現地の人と同じ方法で行こうと(=少しでも安く済まそうと)、
タクシーの運ちゃんの執拗なまでの客引きを拒否して、路線バスを選択。
 
ところが、写真の通り、バスと言っても単なるバン。
しかも空港の前の通りを走るバスは、すべてが満員も満員、
スライド式ドアのぎりぎりのところにまで、人が折り重なる格好でパズルのように詰まっていて、
決して観光客が、しかもでかい荷物を持って乗り込めるような代物ではありません。
(ちなみにこの写真左のバスは「比較的空いている」方です・・・)
が、タクシーを頑(かたく)なに拒否し続け、ここまで来たからには、バスで行くしかないでしょう。
何台か満員のバスを乗り過ごした後、少しだけスペースが空いてそうなバスに乗り込みました。
しかも英語がほとんどと言っていいほど通じないため、行き先もよぅ分からんまま・・・(泣)
車内はもう、都内の通勤電車のような混み具合、道もがたがたの舗装でめちゃめちゃ揺れます(写真右)。
が、うろうろ徘徊しながらも、街の中心らしき方へと向かっています。
突然、車内で親切な人が声を掛けてくれて(やはりスペイン語なので全然分からんかったけど)、
行きたいところの地図を見せると、「同じところで降りるので大丈夫」と言ってくれました。
しかも降りた後、我々が行きたいと言っていた所まで連れて行ってくれました。
偶然にも、その人はクスコの街のお巡りさんだったのでした。
どこから来たのかと聞いている感じだったので、「ハポン(=日本のことね)」と言うと、
「あ〜、ハポン、ハポン」と繰り替えし言うてはりました。
(親切なお巡りさん、ありがとう〜!)
で、結局バスで街の中心まで到着できたのですが・・・まぁ結論としましては、
かなり大変なので、お金をけちらずにタクシーを使うことを「強く」お薦めします。
(なんじゃそら〜)
 
 
まずは観光客でごった返している、アルマス広場から。
スペイン様式の街は、たいてい「アルマス広場」という名前の広場の建設から始まるのだそうです。
ちなみに、初日から高山病かかりまくりでした。
と言うのも、クスコは標高3,600mにある街。
そう、富士山頂付近にいきなり連れて行かれたみたいなもんなんです。
少し歩くだけでも息切れがし、頭がどんどん痛み出して、かなり苦しみました。
犬も息切れしてたんでしょうか、死んだようにぐったり寝転んでましたね。
 
石畳の道を抜け、有名なインカの「12角の石」へ。
カミソリの刃一枚も通さないと形容される建築技術の高さを、まさにこの石が証明していました。
(ちなみに小さい14角の石も近所にありました)
 
ヒーヒー言いながらも、石畳の急な坂道を上り、サン・クリストバル教会前の広場へ。
茶色い屋根の家々が建ち並ぶクスコの街を、一望することができました。
 
 
早速、名物の「クイ(ねずみの一種)」料理を注文してみることに。
皿の上に、はっきりと元の形が分かる状態でお出まし〜。
可愛らしい笑顔も、そしてチャーミングな歯も、リアルなまま残ってます(泣)
隣のテーブルの女性がこちらを見て悲鳴を上げるのを聞きながら、
勇気を振り絞って、ざっくりとナイフを入れます。
味は・・・まぁ美味しいとは言えないですが、独特の食感があるだけで特にまずい訳でもなく、
しっかりと完食してしまいました。
おまけにペルー名物「インカコーラ」。
この旅で、何度もお世話になります。
【2.マチュピチュ/Machu Picchu】
いよいよクスコからペルー鉄道に乗ってマチュピチュへ。
列車は早朝7時42分、クスコ近郊のポロイ駅を出発します。
以前、マチュピチュへ向かう列車は、クスコの街にあるサン・ペドロ駅が始発だったのですが、
クスコを出てすぐに、スイッチバックを繰り返して急な坂を上る必要があったため、
つい最近、ポロイ駅始発に変更になったところだったのでした。
なので、それ以前にサン・ペドロ駅始発のチケットを購入していた人々のために、
無料の連絡バスがクスコの街から出ており(AM7:00発)、我々もそれに乗ってポロイ駅へと向かいました。
 
 
ポロイ駅に到着。
マチュピチュへ向かう列車は3種類あり、それぞれに「ハイラムヒンガム(豪華列車)」、
「ビスタドーム(展望列車)」、「バックパッカー(普通列車)」という名前が付けられています。
残念ながら我々は予算の都合上、「バックパッカー」を選択・・・。
(往復で一人90USドルほどでした)
まぁグレードは何にせよ、マチュピチュまでの3時間強、楽しい列車の旅の始まりです!
 
