ぶつくさと〜く

【Vol.126】 絶景 (2012.7)

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ここデリーの雨季も、だんだんと本格化してきました。
先日はインド北部のヒマラヤ寄りの地域で洪水が起こり、多くの人が亡くなっています。

日本でもニュース番組で報道されていたようなのですが、
先週、デリーを含むインド北西部で、大規模な停電がありました。
その影響は、な、なんと6億人、地球全人口のおよそ10分の1ということです・・・。

なんでも今年は猛暑の日照り続きで、農家にとっては水の確保が大変だったそうなのですが、
雨季がなかなか始まらず、水力発電も十分に機能していなかったそうなのです。
で、雨不足を補うためにさらに電気を使って農業用水を引いたりして、その悪循環・・・。
今回の大停電が、電気不足が理由でのものかは知りませんが、
いずれにせよ、以前より、かなり逼迫(ひっぱく)した状況だったようです。

・・・と、6億人の大停電とは言ってますが・・・実は私、恥ずかしながら、
ぜ〜んぜん、気付いていませんでした・・・(ぽっ)

というのも、停電なんてしょっちゅうあることで、大停電だろうが小停電だろうが、
我々にとっては「いつもの停電」の一つ、規模なんて関係ありません。
そう、あまりに日常茶飯事の普通のこと過ぎて、
日本から教えてもらって初めて、「大」停電だったと知ったのでした・・・(汗)

みなさん、インド映画と言えばどんなイメージをお持ちでしょうか?
日本では、海外の映画はHollywood映画(と香港映画?)くらいしかやってないので、
あまりイメージが湧かないでしょうか?

こちらインドの映画、通称「Bollywood映画」は、一言で言うと・・・とりあえず踊りまくります。
恋愛モノでも、アクションモノでも、どこかで一回は踊りのシーンが入ります。
ええ言い方をすると「ミュージカルっぽい」、悪く言うと「踊っておけば内容薄くてもOK」。
(故・水野晴郎さんもきっと解説に困りますよ、インド映画は)

ほんと、「おぃおぃ、さっきまで君ら、敵と味方やったや〜ん!」とツッコみたくなるくらい、
みんなで登場しては、かなりしっかりと、しかもちょっとコミカルに踊ってくれます。
(慣れるとそれなりに楽しく感じてくる)

そんな映画の影響なのでしょう、インド人はきっと、音楽がかかれば誰でも踊れます。
ちょっとしたパーティーをやっても、最後1時間くらいは、ほぼ全員がステージでずっと踊りまくってます。
そして当然のように、結婚パーティーでも、親族が登場してきて踊りまくります。
もちろん、新郎も新婦も、一緒になってステージで踊ります。
(そして初めて会った親族に連れ出されて、私も一緒に踊らされます・・・)

映画の話に戻りますが、私の会社のイベントで、
インド人がグループ単位で、5分くらいのムービーを作って競い合うというお題がありました。
10ぐらいのグループがあったでしょうか、
まぁどのグループの作品を見ても、素人が作ったとは思えないほどクオリティーが高い・・・。

もちろん、ムービーを作るツールが進化していることもあって、
簡単に意図した通りの映像を作り易くはなっているのかもしれませんが、
それにしても内容的に「なるほど、これは面白い」と思える作品ばかりで、
きっと小さい頃から映画に慣れ親しんだインド人の「センス」なんやろなぁ・・と感じました。

う〜ん、いずれ、本当にHollywoodがBollywoodに取って代わられる日があるのかも・・・。

インドは北の果て、中国との国境近くに、ラダックという地域があります。
中国では失われてしまったチベット文化が、ここラダックには残っていると言われています。

ぶつくさと〜くの Vol.115 でも書きましたが、大変興味があり、昨年の夏に行・・・こうとした場所です。
(飛行機で向かったのだが、天候不良で着陸できずUターン)

で、やっぱりどうしても行っておきたい。
その気持ちが強くあり、金曜日だけ会社のおやすみを頂いて、一年越しで行ってきたのでした。
(いずれ写真も公開したいと思います)

飛行機が到着するレーの町は、標高なんと3,650m。
いきなり富士山の頂上付近に置き去りにされる訳です。

到着した日は、ちょっと動くだけでもハァハァ言うほどで、
高山病対策のために遠出はせず、ゆっくりぷらぷらと町中を歩き回っていました。
二日目は、レーの近くを流れるあの有名な「インダス河」に沿って、川下方面へ向かい、
チベット仏教のお寺(ゴンパ)を巡る旅をたっぷりと楽しみました。

そして三日目。昨年はチベット文化を見ることを楽しみにしていたのですが、
今年の目的はさらに、この三日目の目的地「パンゴンツォ」に行くことでもありました。

この標高4,350mにある湖「パンゴンツォ(Pangong Tso、Pangong Lake)」は、
長さが134kmもあり、そのうちの6割は中国領にあるのだそうです。

ここへ向かうまでのダイナミックな山々の景色もさることながら、
なんと言っても、数年前にヒットしたヒンディー映画「3 idiots(3人のおバカ)」、
そのラストシーンに登場する美しい湖、それがこのパンゴンツォだと聞いて、
それ以来、ここに行きたいという気持ちがさらに強くなっていたのでした。

許可証が無いと入れない地域(中国国境近く)で、しかも今年から一人では行けなくなってしまったので、
レーにある旅行会社さん(日本人の方)に「あいのり」の方を探してもらい、
当日は私を入れて3名で、いざパンゴンツォへ向かうことになったのでした。

途中、5,360mのChang La峠(流石にすぐに息が上がる・・・)を通過し、
すぐそばに断崖絶壁が迫る中、雪解けの川が何度も遮る悪路を上下左右に揺られながら乗り越え、
ヤクやマーモットといった珍しい動物たちを時々見ながら、
走ること約5時間、ついに夢にまで見た湖・パンゴンツォに到着したのでした。

そこには、剥き出しの茶色い山と、万年雪が残るさらに高い山々、
澄み切った青い空にはキャンバスに描いたかのように見事に雲が散らばり、
そして、ターコイズブルーの、信じられないほどの美しい青さを湛えた湖面が、
誇らしげに、どっしりと横たわっていました。

「こ、これは・・・すごい・・・」

それなりにいろんな景色を見てきたつもりですが、この大自然の美しすぎる絶景パノラマには、
流石に「息を呑む」という表現が相応しいほど、
若手芸人のような、素のリアクションしか取れませんでした。
(それが普通です、はぃ)

はっきり言って、高山病による頭痛と5時間の山道ドライブによる疲労で、
身体はかなりグロッキーになっていたのですが、
本当にここに到着できてよかった〜と思えるくらい、最高の場所でした。

私と同行された2人も感動されていて、3人でぼ〜っと湖を眺め、
そして青い写真を撮りまくって帰ってきたのでした。

・・・とまあ、半分旅行記になってしまってますが、
もしみなさんの中に、どこか秘境を旅してみたいとお考えの方がおられましたら、
パンゴンツォは是非是非お薦めの一か所ですので、ご検討下さい。
(あ、もちろん天候にとても左右されると思います、きっと曇ってたら美しさ半減・・・)

あぁ・・・最後にいっぱい書き過ぎた。
そんなこんなで、撤退しますっ!

(Vol.126 おしまい)


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