ぶつくさと〜く

【Vol.77】 自由 (2008.6)

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先月末、久しぶりに京都に行ってきました。

大学時代に私が所属していたサッカーサークルの創設20周年記念で、
昼は草津(滋賀県)にあるグラウンドでサッカーを、
そして夜は大学のキャンパス内にある会場でパーティーを、という、
5年に一度のイベントがあったのでした。

昼の部のサッカーは、20歳前後で脂の乗りまくった現役大学生プレーヤーと、
仕事でストレスの溜まりまくったオーバー30のおっさんらとが入り混じっての、
4チーム対抗の総当たり戦でした。

チームごとに赤・青・黄・緑の、原色丸出しのTシャツを着せられると(何レンジャーやねん)、
そのTシャツにマジックで自分の名前やあだ名、座右の銘、肉体美(?)など好き勝手なことを書き込み、
なかなか恥ずかしい状態でサッカーをする羽目になります。

OBさんたちの中には、広いグラウンドでサッカーをするのが久しぶりという人も多く、
試合前のアップの段階で若干バテ気味だったりしたのですが、それでも試合が始まるとみんな本気。
たった一つのボールを廻って、激しくぶつかり合ってしまうのでした。

ちなみに前回(5年前)の15周年イベント(Vol.20参照)の時にもあったのですが、
恒例の「蝶ネクタイルール」という特別ルールがこの試合には設けられています。
この怪しい名前のルールは一体、どんなんかなぁ(桂小枝風に読もう)と言いますと・・・

1.試合を始める前にチーム内で相談し、相手チームのプレーヤーの1人を選んで、
  「じゃ、あいつで」という風に指名します
2.指名された人はその試合中ずっと、「でっかい蝶ネクタイ」を付けさせられます
  (これが結構、間抜けな姿・・・)
3.しかしその蝶ネクタイを付けた人がゴールを決めると、なんと得点が1度に「2点」入ります

当然相手チームは、「こいつは点取らんやろ〜」とか「こいつはそないに動けんはず」とか、
もしくは「こいつは蝶ネクタイ付けたらビジュアル的におもろいから」など、
様々な理由で相手チームの蝶ネクタイ野郎を選ぶことになります。
(ちなみにワタシは3試合中2試合も蝶ネクタイ付けさせられました・・・)

いやほんと、全然知らない人がたまたま通りかかって、ふとこの光景を見ると、
原色のTシャツに何やら意味不明のことを書きまくった連中が、
しかもそのうち2人は何故かでかい蝶ネクタイを付けて、でも真剣にプレーをしているという、
どう見ても完全に頭のおかしな仲間たちの集まりやと思う訳でして・・・。

とまぁ、なかなか無茶苦茶で痛々しいこのルールなんですが、
サッカーのくせにいきなり2点が入ったりするので、意外とこれが盛り上がる。
なんならこのルール、2010年のW杯で早速採用されてるかもしれませんよ。
(ガットゥーゾとかに蝶ネクタイ付けさせたいな)

そしてパーティーの方も夜遅くまで盛り上がり、
若手とOBとが和気藹々と語り合って(まぁ若手にとっては迷惑な話やったでしょうけど)、
とても楽しく、そして懐かしいひと時を、初夏の京都で過ごしたのでした。

そのサッカーサークルでは、(少なくとも私が学生だった頃は)毎年名簿を作っていました。
去年のとある日、私はたまたま昔の名簿をペラペラとめくる機会がありました。

その名簿というのは、一人一枚フリーフォーマットで自由に書いた自己紹介を、
ただ単に束ねて綴じただけのものなのですが、各自が書いた自己紹介には、
他人によるツッコミという名の落書きによって「笑いのエキス」が加えられ、
そのエキスごと印刷されてみんなに配られる、という代物でした。