標高3,600mのクスコに比べて、マチュピチュ村(旧アグエスカリエンテス村)の標高は約2,000m。
列車がゆっくりと山を越え、川を渡り、終着のアグエスカリエンテス駅に到着する頃には、
高山病による頭痛も、ほとんど無くなっていました。
※ちなみにこの写真の川が先日氾濫を起こし、マチュピチュが孤立状態になるというニュースをやってました。
 
 
朝11時頃、マチュピチュ村へと到着。
ここに1泊するので、その日はマチュピチュの遺跡には行かず、
小さなマチュピチュ村をのんびりと散策することにしました。
その日のうちにマチュピチュ遺跡の入場券(1人124ソル=約3,700円)と、
遺跡までのバスの往復チケット(1人14USドル)を事前に購入し、土砂降りの雨の中、不安な夜を迎えます。
明日、晴れてくれることを祈って・・・。
 
翌日、小雨が降り続く中、朝6時発のバスに乗り、
20分ほどかけて、山の上にあるマチュピチュ遺跡へと向かいます。
遺跡の発見者の名前にちなんでハイラムヒンガムロードと名づけられた道をジグザグに進み、
マチュピチュ遺跡の入口すぐのところにある「サンクチュアリロッジ」前にバスは到着します。
(お金があればこのめっちゃお高いホテルに泊まっていたのですが)
ありがたいことに、この頃にはもう小雨も止んでいました。
遺跡内にはトイレが無いので、入口近くにある有料のトイレ(1ソル=約30円)に行った後、早速遺跡へ入場〜。
 
朝もやの中、マチュピチュのあの光景を目指します。
太陽を背にした朝露たちが、生い茂る草の上一面で、白い花のような輝きを見せます。
入口から5分ほどで、ついに遺跡を望める場所へと到着。
まだもやの中に隠れたままのマチュピチュ神殿は、
それはそれで、幻想的な雰囲気を醸(かも)し出していました。
 
 
しばらく景色はもやもやの中だろうということで、
先に「インカの橋」と呼ばれるところへ行くことに。
崖っぷちを歩くこと約20分、ついに橋に到着(写真中央の右奥)。
敵が攻めてきた時には、丸太でできたこの橋を落として侵入を防ぐのだそうです。
断崖絶壁にどのようにして橋を作ったのかは、未だに謎なのだとか。
改めてインカの人々の技術力の高さに驚かされます。
 
続いてマチュピチュ神殿を真下に眺めることができるワイナピチュ山へ。
人数制限があるので、入口で名前を書き、急な石段をどんどん登って行きます。
(最後の方は危険なくらいの急階段やった・・・)
 
 
途中、美しい色の花や、巨大なムカデ、トカゲにも出くわします。
 
 
ゆっくり2時間ほど掛けて、ついにワイナピチュの山頂へと到着。
振り返ると、姿を現し始めた空中都市が、眼下に開けていました。
バスが通ってきたジグザグのハイラムヒンガムロードも、はっきりと見下ろすことができます。
太陽が輝き出した頃、天空の城の上には虹のアーチが架かっていました。
 
ワイナピチュの山を降り、もやの晴れた神殿へと戻ってきました。
辺りでは、リャマ(アルパカか?)の親子がのんびり寛(くつろ)いでいました。
 
そして天気もだんだんと良くなり、
TVや本でもお馴染みの、あのマチュピチュの絶景が、今ここにっ!
ついでに近くにいたリャマにも一緒に入ってもらいました。
バスにてマチュピチュ遺跡を後にし、16:43発の「バックパッカー」にて再びクスコへと戻ります。
そして翌日はティティカカ湖のほとり、プノへと向かいます。
(おしまい)