ぶつくさと〜く
【Vol.38】 申請 (2005.3)
以前ギリシャに行った話(こちら)を書いたのですが、その帰りのシンガポールの空港でのこと。
すでにその時は、例の「アゴぱっくり事件」のおかげででっかいガーゼがアゴに貼られてましたが、
まぁそんな痛々しい話はどうでもいいとして・・・。
空港で、クレジットカードでかけられる公衆電話を使って、日本国内の固定電話に電話をかけました。
しかし、クレジットカードを通してダイヤルしても、何故かうんともすんとも言わない。
ん、故障してるんか?と思いながらも、仕方ないので違う公衆電話で、今度は携帯電話にかけてみました。
何度かチャレンジしているうちにやっと繋がり、数分ほど通話をして、
はぁ〜よかったよかったと思ってそのまま日本に帰国しました。
そして運命の数ヶ月後・・・「請求は 忘れた頃に やってくる」
あぁ、そう言えば数分ほど公衆電話を使ったな〜、
と思いながらクレジットカード会社から届いた請求書を何気なく見ると、
シンガポールからの電話は「4,169円」とのこと。
なるほど、4千円ちょっとか。ん?4千円・・・へっ?
たった数分通話しただけで4千円?うわっ!高っ!めっちゃ高っ!
高級キャバクラ嬢並みの時給になっとるやないか〜!!(そんな比較の仕方かぃ)
流石にそれは高すぎるんちゃうの?と思い、早速カード会社に連絡をし、
状況を説明して、シンガポールの電話会社から明細を出してもらうことにしました。
しかし、公衆電話なのでそもそも明細など無いのか、
結局電話会社から通話時間や料金の詳細は出ませんでした。
そして、なんと悲しいことにカード会社からは、
「申し訳ありませんが、これより先はご自身で直接電話会社とやりとりして下さい」と、
シンガポールの電話会社の電話番号が伝えられました。
うっそ〜〜〜ん!あり得へ〜〜ん!!
おぃおぃ、そんないい加減な商売されちゃ、おいちゃん暴れちゃうよ。
・・・もしくは泣いちゃうよ。(←たぶんこっち)
結局「それはおかしいやん?」てことでゴネて支払いを拒否し、
チャージバック申請(返金申請)することになりました。
なんやわからんまま「cardholder's dispute form」という書面に英語で申請理由などを書かされ、
一部返金申請は出来ないので、とりあえず全額返金申請ということで手続きを進めてもらうことになりました。
で、数ヶ月後、カード会社から連絡がありました。
「電話会社から抗議などの連絡が無かったため、全額返金されることになりました」と。
え、なんで?ワタシ、確実に電話は使ったんですけれど・・なのに全額返ってくるのん?(いやん、ラッキー)
しかし・・・それって、電話会社が最初から過剰請求を分かってやってたと認めたってことじゃないんですか?
それとも、4千円ごときで五月蝿(うるさ)いジャパニーズ相手に処理が面倒臭くなったてことですかね?
一体全体、どういうことなんじゃ〜ぃ!?
全額返金の理由には納得出来ないまま、当然「ま、いいか」ということで、一件落着しました。
やっぱり、おかしいと思ったことはなんでも言わないとあきませんねぇ。
(でもほんまは、カード会社に何度もかけた電話代の方が高かったんとちゃうか・・・?)
さて話は変わって、先日会社帰りの混雑している電車に立って乗っていました。
私のすぐ前には60歳過ぎくらいの小柄なおじさんが立っており、
明らかに慣れていない手付きで、携帯電話のメールの文章を一生懸命書いてはりました。
私は、家族の誰かに携帯電話を持たされたんかな〜、とかいろいろ考えながら、
何気なくそのたどたどしい手付きを見てしまいました。
そのおじさんは、知り合いか誰かにメールを書いておられたようで、
5秒に1文字くらいのスピードで入力しているその様を見ていると、ついつい応援したくなってしまいました。
そのときおじさんの携帯の画面には、「〜に是非おこ_」と書いてありました。
その内容と硬い文面から、あぁ「お越し下さい」と入れようとしてはるんやなぁとすぐに分かりました。
私はいつの間にか、頑張れおじさん!、頑張れおじさん!と心の中で応援し始めていました。
おじさんは、見ているこっちが心配するくらいゆっくりと一文字ずつ、
「し」、そして「く」と入力していきました。
「おこしく_」
スローペースのおじさんとは裏腹に、こちらのテンションは勝手にヒートアップ。
さぁ、おじさん、次は「だ」やで。大丈夫か?難関の濁点もクリアできるのか?負けるなおじさん!
おじさんの指は迷い続けながらも、ついにあるボタンに辿り着きました。やった〜!
「おこしくさ_」
うわっ、間違えてるや〜ん!1文字抜けてるや〜ん!!
今なら間に合うよ、おじさん。戻って、戻って〜!カムバ〜〜ック!!
しかし、私の心の叫びも虚しく、おじさんは気にすることなく次の文字を入力してしまったのです。
「おこしくさい_」
OH〜、NO〜!画面見てないのねっ。今度は2文字も戻らんとあかんや〜ん!!
・・・私ががっくりとした瞬間、おじさんはなんのためらいもなく漢字に変換してしまったのでした。
「お腰臭い」
うっっぎゃ〜〜!やってもた〜〜!!
意味不明の内容になるならまだよかったものを、よりによって「お腰」が「臭い」て・・・(泣)
そんな痛々しい独白はいらんて、おじさんっ!
ご丁寧に「是非」まで前につけて、他人に「臭い腰」をお薦めしてる場合とちゃうわ〜・・・(号泣)
さすがに今回は、半笑いどころでは収まらず、
失礼ながらもうつむいて肩を震わせるという、苦しい時間を送る羽目になるのでした。アーメン。
2ヶ月ほど前のことですが、あるニュースで驚いたことがあります。
みなさんも新聞か何かで読まれたかもしれませんが、ある大学の名誉教授の奥さんが病院で亡くなり、
そしてその全く同じ日に、別の病院で後を追うようにその名誉教授が亡くなったという話です。
これって、すごい話じゃないですか?
例えばどちらか一方が亡くなり、それ以降意気消沈して後を追うように亡くなるというケースは、
時々ありますよね。
支え合っていた大切な何かを失ったことによって、精神的に弱くなってしまう・・・。
もちろんそれもすごいことやなぁとは思いますが、今回のように別々の病院に以前から入院していて、
偶然同じ日に亡くなるというケースはあまり聞いたことがなかったので、強く印象に残ってしまいました。
・・・説明のつかない「何か」で、二人は繋がっていたんやろうなぁ、と。
きっと旦那さんは、奥さんが亡くなったことを誰かに聞かされた訳ではなくて、
意識の中で現れた奥さんに、先に逝くことを伝えられたのではないでしょうか?
そして、じゃあ私もそろそろ逝こうかという気持ちになって・・・。
勝手な想像でしかありませんが、なんかそんな気がしてなりません。
運命のいたずらというか、夫婦の愛の絆の強さと言うか、
何か心にじーんときて、しかし同時にものすごく切ない感情になってしまって、
大切な何かに改めて気付かされたような気分になりました。
みなさんは、どんなことを感じられましたか?
さあ、もうすぐ4月、新しい生活が始まる時期です。心の準備は出来ましたでしょうか?
では、次の新しい1年間、みんながいい年になりますように〜!
(Vol.38 おしまい)