どたばた旅行記

11.ナスカ〜リマ・・・ペルー脱出10時間!

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ペルーへ行ったときの話です。

クスコ、マチュピチュ、ティティカカ湖、リマの観光をすでに終え(写真はこちら)、
最後の2日間で、リマ〜ナスカをレンタカーで往復するスケジュールになっていました。

その日は朝10時にリマのホテルを出発。
リマからナスカまで約450km、片道6時間ほどのドライブの始まりです。

リマ市街

ホテルを出発すると、出鼻をくじかれるように渋滞に巻き込まれます。

リマ市街では、車がところ狭しとぎゅうぎゅう詰めで走っていて、
しかも路線バスやタクシーが急に発進して横から平気で割り込んでくるので、なかなか危険でした。

カーナビも付いていないマニュアル車の上に、看板も分かりにくくて道に迷うしで・・・、
前途多難な感じが、この時点でひしひしと伝わってきていました。

ナスカへ1   ナスカへ2  

1時間の渋滞を抜けてようやくリマを脱出、パンアメリカンハイウェイの南下を開始します。
この道はきれいに舗装されていてなかなか快適なんですが、何故かあちこちに、
やけに立体的なでっかい看板が両側に立っていて、ちょっと不思議な感じでした。

ちなみに何度か有料区間を通ることになり、合計で33ソル(約千円)ほどは取られるので、
ちゃんと現金を用意しておかないといけません。

ナスカへ3   ナスカへ4  

ちょくちょく、懐かしの三輪自動車が止まっていたりします。

リマの都会から離れると、砂地に屋根もないぼろぼろの家が並んでいる地区がいくつかありました。
貧困層の方々が、今でもこういうところで生活をされているのでしょうか・・・。

パンアメリカンハイウェイを走っている間に、検問のため3度ほど警察に止められました。
警官はスペイン語で話しかけてくるので、何言うてるのかほとんど分からないのですが、
毎回、国際免許証だけでなく、車の証明書を指してそれも見せろと言われました。
この国では盗難車や違法車が多いんでしょうかね・・・?

ナスカ近郊1   ナスカ近郊2  

荒涼とした景色の中、何度か山道のアップダウンを繰り返します。
下りはスピードを出す大型バスの後を、一生懸命スピードの出ない小型車で追いかけます。

ようやくナスカの地上絵に着いたのは、夕方の5時半でした。

ミラドール1   ミラドール2  

ミラドールへ到着。
これは、地上絵の研究家であるマリア・ライヘという人が建てた観察用施設です。
太陽が沈みかけた頃、まずは地上から、あのナスカの地上絵を眺める瞬間がやってきました。

ミラドール3   ミラドール4  

高さ20mのミラドールは、風で結構揺れていて、なかなか怖い・・・。
パンアメリカンハイウェイが一直線に延びるすぐ横に、
「手」と「木(写真右)」の2つの地上絵がはっきりと見えていました。

ミラドールの階段を降りると、そこにいた売り子さんたち二人が、
カタコトの日本語で「クルマノセテクダサ〜イ」と言ってきたので、
ナスカの町まで乗せてあげることになりました。
※やれラジオをかけろだの、アァ、アブナ〜イ!だの、結構騒がしかったんですが〜(苦笑)

ナスカの町1   ナスカの町2  

ミラドールから走ること30分ほどで、ナスカの町へ。
売り子さんたちを降ろした後、ようやくホテルに到着しました。
(ホテルの駐車場のめちゃめちゃ狭い入口で、車の後部を若干ガリっとこすってしまう・・・)

ナスカはとても小さい町で、狭い道をミニカーのような自動車が走り回っていました。
世界に名を轟かす観光地だけあってか、小さい町にしてはわりと活気があって、
レストランも夜遅くまで賑わっていました。

ナスカ空港1   ナスカ空港2  

翌日、空から地上絵を見るために、10時にナスカ空港へと到着。
最大手のアエロコンドル社のカウンターに行き、ホテルの紹介があったのでマケて〜と言うと、
ちょっと安くしてくれて、料金は一人48USドル+空港税20ソル(約600円)に。

簡単な説明を受けて、セスナ出発の11:20まで、空港のロビーでその時を待ちます。
いよいよ、ナスカの地上絵の全貌を見る時が、目前までやって来ました!

