ぶつくさと〜く
【Vol.136】 温もり (2013.5)
この3月にインド赴任から帰国して早々、人間ドックを受けました。
丸2年間、デリーの「ぞっ」とするほどの大気汚染にさらされ続けたこの身体。
あっさりと蝕(むしば)まれてしまったのか、はたまた、何とか耐え抜いたのか。
お楽しみの結果発表は・・・
大方の予想通り、いろいろ問題が見つかったため、はぃ、再検査(チ〜ン)。
日々の移動は車での送り迎え付きという「ゼロ運動デー」が招いたメタボはもちろんのこと、
胆嚢にポリープが見つかっただの、尿酸値が高いだの、肝機能・腎機能が異常だの、
まぁありとあらゆる欠陥が、いきなり発見されたのでした・・・。
(ほんま、泣くわ)
そんな中でも一番悲しかったのは、便検査でひっかかってしまったこと。
な、なんと、便の中に虫卵が見つかったのでした。
(もう助けて〜!!)
・・・と言う訳で、虫卵で再検査となってしまった私は、
家の近所にある昭和大学藤が丘病院に行って調べてもらうことになったのでした。
結果その正体は・・・「ランブル鞭毛虫」という、見たことも聞いたことも無いお方。
インドなどで、井戸水などにいる虫なのだそうです。
まぁ、あの環境下で2年間「キレイな水」だけ飲み続けるなんて100%無理ですし、
当然の結果というか、何と言うか・・・はぁ。
会社の産業医さんには、「あ〜、インド帰りの方にはよく見られる所見ですね〜」と、
まるで他人事のように(まぁ他人なんやけど)言われてしまったのでした。
「うそ〜ん、インド赴任する前に言っといてよ〜、その悲しい事実を・・・(泣)」
まぁ結局は、病院からもらったお薬を飲む程度で済んだのですが、
ホント、帰国後までいろいろと楽しませてくれる、我らがインドなのでした。
さて、GW前半の3連休で、北海道に行ってきました。
(ほんま好きやな〜、北海道・・・)
今回は、特に何がしたいという訳では無く、時期的にもまだシーズン前なので、
じゃあゆっくりと、子連れで「例の」カニの宿の行ってみるかぁとなったのでした。
(以前のぶつくさと〜く Vol.46 で登場済)
GWの北海道は、まだシーズン前とは言え、心地よく涼しい風が吹き、
花たちがひょっこりと顔を出し始める、そんな素敵な季節。
・・・という好き勝手な妄想とは大違いで、道東にある女満別空港に着いたとたん、
なんと気温は1度、そして天気は、暴風雪!!
「うそ〜ん、真冬や〜〜〜ん!」
涙ちょちょ切れながらも、雪道をレンタカーでひた走り、
「美しい夕日」が売りのサロマ湖畔のホテルへと到着しました。
(2泊ともカニづくしはつらいので、1泊目は普通のホテル)
部屋の大きな窓から見えたのは、雄大なサロマ湖(日本海並みの荒波)と、
太陽がどの方角にあるのかも一切分からないくらいの黒雲・・・。
翌日も寒空の下、これと言って行けそうなところもなく、
サロマ湖畔の「道の駅」をハシゴして、お土産を買っておしまい。
とは言え、メインイベントの2泊目・カニの宿では、
十分に満足できる量のカニカニカニの食事が並び、
たっぷり満喫して帰ってくることができたのでした。
そう、サロマ湖と言えば、あの悲しい出来事の舞台となった場所の、すぐ近くにあるんですよね。
みなさんご存じだとは思いますが、雪の中、一人娘を抱いたまま亡くなられたお父さんの話・・・。
あれが起こったのが、実はサロマ湖のすぐ近くにある湧別(ゆうべつ)というところなんです。
万が一ご存じでない方のために、簡単に要約すると・・・
『今年3/2の午後、軽トラックで自宅へ戻る途中の、漁師の父親と小学3年生の一人娘。
「車が雪にはまって動けなくなった」という親類への電話を最後に、連絡が取れなくなった。
当日は暴風雪が激しく、夜になって車は発見されたものの、二人は見つからず。
翌朝、牧場の無人の倉庫前で、雪に埋もれた状態で二人は見つかった。
すぐに病院に運ばれ、娘の命に別状はなかったが、父親はすでに死亡していた。
発見された時、父親は娘に覆いかぶさるように、娘を胸に抱きかかえて倒れていた。
猛烈な地吹雪の中、10時間に渡り、最期の温もりで一人娘の命を守り抜いたのだろう・・・』
・・・このニュース、私がまだインドにいるときに、ネットの記事で読みました。
記事を読みながら、正直、涙が止まりませんでした。
文字通り「命を懸けて」娘を守った、心優しい父親。
後日見た記事によると、妻を2年前に病気で亡くされ、父娘で2人暮らしだったのだそうです。
・・・雪が舞うサロマ湖を見ながら、
しんみりと、そのニュースを思い出してしまった私だったのでした。
さて・・・少し寂しい終わり方になってしまいましたが、まぁたまにはこんな回があってもね。
それでは今回はこの辺で。
(Vol.136 おしまい)