ぶつくさと〜く
【Vol.115】 黒い奴 (2011.8)
残念ながらインドには、日本で言う「大型連休」のようなものがありません。
私が常駐している会社では、年に6日間だけカンパニーホリデーというのがあって、
それ以外の平日はすべて出社日なんです。
そのカンパニーホリデーのうちの1つである8/15の月曜日は、「インド独立記念日」の祝日でした。
インドに来て初めての3連休で舞い上がった私は、インド北部のレー(Leh)というところに、
土日月の丸々3日間の予定で、旅行に行ってみることにしたのでした。
レーは、デリーから飛行機で真北へ、
ヒマラヤ山脈を越えたところにある「ジャンムー・カシミール州」の小さな町です。
中国のチベット自治区と国境を接している地域でもあるので、
インドの中にチベット文化が栄えている、そんなところです。
そして標高3,000mを越える地域であり、岩肌剥き出しの荒涼とした景色、
手付かずの自然のままの美しい湖などがあるんだそうです。
3日間の旅は、土曜日の朝5時に出発。
早朝6:30にデリー空港を出発する飛行機に乗るため、一路空港へと向かいます。
飛行機は定刻通り6:30に出発しました。
機内食を食べ、窓の外に広がる真っ白な雲海を見ながら、約1時間半後、飛行機はレーに近づいてきました。
早い出発時間でうとうとしながらだったので、詳しい状況は覚えていないのですが、
ふと気が付くと機長からこんなアナウンスが・・・。
「え〜、視界が悪いのでレーの飛行場に着陸できません。デリーに戻ります(ガチャッ!)」
うっそ〜〜ん、ここまで来て戻るんかよ〜!
・・・というツッコミも虚しく、飛行機は飛んできたルートを真っ直ぐに戻り、
朝9:30過ぎに、デリー空港に無事着陸したのでした。
(出発した時と違うゲートに着いたので、結局数百メートルだけ移動したことになる・・・)
機長のコメントによると、再度レーに向けて飛び立てるか天候を確認中なので、
しばらく機内で待つようにとのことでした。
で、15分ほど待たされた挙句、結局「今日のフライトは無理」となり、
全員飛行機から下ろされることになりました。
一日数便しか飛んでいない小さな町なので、翌日の座席をすんなり取れるはずもなく、
結局は、フライトも宿もツアーも含めて、旅行を全部キャンセルする羽目になってしまったのでした。
(まぁ飛行機代も全額返ってきたし、特に費用は発生せんかったからええんやけど)
と言うことでせっかくの3連休、「3日間の旅行」のはずが、わずか「3時間の旅行」で終わってしまいました。
そのまま家に帰り、ずっと「3日間の大掃除」・・・(泣)
さて、仕事のピークも過ぎたので、8月後半に、日本に一時帰国することにしました。
(流石にこれはお休みをもらいました〜)
デリーから日本には直行便も飛んでいるのですが、デリー発の直行便航空券だととてもお高くて・・・。
残念ながら自腹なので、一番安く帰れるシンガポール航空を使うことにしました。
(もともとシンガポール航空は結構好きなのでね)
シンガポールへ到着した後、次の成田行きの飛行機まではかなりの時間があったので、
ラウンジに行って、仕事のメールを見ながら、いろんな食べ物をパクパクと食べ続けていました。
およそ5時間の乗り継ぎ待ち時間の後、いよいよ日本に向けて出発です。
シンガポールから成田へは、7時間ほどのフライトなんですが・・・その中盤くらいからお腹が痛くなってきました。
単に食べ過ぎてお腹が痛いってことならトイレに行けば終わりだったのですが、
座席に座っていても、段々と頭がふらふらしてきて、嫌〜な脂汗がじわっと出てきて、
これはどうやら単なる腹痛ではない・・・。
完全に何かに「当たった」感じの苦しみ方だったのでした。
お腹の痛みと薄れる意識の中で、これはトイレに行かないと、と立ち上がったのですが、
トイレに行くまでに青ざめて意識朦朧となり、途中の通路でビスマルクばりにしゃがみこむことになりました。
(元ヴェルディ川崎の彼のことね)
なんとかトイレに辿り着いた後は、便座のフタを閉めた状態でその上に座り込み、
頭に血を回らせるため、頭を前に出来るだけ低くして、間抜けな格好で10分ほどトイレに籠っていました。
途中、あまりに辛かったので、通路に毛布を敷いて横になったろかいなと思ったくらいなのですが、
しばらくトイレに籠ってじっとしていると、次第に意識も回復してきました。
席に戻り、以前から常備していた腹痛用の抗生物質も飲んで、後は成田までひたすら耐えることに・・・。
そして、ふらふらになりながら、なんとか成田に着くことができたのでした。
う〜ん、しかし毎回日本に帰ってくる度に体調が悪くなるなぁ・・・。
(これ、日本に帰ってくるなって暗示なのかな?)