フライト1   フライト2   フライト3  

ナスカ空港を飛び立った4人乗りのセスナ機は、
田園風景の向こうにあるナスカの町を通り過ぎ、さらに高度を上げていきます。
(ちなみに12人乗りで3列席の飛行機とかもあるので、2列席であることを事前に確認しましょう)

地上絵1   地上絵2   地上絵3  

ついに、地上絵が見えた!
左から「宇宙飛行士」、「サル」、そして「クモ」。

実際には、上空から一目瞭然という訳ではなく、ちょっと探さないとどこにあるのか分からないのですが、
左の席の人にも右の席の人にもよく見えるように、ニホンゴで「サル、ヒダリ・ミギ」などと言いながら、
サルの上を、左に急旋回して一回転、次に右に急旋回して一回転してくれるので、そのうち発見できます。
ただし、そのありがたいサービスのおかげで、気分はそこそこ悪くなります・・・(泣)

地上絵4   地上絵5   地上絵6  

さらに「コンドル」、「ハチドリ」、そしてミラドール付近の「手と木」。

表面の黒っぽい石を幅1m、深さ20cmほどだけ取り除き、その下に隠れていた白い石を見せることによって、
「線」を作り出しているのだそうです。

この地上絵が何を意味しているのかは、未だに解明されていません。
農業のためのカレンダー説や、雨乞いの儀式用の道説、宇宙へのメッセージ説、などなど・・・。

1,500〜2,000年ほど前には書かれていたというこの地上絵、
個人的には、謎は謎のままで残して置いてもらいたいような気がします。
謎めいているからこそ、世界の人々を引き付ける魅力を持っているんとちゃうんでしょうかねぇ?

45分ほどのフライトを終え、セスナはナスカ空港に戻ります。
乗ってる間は持ちこたえていたのですが、ずっと下を見て地上絵を探しながら、
しかもデジカメの画面を見て必死で写真を撮りながらやったんで、
到着後、急にグロッキーになってしばらく休憩・・・。

その後、ナスカ空港の小さい土産物屋を見て、1時半頃には出発しました。

*****
【飛行機出発まであと 10時間】

リマからニューヨークへ向かうLAN航空の飛行機は、23:50発。
出発まで10時間、ペルー最後のドライブの始まりです。

ミラドールを横目に地上絵に別れを告げ、昨日通ってきた道をひたすらリマ方面へ戻ります。
長い道のりなので、途中何度か休憩しながら、ゆっくりと目的地を目指します。

リマへ  

【飛行機出発まであと 6時間】

夕方6時前には太陽の出番もおしまい、徐々に夜の帳(とばり)が降りていきます。
ちなみにペルーは南半球にあるので、北の方にある太陽が東から西へ動き、
日本とは逆の方向に沈んで行くので、若干の違和感を感じました。

*****
【飛行機出発まであと 2時間30分】

9時頃、ちょっと遅れでようやく夜のリマの街へと到着。
しかし街に入ってからが長かった・・・。

カーナビも付いてないので詳しい現在地が分からない上に、
夜のリマの街はラッシュによる渋滞と、ひっきりなしに走るミニ路線バス&タクシーのおかげで、
なかなか思うように進まず、空港へ辿り着かない・・・。

渋滞に巻き込まれたまま時間はどんどん経過していき、流石にだんだんと焦り出します。

*****
【飛行機出発まであと 1時間30分】

それでもなんとか空港に到着、時間はもう夜の10時過ぎ、飛行機出発の1時間半前でした。
は〜、助かった〜!!

ナスカでこすったところをチェックされ、
レンタカー会社の人に「あとから請求しますね」と言われて(泣)、その場は終了。

LAN航空のカウンターで荷物を預けて、なんとか無事チェックインを終えました。
ほっと一息、ちょっとだけ土産物を見ることにしました。

リマ空港  

【飛行機出発まであと 1時間】

さぁ、1時間前なので、そろそろゲートに行っておくか〜、ということでセキュリティーチェックへ。
そして出国審査へ向かうと、そこにはなかなかの行列が・・・。

日本もそうなんですが、アメリカでもカナダでも、入国審査がかなり厳しいのに比べて、
出国する人への審査はあっさりと終わるのが普通なんです。
(トロントの空港なんて、出国審査どこでやったんか分からないくらいでしたよ?)