ちょうど大学の4回生で、大学院の入学試験(院試)を控えていた私は、
その名簿の一部に、以下のような真面目な文章を書き記していました。
ちなみにこの文章は、実はこの後にやってくるオチのための大きな「前フリ」でもあったのですが、
そこに書かれた内容は、その当時、紛れも無く自分が心から思っていたことだったのでした。

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 四回生ともなると、流石に大学も忙しくなり、
 日に日に迫りくる院試への緊張感も高まってくるものである。
 京都大学は<自由>という気風が売りの大学だ、とよく言われるものだが、
 <自由>とは『何もしなくてよい自由』ではなく、
 『何を学んでもよい自由』という意味なんだと、
 最近、つくづく思わされる。
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冷静に考えると、「名簿や言うてんのにどんな文章書いとるんじゃぃ!」と、
げんこつに熱い息をは〜と吹きかけながら叱られそうなんですが、まぁそれはそれとして、
この文章を書いたときの思いは、あれから10年以上経った今でも、全く変わっていません。

当時は学生だったので「何を学んでもよい自由」だった訳ですが、
今、大人になった自分に置き換えてみると「何をしてもよい自由」なんだと思います。
(もちろん悪いことをしてもいいという意味ではないです)

例えば、与えられたものが「時間」という「自由」だったとしましょう。
その時間の中で、自分が何もせずだら〜っと過ごすのか、それとも何か考えて行動して過ごすのか。
時間をどのように使うかによって、人は大きく変わると思うんですよね。

学校でも、職場でも、家庭でも、環境なんて関係ありません。
どこであっても、「自由」をどう使うか、それはその人の意識次第なんだと思います。

結局は人間て、自分に甘い生き物で、
自由だと言われると「だらっ〜」としてしまうことも多いと思うんですよね。
こんな偉そうに分かったようなこと書いてますが、私自身も、
「こうしたい」とか「こうしなければ」って、しょっちゅう思ってはいるんですけど、
結局何もせずに「まぁいいか」で終わってしまってたりしますから。

自由を生かすも自分自身、自由を殺すも自分自身。
限られた時間しかない自分自身の一生なのだから、もっとその自由を、有効に使おう・・・。
今のままの「生ぬるい」状態から抜け出して、違う環境に身を置いてみよう・・・。

そんな考えから、私は、とある決心をしました。

来月から、海外に行くことになりました。

・・・と言っても、ほんの一年間だけのことなので、
「弱っわい決心やなぁ〜」とツッコまれそうなんですが、まぁそれはいいとして、
カナダはトロント大学というところに留学して、
大学院の研究室でお勉強させてもらえることになったのです。

会社にお金を出してもらって留学するので、もちろん会社のために多くを学んでくるつもりです。
「今、世界で何が起こっているのか?」
「この時代が、今後どのように変わって行くのか?」
「そしてそのために必要とされる技術は、一体何なのか?」
そういった知識を身に付けて帰って来ることが一番の目的です。

でもそれだけではなく、新しい環境に身を置くことによって、
自分自身が、もっといろいろな新しいことを吸収して、
もっと人間として成長して帰って来られたらなぁと、勝手なことを思っています。
(トロントの気温と一緒で、マイナスになって帰ってきたりして〜)

・・・と、そういう訳ですので、みなさま、
遠く離れた日本から、私の行く末を温かく見守ってやって下さいませ。
よろしくお願いします。

ちなみに来月以降のぶつくさと〜くは一体どうなるんじゃい?という話なんですが、
更新できる環境(ネットワーク)と、更新できる気力(ここが問題)が揃えば、
頑張って毎月更新していきたいと思っています。
(無理なら一年ほどお休みということでご勘弁をば・・・)

ということで、これまで応援して下さったみなさんに、ここでひとまずお別れを。
どうもありがとうございました〜!
そして、また来年(or 来月)、笑顔でお会いしましょう!

それでは、胸を張って、前を向いて、行ってきま〜〜〜〜〜〜っす!!!
バチャバチャバチャ・・・・(←太平洋をバタ足で泳いでいる音)

(Vol.77 おしまい)


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