インドの方々の多くがベジタリアンで、
ノンベジ(ベジタリアンでない)の人も、牛肉と豚肉はまず食べない、ということは以前にも書いた通りです。
もちろん日本料理・韓国料理・中華料理や、高級ホテルのレストランなんかに行けば、
ビーフやポークの料理はあります。
でもお肉が硬かったりパサパサしてたりと、たいていイマイチの味なんですよね・・・。
「日本に帰ってきたんやし、久しぶりに美味しい牛肉食うか〜」と思って、近所の焼肉屋へ行くことにしました。
(まぁ、言うても「牛角」なんですけど・・・)
ネットで調べると、クーポンを印刷して持って行けば、食べ放題が一人500円も割引になると書いてありました。
頭の中にいる黒い方の奴が、「お前、そら印刷せなあかんやろ〜」と大阪弁で責め立てたので、
自宅で眠っていたプリンターでクーポンを印刷することにしました。
印刷しようとしたのですが・・・私が持っていたノートPCはOSがWindows 7だったためか、
何故かプリンターを認識してくれません。
ネットからプリンター用のソフトウェア(ドライバー)をダウンロードしてインストールし、
さらにWindowsのソフトウェアアップデートまで行ったのですが、結局動かない・・・。
それどころか、そうこうしているうちに、電源のONとOFFしか押されていないはずのプリンターが、
いきなり「プリンタエラーです」とか言いだして、何をしてもエラーが出る状態になってしまいまして・・・。
(PC側のソフト更新でプリンターがイカレるって、どんな仕組みなんじゃ!)
しかしここまで来て、そう易々と引き下がる訳には行きません。
いろいろ家の中を見回したところ・・・我が家の古いFAXには、
なんと取り外し式のハンドスキャナーが付いているじゃないですか!
これで頑張れば、コピーができるやんっ!!
しかしもちろんできるのは「コピー」なので、元の「印刷された紙のクーポン」が無いと意味がありません。
仕方なく、ノートPCの液晶画面の上にそのハンドスキャナーを置き、
必死でクーポンが表示された液晶画面をスキャン・・・。
画面の明るさや向きを変えて何度かトライしたところ、黒い横線が山ほど入った汚い画像ながらも、
なんとか多少は字が読める程度のクーポンを印刷することができたのでした。
「やった〜!これでお腹いっぱい、気持ちよく焼肉が食べられる〜!!(号泣)」
ほんと、無理やり印刷したこと丸分かりの、あり得ないクオリティーのクーポンだったのですが、
とにかくその汚い紙切れを手に握りしめ、喜び勇んでお店へと向かいました。
テンション高めでお店の前まで来ると・・・、
あれ、シャッター下りてる・・・って言うか、お店の看板も無くなってる・・・。
「し、知らん間に、とっくに閉店してもうてるや〜ん!!」
(チ〜ン)
と言うことで、プリンタを壊してまで必死でクーポンを印刷して持って行ったにも関わらず、
全くもって無駄に終わってしまったのでした・・・。
結局焼肉どころか、普通に近所の居酒屋に行って終わり・・・ちゃんちゃん。
※実は Vol.93 でも同じように必死でクーポンを印刷したことがあったんですが、その時よりひどいなぁ。
・・・てな訳で、少し悲しい一時帰国だったのでした。
それでは今回はこの辺で〜っ!
(Vol.115 おしまい)