ところがこの国は事情が少し違うのか、出国審査待ちの列がなかなか前に進みません。
係員に何度か「出発まで時間が無いんやけど」と伝えましたが、そのまま並んどけの一点張り。

*****
【飛行機出発まであと 20分】

半分くらいは列が進みました。
まぁでもこれだけ混雑してたら、他にも同じ飛行機に乗る人いるやろし、多少は待ってくれるやろ・・・。
そう信じながらも、時間はどんどん経っていきます。

*****
【飛行機出発まであと 5分】

フライトの最終案内が聞こえました。
流石にこのままでは、どう考えても出発時間までに審査の番は回ってこない・・・。

最後にもう一度係員に確認したのですが、やっぱり列に並んでおけと言われ、玉砕。
やばいんとちゃうのか?と、焦りは最高潮になりながらも、成すすべなく、列の中で待つしかない・・・。

その時、列の先頭に待っている人に直接交渉して、
す〜っと先頭に割り込ませてもらっている人が見えました。
「うっそ〜ん、この国はそんなルールなんかいっ!」

飛行機が待ってくれていると心のどこかで信じてはいながらも、
出発時刻までにはゲートに行っておきたいのは当然の心境なので、
我々も同じ方法で、先頭に割り込ませてもらう作戦に変更ですっ!

つたない英語で先頭の人に交渉し、
なんとか次の番の審査に割り込ませてもらうことに成功しました!

*****
【飛行機出発まであと 2分】

出国審査が始まりました。
特に問題もなく審査を終えた頃には、もう出発の時刻!
手荷物を両手にぶら下げたまま、出発ゲートまで全力で走りますっ!
神様、仏様、我らを救いたまえ〜〜〜〜〜〜っっっ!!

2分遅れほどで、ゲートの前に到着しました!
すると、ゲート前のモニターには目的地の「ニューヨーク」ではなく、別の行き先の名前が!?
ゲートが変更になったのかと思い、「あれ、ニューヨーク行きは?」と尋ねる私に、
LAN航空係員の、耳を疑うほどの冷たいこの一言。

 「もう出ましたよ」

*****
【飛行機出発・・・後】

てことで・・・はぃ、やってしまいました、禁断の「国際線お見送り」を・・・ち〜ん。
(まるでトラベルチャンス失敗・・・)

茫然と立ち尽くす我々は、その係員に書類を渡され、すごすごと出国ゲートまで戻ります。
事務所のようなところで出国取り消しの手続きをしてもらい、
飛行機から積み下ろされた荷物を受け取って、LAN航空のカウンターへ。

このままペルー人になる訳にはいかないので、帰りの飛行機を探してもらいます。
翌日の飛行機だと一人10万円ほど追加しないといけないと言われたので、泣く泣く諦め、
3日後の飛行機(それでも一人4万円ほどプラス)を確保してもらうことにしました。

徹夜  

で、仕方なく空港で夜を明かすの図・・・。

まぁ結果的には、最初から割り込んで行くずうずうしさがあればよかっただけかもしれませんが、
空港の係員が並んでおけと言うのなら、並んでいて大丈夫なんやろと思ってしまいません・・・?
それに、渋滞に巻き込まれたのも、セスナでグロッキーになったのも、
後から思えば遅れてしまった要因ではあるのですが・・・まぁすべては元々そういう運命だったんでしょうね。

結局リマにて急遽宿を取って2連泊し、何も見ていなかったリマ新市街の観光も、たっぷりできることになりました。
そして何よりも、またと無い貴重な「失敗体験」ができました。
(と、ええように解釈するオメデタイ性格です)

いや〜でもほんと、リマの空港、空港に到着したからと言って気を抜いては行けませんよ。
特に夜は国際線の出発便が重なっていて、出国審査に1時間半以上かかる場合があるようなので、
時間に十分過ぎるほどの余裕を持って、ゲートへ向かわれることをお薦めします。

*****

こうしてナスカから、10時間どころか・・・80時間以上もかけて、
ようやくペルーを脱出することができたのでした。

まぁ無事生きて帰ってこれたんやから・・・よかったやん?(苦笑)

(おしまい)


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